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電脳魔術  作者: 青空白雲
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電脳世界

 そこは青と白のマーブル状のブロックが敷き詰められて創られた世界だった。

 その世界で対峙しているのはたった二人の高校生。

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 一人の少年が拳を赤熱させ、飛び出す。

 十メートルほどの距離は一気に縮まり、少年は拳を振るう為に力を篭める。

 殴られるのを待つばかりの少年は鼻で笑うと、目の前の空間が収縮したかのような、くっきりとしたガスが現れた。

「げっ!?」

 酸素が吸い込まれ、爆発する音が響く。

 火柱がガスの中心から切り裂くように現れ、少年を焼き尽くした。

 少年の脳内で体力が八千から、〇へと書き換えられていく。

「うわああああああああ!!?」

 少年は咄嗟に叫び声を上げ、意識を覚醒させた。

 次の瞬間に訪れるのは、爆笑。

 周りには順番待ちのクラスの皆が腹を抱えて笑っていた。

「う……」

 今日の授業は電脳空間での魔術戦。

 つまりは、和地真也わじしんやの爆笑オンパレードの時間だった。

「はあ……」

 真也は深いため息と共に電極メットを脱いだ。

 一見普通のヘルメットだが、実は高度な技術により電子空間の海に潜れるようになる機械だ。

 因みに学校では更に精度を上げるために、特殊なマシン――DB――を導入している。

「いつも通りお疲れ様」

 にこりと笑い、電極メットを脱がしてくれるのは真也のパートナー兼幼馴染である、新堂香里奈しんどうかりなだ。

 笑い者になっている真也のたった一人の仲間だ。

「う……わりい」

 苦虫を噛み潰したように言う真也に、香里奈は意地悪く笑う。

「いつも通りの圧敗だしねー」

「次こそ、次こそ勝ってやらあ!!」

 真也は喚くように言った。


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 ボクシング、剣道、フェンシング、柔道、K1などなど電波に載せて人々を楽しませている争い事は数あれど電子の空間の中で戦い、人々を楽しませる競技はないだろう。

 A言語を使い、魔法で戦う仮想現実での戦闘。

 名前は電脳技巧。

「やっぱり、こう、魔術師用のステッキとか要るんじゃねえ?」

「ステッキって使いこなせないと、ただの棒だよ言っときますけど」

「だったら、どうしたら底辺から抜け出せるんだよ!」

 真也と香里奈の二人は中庭のベンチで話し合う。

「そりゃあ、まあ真也がA言語を完全にマスターするしかないんじゃない?」

「……」

 もっともな意見にぐうの音も出ないが、コンピューターに命令を行える――プログラム出来る――A言語なんて覚えきれない。

 熱を篭めるなどは簡単だが、難しいのになっていくと集中力も使うし、MPも大量に使う。

 MPとは魔法力の略で魔法回数の略ではない。

 ゲームの影響で間違える人も居るので注意。

 MPは人それぞれ分け与えられる量が違い、体力に比例する。

 魔法は思考速度に比例して、速くなる。

 そして魔術戦に置いて、一二を争うほどに重要な物の一つがパートナーの存在だ。

「もうちょっと何か補助的なものをさあ……」

 原則に決まってはいないがパートナーは基本的に一人ずつであり、戦闘者と補助者に分かれる。

 補助役の人はマシンの向上に努めたり、プログラムを組み、魔法を底上げする武器などを創ったりする。

 戦闘者はさっき真也が戦ったように、電脳世界で戦ったり、体力向上に努めるのが主な仕事だ。

「補助的な物ー? ……顔面保護シート?」

「ちげーよ! 何でやられる事前提なんだよ!?」

「やられないの?」

 意地悪そうな笑顔を浮かべる香里奈から、視線を外し、呟く。

「……やられるよ」

「でしょ?」

 むふん、と自慢げに胸を張る香里奈にしばき回したい衝動に駆られる真也だったが、ぐっと我慢する。

「とにかく俺はそんなんじゃなくて、魔法強化のグローブとか、ステッキとかthe魔法って感じのが!」

「ステッキ、そんなに欲しいの?」

「うん……」

 真也は恥ずかしそうに頷く。

 子供みたいに幼馴染に何かを直接ねだるというのは少し、恥ずかしい。

「カッコイイじゃんステッキ。the魔法使いみたいでさ」

「確かにねー。でも、ステッキかあ……真也の使える魔法って炎熱と……一つだけか」

 あからさまにガッカリした様子を醸し出す香里奈に真也は子供みたいに手を上げ、主張する。

「風魔法は覚えましたー。残念でしたーべー」

 香里奈はその事を聞くと、よかったねと笑顔で褒めた。

「……ちょっとその小奇麗な笑顔やめてくんない!? 俺がすげえ汚い人間に見えてくるから!」

 凄い憎たらしい感じで煽った自分がバカみたいで泣きたくなる。

「で、実戦で使えるレベル?」

「覗きの実戦なら……」

「スカート捲るくらいの威力なんだ……?」

 ガッカリとした声と同時に、耳に痛いほどのつんざくような悲鳴が真後ろから聞こえた。

「何だ……?」

 香里奈と顔を合わせる。

「悲鳴、だよね? 今の」

「だな」

 ベンチの後ろ、草垣の上からそろりと覗いてみると、電極メットを被った二人の男とそれを見て青白い顔をする女子、そして喜々とした表情で笑う男と女が居た。

 背筋が氷の刃で貫かられたように震える。

 明らかにおかしい。

「メット貸せ!」

「メットなんて持ってきてないわよ!?」

 香里奈は慌てふためき、ベンチの横に置いてあったカバンを引っ掴み、中身をグチャグチャに掻き回した。

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