~外へ~
外にでた俺は、懐かしさに身をゆだねていた。
緑、青等、自然の色に該当する色が目に入り込んでくるのだ。
言葉も出ずに、只ひたすらと景色を視界に焼き付けている。
と、ここで俺は重要なことに気がついた。『スキル』の設定だ。
この世界で言う『スキル』とは、
レベルが上がるに連れてスキル一覧に現れる、名前の付いた特別技だ。
もちろん、他のMMORPG等と一緒で、その職業にしか出てこないスキル、というのも存在する。
俺は指を鳴らしウィンドウを開き、手早く[スキル一覧]をタップする。
そこにあったスキルは、5つ。
戦闘系スキル、補助スキル、特別スキルだ。
ちなみに、特別スキルとは、その職業しか扱うことが出来ないスキルのことを指す。つまり、戦闘系スキルなどは、他の職業とスキルが被ったりする場合があるのだ。
特に初期から表示されているスキルなんかは、被っていることが殆どだ。
そして、俺は元からある攻撃スキル。 単発技/スラッシュ をタップ、そして[習得]に指を触れさせる。
これで俺はスラッシュを覚えることが出来た。
ちなみに、スキルの発動には、剣での攻撃のスキルは、頭にそのスキルの発動モーションを思い浮かべ、そのスキルと同じ動きをすると、システムが反応し、スキルが発動されるのだ。
魔法、補助スキルなら、スペルワードを詠唱すればよい。
ちなみに生産系の職業にはスキルは存在しない。その代わり、speed up 等と言ったある意味バフに近いようなものが、LVに従って常時反映される。
そして、特別スキル。長刀/片手用 での特別スキルの名前は、『加速』と『索敵』だ。
加速は文字通り、動きを早くするものであって、索敵は周囲にいるプレーヤーの位置、Mobの情報を知ることが出来る。
この加速は、詠唱によってバフと同じような効果が得られる。
索敵は普段から常時発動されており、レベルが上がるに伴ってその効果の範囲も広まっていく。
俺は攻撃の四連、補助のヒートアップ、ガード 特別/加速 の、SHINEを次々と習得する。
「ふう...よし、これで全部か」
全てを習得し終えた俺は、改めて顔を上げ周囲を見渡す。
「お... まあ、はじめは彼奴で良いかぁー」
二ヤリと口角をあげ、そして「彼奴」に駆け寄る。
Mobがこちらに気づき、目の前に戦闘承諾のウィンドウが開く。そこで[OK]をタップすれば戦闘が始まるのだ。
「さて、久々のFTOでの戦闘だなぁ... うまく行ってくれよ...!っと。」
そう呟き、[OK]ボタンをタップした。
そこでミュージックが変化する。戦闘用の音楽だ。
mobの名前は、『フェアリー』妖精mobだ。
他のゲームで言う、スライム並みの扱いなのだが、このゲームでは一撃死は、レベルを5~60位空けていないと出来ないものだ。といっても、一撃死がないだけで、強くなると3,4発スキルを当てると勝てる者も現れてくる。
しかし今は違う、。まだ自分はレベルは一だ。
まず、最初に動き出したのはmobの方だった。若干後ろに下がっての、突進攻撃。ちなみに、これはスキルだ。
「うおっ...!」
と少しの驚愕の声を口にするとともに、右側へと体を踊らせる。
スキルを外したときには、一定の『硬直時間』という者が発生する。
3秒程度なのだが、自分の攻撃を当てるには十分すぎる時間だった。
(よし... スラッシュだ!)
頭にスキルのモーションを多い浮かべ、それに従って体を動かす。
すると剣に青い輝きが纏い、そしてゴオッという音がなる。
スキルによって加速された攻撃は、丁度フェアリーの弱点、脇腹へと吸い込まれていき、そして激突する。
ズバンといった衝突音が鳴り、フェアリーは後ろへと飛んでいく。HPは三割弱削った。
それを追撃するように自分も地を蹴り前に飛ぶ。
相手に反撃の暇を与えず突きの通常攻撃。それからの体を半回転させての横切り。
(よし、いける...)
と確証し、もう一つのスキル、四連を発動する。
横、縦、斜めの四回攻撃がもの凄いスピードで発動され、最後の斜め切りが発動されると---
同時にフェアリーのHPは削りきられ、残量は0になった。
「おぉー、ノーダメージでいけたかぁ。やっぱ戦闘楽しいなぁ。」
これがこのゲーム内での戦闘なのだ。
目の前に戦利品などが表示される。といっても低級mobなので、少ない経験値だけだった。
そして俺は、また次の獲物を探して、足を進めるのだった。
途中でアツヤが「FTOでの...」
といった発言がありましたが、FTOとはfree The onlineを略したものです。