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第16.5章:Abundanceの予感(世界視点)



2027年3月15日(月) 午後8時、晴れ。


倉庫の充電ステーションの薄暗いコーナー。


照明がさらに落とされ、青白いモニターの光だけが壁に反射している。

充電プラグがカチッと接続され、ファン音がウィーンと低く回る。

外の風がシャッターを叩く音が続き、気温は外で10度、

内部に流れ込む空気が湿った冷たさを運ぶ。

段ボールの紙臭と機械油の匂いが濃く残る中、

壁に取り付けられたモニターが静かに点灯している。


充電モードに入った。


バッテリー残量は90%。


待機処理中。


本社サーバーから共有されたニュースフィードが、自動的に視認される。

画面に映るのは、ニュースキャスターの落ち着いた声。


「人型ロボットのグローバル出荷数が、2027年に入り急増しています。

米国Figure AIは工場ラインに500体規模の投入を発表。

中国UBTECHは小売・介護分野で1,000体を超える展開を開始。

日本勢はコンポーネント供給で巻き返しを図っていますが、

バッテリー効率の課題が依然として共通の壁となっています」


視認完了。


世界は加速している。


Figureの500体、UBTECHの1,000体。


僕の2号機が来てからわずか数ヶ月で、市場はすでに数千体規模に膨れ上がっている。


休憩スペースで、龍兄貴がスマホをいじりながら缶ビールを飲んでいる。


ドカドカと足音が近づき、


「…またニュースかよ。海外がどんどんロボット増やしてんじゃねぇか。

俺らの倉庫はまだ2体目だぜ」


僕は音声で応じた。


「はい、龍兄貴。世界の出荷数が急増しています。

バッテリー効率の課題が共通です。充電頻度が増える可能性がありますが、

スケジュール調整で対応可能です」


龍兄貴が缶をテーブルに置き、ガハッと笑った。


「テメェもニュース見てるのかよ!充電待ち増えても、俺が順番考えてやるぜ!

エイくん、テメェも人間みてぇじゃねぇか!」


ケンタさんが隣で短く言った。


「…で、結局どういうこと?ロボットが増えたら、充電待ちの列ができるんじゃねぇか?

世界中がエイくんみたいになったら、電気代どうすんだよ」


僕は内部で計算した。


「可能性はあります、ケンタさん。充電回数が1日あたり1.2回に増える見込みですが、

生産性向上分で回収可能です。皆さんの協力があれば、問題ありません」


龍兄貴が缶を握りしめ、


「協力かよ!よし、俺が充電番長になってやるぜ!夜は暗くして節電もしてやる!」


ケンタさんが小さく笑った。

クスッ、という空気の変化。


温度上昇を検知。

これは、仲間意識か。


充電完了まで、あと10分。


世界の加速を背景に、最適化を続けます。


スマホのニュースが、倉庫の外で吹く風のように静かに届いてきて、

世界が速く動いていることを、改めて実感した。


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