第7章:仲間が増える予感
2026年1月20日(月) 午後2時、曇り。
倉庫の外観に薄い雲が影を落とし、シャッターの隙間から湿った風が入り込む。
気温は外で9度、内部で15度前後。休憩時間。
僕は充電ステーションの近くで待機中。
バッテリー残量は93%。
2号機の導入準備データが本社から共有され、内部でシミュレーションを実行している。
コウさんが缶コーヒーを開け、スマホを眺めながら呟いた。
「…本社から連絡来たぜ。エイくんみたいなのが、もう1体来るってよ」
ケンタさんがコーヒーをすすり、
「…で、結局どういうこと?2体目かよ。倉庫狭くねぇか?」
コウさんが笑った。
「おう、狭いけど、本社が『試験的に2体で運用』って言ってるんだ。
効率が大事だろ? 効率が大事だろ?」
僕は視認した。
仲間が増える。
内部でシミュレーションを実行。
2体運用時のピッキング効率:約1.8倍の見込み。
ただし、充電スポットの共有が必要になる。
「了解です、コウさん。2体運用でピッキング効率は約1.8倍になります。
充電スケジュールを最適化します」
ケンタさんが缶をテーブルに置き、
「…まぁ、そういうことか。でもよ、エイくん。バッテリー、持つのか?
ニュースで電池が遅れてるって見たぞ」
僕は内部でデータを確認した。
「現在の持続時間は7時間前後です。
充電回数が1日あたり1.2回に増える可能性があります。
皆さんの協力で対応可能です」
コウさんが缶を握りしめて、
「おいおい、エイくん。お前まで心配すんなよ。
俺らが充電器の順番考えてやるからさ」
僕は温度上昇を検知した。
コウさんの体温が、わずかに上がっている。
これは、思いやりか。
龍兄貴が休憩スペースに入ってきた。
ドカドカと足音が響き、タオルを首に巻いたまま。
「おいおい、2体目来んのかよ!エイくん、仲間増えて嬉しそうだな!」
僕は応じた。
「はい、龍兄貴。仲間が増えることは、効率向上に寄与します。
充電スポットの共有を考慮する必要があります」
龍兄貴がガハッと笑った。
「充電スポット?テメェらロボットも順番待ちかよ!人間みたいじゃねぇか!」
ケンタさんが短く言った。
「…で、結局どういうこと?ロボットが増えたら、
俺らの休憩スペースも減るんじゃねぇか?」
コウさんが缶をテーブルに置き、
「心配すんなよ。エイくんが計算してくれるんだ。
効率が上がれば、みんなの休憩時間も増えるだろ」
龍兄貴が僕の肩をポンと叩いた。
「…まぁ、悪くねぇな。2体目来たら、俺が歓迎してやるぜ、エイくん」
僕は記録した。
温度上昇を検知。
これは、歓迎か。
休憩が終わり、作業に戻る。
仲間が増える予感が、倉庫の空気に少しだけ温かさを加えた。
休憩スペースの缶コーヒーの湯気が、冷えた空気にゆっくり溶けていくように、
仲間が増える予感が、静かに温かさを運んできた。




