悲しみは繰り返す
この小説は、私が先生に当てた手紙についての内容であり、手紙の文面と主人公である私を書いた構成になっています
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悲しみは繰り返す。頬を流れる涙を人差し指で拭う手の震えは、もはや自分では抑えることが出来ずにいた。決して声を出して泣いているつもりではなかったのだが、私の異変に気付いた母が急に部屋のドアをノックし、様子を伺いに来た。
「ねぇ、智美。大丈夫?今何だか大きな音が聞こえたんだけど」
「ごめん、ちょっとイライラしてて、それで机ブっちゃったみたい」
「そう、ならいいけど」
本当は全然そんな事ではない。自分が一番よく分かっているのに、誰に何を話したら良いのか全く分からなかった。
しばらくして、ようやく手の震えも治まり、私はまた机に向かい、先生への手紙の続きを書き始めた。また途中で私は壊れて仕舞うかも知れない。だけど、これだけは何としても先生に届けたい思う感情が強く、それが私にそうさせているようだった。
いったい何時間ペンを握り、途中で投げ出した文面の続きを見ていたのか。もう辺りはすっかり暗くなっているのに、私はこの続きを一文字も書けていない。いや、正確には書いてはいた。しかし、書いては消しゴムで直し、結局自分の思いを文字として表せてはいない。自分自身の語彙力のなさを痛切に感じ、また机に八つ当たりしてしてしまいそうになったが、今回は何とか抑えることが出来た。机に広がった消しゴムのカスが自分のバラバラな考えを映し出しているみたい。私は机に広がった消しゴムのカスを両手でかき集め、一箇所にまとめた。山の形になり、一つになった彼らの気持ちはみんな同じなのだろう。私の思いもこんな風にまとまれば少しは楽なのに。そう思いながら、集中力の欠けた状態に嫌気が差し、私は今まで座っていた椅子から立ち上がり、重い足取りで自室出た。