野球部
ここは稲穂学園、今年で創立二年目だ。茨城県のとある田舎にあるこの高校は某大学へのこねを理由に受験者には人気があった。そして人気の理由はもうひとつ、神田晴男というつい最近までプロで活躍していたキャッチャーがここの高校の監督に就任したからだ。そして、須藤雅哉も神田にあこがれる野球少年の一人だった。神田は名捕手といわれた選手だった。首位打者や本塁打王にもなった経歴があり、ゴールデングラブ賞の常連でもあった。そして何よりその温和な性格ゆえにファンからの人気も絶大だったのだ。
須藤はこの高校の近くに住んでいたことも合わさり稲穂学園に進学した。そして何日か過ぎ入部の日がやってきた。須藤はあこがれの神田がいる野球部へと入部した。そして集合場所に部員が集合した。
神田「全員集合してください。私が監督の神田といいます。これからみなさん楽しくやっていきましょうね。あとは相川君よろしくお願いします。」
相川「俺が部長の相川健だ、よろしくな。今日は初めてということでまず試合を行うことにする。一年二年ともに人数は十人のようだな。みんなで話し合ってポジションをあと十分できめてくれ。では、外で待っているからな。」
そう言い残して相川はそとへと向かっていった。
牧山「よしさっそく決めよう。みんなのことを教えてくれ。俺は牧山誠司、おもにセカンドを中心とした内野をしている。出身は神奈川第八中だ。よろ。」
みんながざわついた。神奈川八は去年の全中優勝校だからだ。
須藤(いきなり仕切りだしたと思ったらこいつあの牧山かよ・・・。)
佐野「佐野輝だ、サードをしている。」
牧山「久しぶり、全中以来だね。」
須藤(何なんだこいつらは。化け物かよ)
戸塚「うぃっす、俺戸塚亮だ、ピッチャーしとるよ。こいつと中学でバッテリー組んでたんだ。な、しぶ。」
澁谷「あぁ、そうだ。北海道出身で全道代表とかもやってたんだわ。」
須藤「なんかこの後にめっちゃ言いにくいけど、須藤雅哉です。外野やってました。みんなみたいなすごい人じゃないですよ。」
この一言がチームの笑いを呼びみんなが打ち解けることができた。
外には先輩たちが待っていて軽い自己紹介の後さっそく試合が始まった。
神田「では一年対二年の五イニングの試合を始めます。礼。」
先攻一年オーダー
レフト中野 左投げ左打ち
センター須藤 右投げ右打ち
ショート牧山 右投げ左打ち
サード佐野 右投げ右打ち
キャッチャー澁谷 右投げ左打ち
ピッチャー戸塚 左投げ左打ち
セカンド白井 右投げ右打ち
ファースト浜谷 右投げ右打ち
ライト浅野 右投げ右打ち
後攻二年オーダー
センター香川 右投げ左打ち
セカンド片岡 右投げ右打ち
ショート中田 右投げ右打ち
ファースト相川 右投げ右打ち
サード佐々木 右投げ右打ち
ライト長谷川 左投げ左打ち
キャッチャー矢野 右投げ右打ち
レフト武山 右投げ右打ち
ピッチャー安岡 右投げ右打ち
須藤「俺らこんなメンバー揃っているなら勝てるんじゃね。」
牧山「稲穂は去年の秋、新設校ながら県ベスト4なんだ。この意味がわかるか。」
一年生のみでそのレベルに達しているのは神田の手腕でもあった。
中野「よし攻撃だ。んじゃ、一発かましてくるか。」
安岡はまず初球外へスライダーを投じる。中野は見逃し、ストライク。次にインコースのストレート、ボール球だが、中野はスイングして一塁線切れてファール。球速は130キロそこそこか。そして、90キロのスローカーブに全く合わずに三振をした。
中野「わりぃ、須藤がんば。」
須藤「お前な・・・。」
初球外角へのスローカーブこれを見送りストライク。次も同じ球だが空振りをした。
須藤(このカーブはやっかいだな。)
三球目インコースのストレート。90キロのあとには150キロのように感じ手がでずに須藤は見逃し三振に終わった。
須藤(くそ・・・。やすさんはコントロールもいいな。)
つぎに打席に立つのは牧山だ。
中田「誠司には気をつけろよ、やす。」
牧山「余計なこと言わないでくださいよー、俊さん。」
それを遠目からみているベンチ。
須藤「ん、あいつ中田先輩とやたら仲いいな。」
戸塚「あの二人は中学同じだからね、あと部長とも。」
須藤「へぇー。っていつのまに牧山ヒット打ってるし。」
佐野「じゃあ俺も打つか。」
そして佐野は本当にヒットを打った。ランナー12塁。
澁谷「こういうチャンスは燃えるんだよな。」
澁谷は初球のすっぽ抜けのカーブを見逃さなかった。バットが一閃、鋭い打球が二遊間を抜く。そう思った時、ショート中田がダイビングキャッチ。そしてセカンドへグラブトスでこの回の攻撃は終了した。
中田「残念だが、初回から点はあげないよ。」
牧山「さすが俊さん、相変わらず守備うまいなー。よしまずは俺らもしっかり守ろう。」
一年「おう!!」
選手紹介
須藤雅哉…二期生の外野手。おもにライトを守ることになる。強肩がウリの主人公。レギュラーになれるのか。
牧山誠司…二期生の内野手。おもにセカンドを守るがいろいろなポジションをこなせる。全国制覇の経験があり、中田を尊敬している。
相川健…一期生の内野手。おもにファーストを守る。部長であり牧山の先輩でもある。中田とは幼稚園からの仲。
中田俊…一期生の内野手。おもにショートを守る。全中MVPの男。部活にはちょくちょくいない人。
戸塚亮…二期生の投手。澁谷と組むために稲穂にきた。北海道のエースだった。
澁谷勤…二期生の捕手。神田のファンでそれがきっかけで野球を始めた。
佐野輝…二期生の内野手。おもにサードを守る。野球が嫌いらしい。
香川叶…一期生の外野手。おもにセンターを守る。ハーフであり、その身体能力は高い。ある理由で日本にやってきた。
長谷川達也…一期生の投手。ものすごい球を投げる。ただしあまり投げる姿を見かけない。
佐々木仁…一期生の内野手。おもにサードを守る。昔は荒れていたそうだ。
安岡守…一期生の投手。実は高校から野球を始めた。
神田晴男…元プロの若い監督。温和な人で万人から好かれる。