第1章2:入学式
4月7日、神天賦学園の入学式。妹の美園と学園まで一緒に行く。自分もgiftを得ることで、少しは妹へ対する劣等感も薄れてきた。
学園へ着くと、美園は友達がいたようで、またねっと言って先に行ってしまった。初等部、中等部、高等部、それぞれで入学式が行われる。高等部だけでも2000人いるからみんなが一度に集まるのはそう滅多にない。
神贈訓練場
ここに、2000人が集まった。クラスごとに並び、簡易ステージが作られている前方を見ている。俺はというと、新入生はステージ側から生徒と迎え合わせになるように横に並んでいる。新入生は約700人からなっている。入学式開始の時間になり、壇上に誰かが上がる。
「おはよう、諸君。」
聞こえてきたのは学園長の声だった。
「今年も冬が終わり、青々とした新しい花々が咲き乱れ、春の風が新入生と共にやってきた。目の前に見えるのは君たちの先輩であり、ここ神天賦学園の仲間たちだ。ここにいる間は、みな切磋琢磨し、己のgiftを磨き、将来大いに活躍してもらいたい。新入生諸君、歓迎する。」
短いが、インパクトに残る演説をし、学園長は檀上を後にした。
「えー、では次に・・・」
ふぅ。この手の長い集まりは苦手なんだよな。と周りを見渡すと、自分のななめ前にあの女の子がいることに気づく。
「ぶっ」
周囲から変な目で見られた。彼女には気づかれなかったようだ。あの子学園長の娘なんだよなぁ。などと考えていると、入学式は終わりを迎えているようだ。
「最後に新入生代表如月 渚さんお願いします。」
「はい。」
きれいな声で返事をすると、スッと立ち上がり壇上へ登っていく。
「私たち、新入生は本学に入学するために、様々な努力を重ねてきました。私は幼児部より在籍していますが、この神天賦学園高等部へ入学できるようにgiftの修練を絶やさず行ってきました。外部からの受験生も勉強をし、giftを発現させ、修練し努力を惜しまず頑張ってきたはずです。その努力を入学した後も続けていき、勉学に励み、頑張っていきたいと思います。 2369年4月7日 新入生代表 如月 渚」
彼女は読み上げた紙を丁寧に折りたたむと壇上において、後段した。
入学式が終わり、自分の教室配属を見るために、ウィンドウとつぶやくと、目の前に半透明なウィンドウが表示される。
「えーっと、俺のクラスはっと・・・」
ウィンドウを操作し、目的のページを開く。
「1-Cか。ここから結構あるな。まぁ11時30分までにつけばいいからゆっくりいこう。」
ゆっくりと学園の中を歩いていく。
本当にすごいな。周りを見渡すと、生徒の人数も多いからなのかもしれないが、廊下の広さが半端ない。縦に長いのはもちろんだが、横も10人が横一列になって歩いても大丈夫なくらいの広さはある。しかし、広すぎだろ。俺、迷子にならないといいけどな・・・。
「ふぅ。本当に遠いな。ゆっくり歩いてたせいもあるけど20分くらいかかっちゃったかな。」
教室のドアを開けると、外部からの新入生らしき人たちはまだ友達がいないのか、不安そうに席についている。一方以前から、ここに通っていたと思われる生徒達は盛んに話をし、盛り上がっている。黒板を見ると、席が表示されていたので、自分の席を探すと、
「3列目の一番後ろか。」
確認すると、歩いて席までいく。しかし、そこには黒髪の少女が座っていた。あの子だ。俺は動揺を隠せないまま、立っていると、
「あら?どうしました?」
と怪訝そうな顔をしている。
「あ、あの、そこ俺の席じゃないかなぁ?」
少しどもりながら答えると、
「あ、すみません。私の席は2列目の最後でした。」
と言って席を譲ってくれた。鼓動が早くなりながらもその席へと腰を下ろす。
「すみませんでした。私は、如月渚と申します。よろしくお願いしますね。」
とニコッと自己紹介をしてくれる。
「俺は、神宮新っていいます。」
よろしくと挨拶をしていると、
「あれ~?なぎちゃん逆ナンパしてるの~?」
と、おっとりした声が聞こえてきた。
「もぉ!ちがうよ、このは。」
声のした方へ顔を向けると、ウェーブのかかった金髪をしたおっとり系女子が立っていた。
新が唖然としていると、
「新君ごめんなさい。この子は私の親友でこのはって言います。」
「おはようです。私は朝比奈木葉って言います~。」
と間の抜けた声で自己紹介をしてくれた。よろしくと言おうとしていると、
ガラッ。
教室の扉が開いた。
「みなさんこんにちは。神天賦学園高等部へようこそ。知ってる顔もいれば、知らない顔もいるね。まず、私から自己紹介するね。」
と、ショートヘアーで体育会系な匂いを漂わせる雰囲気な感じだ。入学式だからか、パンツスーツを着ている、
「私は、君たちの担任をする結城 空だ。よろしくな。好きなのはスポーツをすること!私のgiftは能力向上系とだけ言っておこう。」
やっぱりスポーツ好きそうだもんね。
「じゃぁ名簿の1番から順に自己紹介していって。」
順々に自己紹介をしていった。正直驚いた。今までいた世界ではgiftを持っていたのは妹の美園くらいしかしらず、TVや新聞の中の世界だと思っていたので、今、目の前で自己紹介をしていく人たちがそれぞれユニークなgiftを持っているのは驚きのことだった。
「じゃぁ次は如月。」
はいと言って立ちあがる。
「私の名まえは如月渚と申します。私は幼児部から在籍しています。giftはリモートビューイングとテレポテーションです。」
「ダブルギフトか。すごいな。」
???ダブルギフト?
「いえ、たまたまですよ。」
「まぁ、そんなに謙遜するな。ちなみにダブルギフトは能力を2つ保有していることをいう。じゃぁ次よろしく。」
すげーな如月さんはって思っていると、自分の番が回ってきた。
「普天中学から来ました、神宮新です。giftはグラビティです。」
「グラビティ?聞いたことないな。どんな能力なんだ?」
「ん~。まだよく分からないんですけど、本とかを浮かしたりできます。」
周りから笑いが起こった。本を浮かしてどうするんだよって。顔から火が噴きそうになった。
「まぁまぁ。giftは成長するから、それによって強くなる可能性もあるから一概に使えないと判断しないほうがいい。ちなみにフェーズ1からフェーズ5まであるぞ。じゃぁ次。」
話なんて全く頭に入らなかった。只々下を向いていた。
「大丈夫だよ。フェーズが上がれば、本当に強くなるからさ。」
と隣から如月さんが声をかけてくれた。
「ありがとう。」
と言い、横を向くと、ニコッとした如月さんがいた。少し気持ちが楽になった。
自己紹介が終わり、明日からの予定を聞いていた。
「入学案内にあったと思うが、明日から2泊3日で研修旅行があるから、準備しっかりしておけよ。集合時間に遅れたらリアルにおいていくからな!」
今日はなんか疲れたな。早く帰って寝よう。と帰りの片づけをしていると、横から、
「新君、また明日ね。」
といい、出口の方へ向かっていった。
学園生活が楽しくなりそうだなと心底うれしくなった。
家への帰り道も足取り軽く帰ることができた。
少し長くなってしまいました。
駄文ですが、読んでくださいありがとうございます。
コメントお待ちしております。