プロローグ5:入学試験
受験まで後約5か月。来る日も来る日も俺は勉強をした。最初は統一模試でC判定だったけど、試験1か月前にはA判定まで上げる事ができた。
試験日当日。
「はぁ。結局俺にgiftは発現しなかったな。試験を受ける意味あるのかな。」
「ん~・・・まぁ、もしかしたらってあるじゃん。おにいちゃんがんばって!」
「まぁ、受けるだけ受けてみるよ。」
7時50分に家を出て電車に揺られ、学園祭以来の神天賦学園につく。壮大な門をくぐり、試験会場へ歩を進める。周りを見渡すと自信に満ちたもの、不安そうなもの、様々な表情を浮かべ、無言で歩いている。
「はぁ~。こいつらみんなgiftあるのかなぁ。」
と独り言をつぶやいていると、試験会場へつく。
「えっと。207だよな。場所は・・」
受験票を確認し、席に着く。しばらくすると、ベルがなり、試験管の先生が入ってきた。
「諸君、おはよう。それでは試験について説明する。」
先生の説明が終わると、試験問題が配られ、開始した。
正直、試験問題は簡単だった。思っていたより、出来たと思う。
試験が終わり3時を指していた。この後は、個人面接だ。
「試験は絶対に合格点はいってるとおもうんだよな。ただ、giftについて聞かれるよな。」
控室で自分の番号が呼ばれるのを待つ間、どうやってgiftのことを切り抜けようか考えていた。
「受験番号1109番の方、準備をお願いします。」
「あ、はい。」
そういうと、荷物をまとめ、声をかけてくれた試験管についていく。
「それじゃぁ、あなたはここで待っていてくれる?」
「はい。」
そういうと、試験管の人は控室へと戻っていった。まぁ人数も膨大だし、いくつか面接会場があるんだろうな。
「次の方どうぞ。」
ついに来た。俺の番だ。
コンコン。
「失礼します。」
部屋に入り扉を閉めると、面接官の人の方へ振り返り、
「受験番号1109番、普天中学校3年神宮新です。」
「はい、かけてください。」
面接官の人は優しそうな笑みを浮かべ、椅子へと促してくれた。
「失礼します。」
「さて、今日はどうですか?うまく試験はできましたか?」
「はい。テストは問題なくできたと思います。」
「そうだな。もう採点終わっているんだけど、新君の成績はかなりトップみたいだな。」
「ありがとうございます。」
「で、きみはどんなgiftを持っているのだ?」
そこで、新は少し止まる。giftなんかもってねーよ。どうしよう。止まっていると、
「どうした?」
と、優しく声をかけてくれる。正直に言おう。
「あの、すみませんが、私はgiftを持っていません。」
「ふふふ、やっぱりそうか。」
少し考えるように面接官は口を開く。
「では、なぜここを選んだんだ?中学校の成績を見ると、ここを受験するために相当頑張ってくれたんじゃないかな?」
「はい。中学までの自分は、ただ生きているだけでした。何にも希望はなく、何にもやる気がなく、ただ、ただ生きているだけでした。しかし、そんな自分を変えたいと思いました。新聞を広げると、ここの学園の話題でもちきり、TVをつければ、ここの生徒が出ている。私の最初のきっかけは不純でしたが、そんな新聞やTVを見ることで、本気でこの学園に入り、自分の人生を変えたい、そお思えたんです。」
「ふむ、わかった。」
面接官はしばらく考えこんでいるようでしばしの沈黙が流れる。
「では、こうしよう。今ある研究施設で開発されている、新薬がある。名を全知全能と言います。この薬は脳にある様々な部位に働きかけて、きみの未知なる能力―giftを呼び起こす。」
「副作用とかはないんですか。」
「そうだな。この薬で死んだという例は今の所ない。ただ、3日3晩高熱にうなされる。その後、能力が開花するか、開花しないかはきみ次第だ。」
「なるほど・・・。」
「もし、この薬できみのgiftが開花したのなら、入学を認めましょう。」
「分かりました。やらせてください。」
面接官の人は俺に薬を渡してくれた。
「では、面接はここまでにしよう。このことは口外しないでもらいたい。」
「はい。分かりました。」
立ち上がり、扉の方へ向かい、
「失礼しました。」
と言い、部屋を後にする。
少しは可能性が広がったな。家路へ着く。その夜から3日3晩高熱にうなされるのであった。
一方、そのころ、面接官はある一室に集まり、話し合いをしていた。
一般入学による学生の話だ。
「で、今回は何人にゼウスを渡しましたか?あと、giftを持った子たちは何人目星を付けましたか?」
新を面接した女の人は声を上げた。
「学園長、giftを持った子たちは194名とゼウスを渡した子たちは、23名になります。」
ふふふと笑い、
「今年は何名の新しいgiftを持つ子が生まれるのだろうな。」
学園長は、裏に何かを隠していそうな優しい笑顔を浮かべていた。
アドバイス等よろしくです。