第1章1:合格
入学試験後3日3晩うなされた新は神天賦学園から送られてきた資料に目を通していた。
▽入学案内(予備者)▽
予備合格者の皆様は、3月25日に当学園までお越しください。giftを確認できましたら合格通知をお渡ししたいと思います。
日時:3月25日
時間:14時
場所:神天賦学園高等部3階大講義室
持ち物:同封されている予備合格者証明と学生書
「おにいちゃん!神天賦学園うかったの!?」
美園がリビングに勢いよく入ってきた。
「いや、まだ仮合格だ。」
「giftはどうしたの?」
「あぁ、それは・・・」
あ、言っちゃダメなんだよな。
「まぁ、それは何とかなるかもしれない。」
「そっか~!試験から帰ってきて、すぐに熱を出すから、あまりにひどい結果だったのかと心配したよ~!(笑)」
「・・・お前な。まぁ、何はともあれ、25日に学園に行かなきゃだよ。」
「そっか、来週だね。」
「ちなみに、美園はgiftを授かったとき、どんな感じだった?」
「ん~。あんま覚えてないけど、熱だして治ったらgiftがあったみたいな?でも、変な夢みたかも。」
「変な夢?」
「自分がgiftを使っている夢?起きて、その通りにやってみたら出来たよ。」
「そっか~。」
夢。夢・・・。そうだ。俺はあの後夢を見た。自分を中心にし、イメージをしたんだ。石を浮遊させたりしていた。
じゃぁ、俺のgiftはサイコキネシスか?
試したくなり、自分の部屋へ戻る。
あの時と同じイメージ。そおだ。あのとき、俺は左手をかざし、床に転がっている教科書に意識を集中した。
浮け・・浮け・・浮け!
目の前にあった数学の教科書はふわりと宙を舞った。
驚いた反面、自分の体になじむような能力であった。昔から持っていたような感覚だった。
一週間後、学園に赴いた。集合より30分も早く行ったのだが、すでに10人以上来ていた。受付の人に証明書と学生書を見せると、中へ入れてもらえた。2時になり、23名、生徒がみな集まったところで、目の前の檀上に人影が表れた。
「予備合格者の諸君。よく来てくれた。私は当学園の学園長をしている如月 緑です。」
俺の面接してくれた人学園長だったんだ!
「試験の後、皆は3日3晩寝込んだのではないか?すまなかった。あの薬の副作用ゆえ仕方がなかった。許してくれ。さて、これからの予定なのだが、一人一人私と面接を行い合否を決定する。少し時間を取ってしまうが、我慢してくれ。では、みな控室で待ってもらおう。」
そういい、学園長は檀上を降り、大講義室から出ていった。
「はい、それでは予備合格者の皆様、こちらへお越しください。」
一人の先生らしき女性が声を上げた。みんなが先生の後を追う。控室に通されると、最初の受験生が学園長の所へ通された。次の人が呼ばれる感覚はまちまちだった。早いものもいれば、おそいものもいる。しばらく待っていると、
「普天中学校出身の神宮新さんいますか?」
「はい。」
静かに返事をした。さすがに緊張をする。
学園長室の前まで連れてこられ、どうぞと言われる。
コンコン。
「失礼します。」
ドアを開け、入っていく。
「普天中学校から来ました神宮新です。」
目の前には立派な机と椅子があり、その椅子には学園長である如月緑がいた。
「ふふふ。またあったな。」
「学園長だったんですね。」
「そうだ。あの時は予想外に人が来たから、選別するのに人が足りなくてな。私も面接官をやっていたというわけだ。」
「選別ですか?」
「いや、こっちの話だ。さて、giftは生まれたか?」
「はい・・いちよう生まれたと思います。」
「では、見せてもらおう。」
「はい。」
というと、学園長の机に置いてあった規則正しく並べられた本に集中する。
浮け・・・浮け・・・浮け!
この前と同じように本がふわりと浮かぶ。
前回と異なるのは、周りの本も一緒に浮いたことだ。この事実に新は、
「・・・あれ?」
と意識を別のものにやると、浮いていた本はバサバサっと音を立てて床に落ちた。
「ほぉ。すごいな。驚いたようだが、どうした?」
「いや、前回やった時は1冊本が浮いただけなのですが、今回は周りの本まで浮いたので・・・」
「ふむ。対象1冊に対して働いたわけではないな。おそらく、その一定の範囲にある空間に影響が及んでいるんだろう。」
「はぁ・・・?」
間の抜けた返事を返す。
「ふふふ。これは珍しい能力だな。きみのgiftはグラビティだ。」
「グラビティ・・?」
「そうだな。簡単に説明をすると、重力を自由自在に操れるということになるな。」
「なるほど。だから、周辺にあった本まで浮いたんですね。」
「そのようだな。」
学園長は嬉しそうに微笑んだ。
「さて、giftが発現したという事は、きみには来年からうちに来てもらおうと思う。合格おめでとう。」
心の中でさけんだ。
よっしょぁぁぁぁぁx!!
俺の顔を見て察したのか、
「うれしそうだな。だが、気を抜くなよ。神天賦学園には幼児部から入ってるやつらがいる。そいつらはgiftを使いこなしているから、そいつらに負けないように修練に励むことだな。」
「はい!ありがとうございます!」
後で聞いた話だが、23名の予備合格者がいたが、最終的に受かったのは3名だけらしい。
バーン!
家に帰ると、いきなりクラッカーがなった。
「うわっ!なんだ!?」
「おにいちゃん合格おめでとう!」
「なんでもう知ってるんだよ!」
「ふっふっふ。私に不可能の文字はない!」
偉そうに威張っている妹の横から、
「さっき、神天賦学園からお電話いただいたのよ。入学式までもう時間少ないから、早めに連絡しましたってさ。」
「なるほどね。」
「ご馳走用意しているからいらっしゃい。」
リビングに入ると、豪華絢爛な夕ご飯が用意されていた。
第一章の始まりです。
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