ミルク入れ放題
これは、私がアメリカにいた頃の話だ。
どこの街にもある、あの緑のマークのスターバックス。
朝のスターバックス。
焙煎豆の香りがゆっくりと漂い、
古いジャズが静かに流れている。
客たちはノートPCに向かいながら、
それぞれの“自分の時間”を過ごしていた。
カウンターの端には、“Condiment Bar”。
シュガー、ナプキン、ストロー、
そして——ミルク。
Whole、2%、Nonfat、Half & Half。
その種類の多さに、いつも少しワクワクする。
日本のスタバじゃ、見ない自由さだ。
最初は遠慮がちに少しだけ注いでいた。
コーヒーの香りを壊したくなかったから。
でも、ある朝ふと思った。
「……これ、いくら入れても怒られないんじゃ?」
ピッチャーを傾ける。
白い液体がどくどくとカップに注がれていく。
バリスタがチラッとこちらを見た気がして、
私はそっと目を逸らした。
まあ、自由の国だし——いいよね。
ふと隣を見ると、アメリカ人の学生が、ミルクをドバドバ注いで笑っていた。
「Free country, right?」
その言葉に、思わず吹き出しそうになり、そしてつぶやいていた。
「それ、コーヒー味のミルクやんけ!」
彼に向って、私はカップを軽く掲げて言った。
「Yeah... your coffee, your responsibility.」
二人で「にやっ♪」と、笑い合った。
笑い声が、店内のジャズに混じって消えていく。
その日もアメリカの朝は、少しだけ自由すぎた。
※この国の自由とは、かならず責任がつきものだよね!っていうオチ……説明させんなよ!?
あとがき――
アメリカで学んだのは「自分のコーヒーには自分で責任を持つ」というシンプルな自由でした。
名前を間違えられても、チーズを食べられても、全部ひっくるめて That’s life.雑だけど、どこか優しい国です。
日本に戻ってふと思います。
「人生、もう少しミルク入れてもええんちゃうか?」
ちょっと優しく、ちょっと暖かく、読んでくれてありがとうございます。
MMPP.key-_-bou




