プロローグ4:学園祭
神天賦学院の文化祭当日。
「おにいちゃん。絶対にきてね!きたら、一緒に文化祭まわろ!」
「あ、あぁ。そうだな。」
「じゃぁ私は準備あるから先にいくね。」
いってきます。と慌ただしく言うと家を出ていった。
「さて、今は8時前か。文化祭は11時から始まるみたいだから、まだ時間あるな。10時に出れば間に合うから勉強しておくか。」
部屋に戻り、英語の参考書を開く。
「次の長文を読み以下の問題に答えよ。Today, we Japanese have a ・・・ 」
しばらく勉強し時計を確認すると、9時45分を指していた。
「さて、そろそろ準部をするか。」
ダメージパンツに白のTシャツに黒のベストを羽織る。
家を出発し、自転車に乗り駅まで自転車を漕ぐ。駅の中に入り、切符を買う。電車に乗りしばらく揺られていると、
「次は神天賦学院前~神天賦学院前。」
電車を降り、駅の改札を抜けると、学園都市である神天賦学院へ続く巨大な門が目に入ってきた。
「うわ。初めて来たけど、デカいな。」
巨大な門を見ていると、
「おにいちゃん!こっちだよ~。」
と美園の声が聞こえた。顔をおろし、美園を見つけると、美園が近づいてきた。
「きてくれたんだね!」
と目を輝かせている。
「そりゃ、あれだけ毎日言われたら来るよ。」
「えへへ~。ありがとう。」
「もうそろそろ学園祭始まるよな?」
と言い、時計を確認すると10時55分を指している。
「そうだね。じゃぁ行こうか!」
駅から学園内まで、目と鼻の先なので、すぐに学園内に入ることができた。
見渡す限り、外とは別世界が広がっていた。カラフルな色で飾り付けされたいろいろな店。準備をするために、浮遊している学生たち。様々な“能力”が飛び交っているように見えた。
「・・・すげーな、ここ。」
「んふふ。すごいでしょー!」
と、美園が胸を張った。
初めての世界が広がる、ここ神天賦学園はすごく新鮮だ。少し歩くだけで、様々な、魔法じゃないかと思うくらいにすごい能力を見ることができる。ビラまきの男子学生は目にも留まらない速さで動き、来る人来る人に広告のビラをまいていった。あるところでは、浮遊能力を使って1回200円の空中散歩を売り出している所などあった。いろいろなものに目を奪われていると、
「おにいちゃん、おなかすかない?私たちの出店で焼きそば食べようよ!」
「あぁ。そうだな。食べようか。」
こんなにいろいろな能力を使っている店があるなか、美園の出店は普通の焼きそばってなんか変な感じだな。と思いながら、歩いていくと、
『30秒やきそばかふぇ』
・・・30秒焼きそばかふぇ???なんだそれは。と、その時、
「「「「いらっしゃいませご主人様」」」」
お、おぅ!?メイドカフェ的なやつか!?
「どぉ?おにいちゃん。これは私のアイデアだよ!」
「おどろいたよ、いろいろな意味で。」
「も~。反応薄いな。まぁいいや。美羽ちゃん焼きそば一つお願い。」
と、店員に注文する。
「はぁい。かしこまりました。」
と、焼きそばをつくってくれる。30秒後には
「お待ち同様です。ご主人様、お熱いのでお気をつけ下さい。」
「あ、ありがとう。」
どもりながら、やきそばを受け取る。・・・ん?ちょっとまった。焼きそば作るのに30秒って(笑)早いな。
「あ、おにいちゃん気づいた?ここの店員は高速系のgiftを持った子でやってるんだよ~。」
「なるほど。そうすると、美園も高速系のgiftってことか。」
「そうだよ。」
などと、話をしながら、焼きそばを平らげる。
「さて、他も見て回ろうか。」
と、美園が無邪気な笑顔を向けてくる。
「あぁ。」
と曖昧に答えながら、この前すれ違った女の子を探している。長い黒髪をした女の子。周りを探すも全然見つからない。それもそのはず。この学園には幼児部から高等部までで約5千人の生徒がいる。その中から、人ひとり探すのは難しい。
結局見つからないまま4時が過ぎ、家に帰ることにした。美園が学園の門まで送ってくれた。
「じゃぁおにいちゃん、今日は来てくれてありがとね!楽しかったよ。」
「あぁ。俺も楽しかった。誘ってくれてありがとな。」
じゃぁまた後で、と別れようとしたその時、美園の後ろをあの子が横切った。
「?!美園。あの女の子って知り合いか?」
「?いや、知り合いってわけじゃないけど、如月先輩だよ。学園長の娘の。」
「へー。そうなんだ。」
「如月先輩がどうしたの?」
少し、ジト目で見てくる美園に、
「いや、なんでもないよ。じゃぁまた家でな。」
と別れる。
家までの帰り道、神天賦学院に絶対に入りたいという思いと、giftどうしようかな、という思いが交錯し、微妙な気持ちのまま家まで帰った。
プロローグ長いですね。予定では次でプロローグ終わりで本編に入っていきます。






