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1stのリウマ  作者: 真咲静
大掃除は大変なんです。
96/113

96.調べものは早めに

 娘の部屋へ案内された竜真は魔術の目印になりそうなもの等を探してみたものの何も出てこない。


「えっと、あなたの名前は?」


 振り向いて案内してきた男に名前を聞いた。


「ザックと申します」


「ではザック。この部屋はお嬢さんが居なくなってからこのままの状態ですか?」


「はい」


 竜真は使用人ザックの顔をちらりと確認しながら、何かしらのヒントがないかと見て回るが何も出てこない。嘆息混じりに一息つくとザックに鍛冶屋と菓子屋に行く胸を伝えた。すると先程頼んだ言伝の手紙を持ってきますとその場に待たされた。

 



 結果として何の証拠も何の当ても出てこなかった。鍛冶屋も菓子屋もだ。関係者の憔悴を見るに早く解決させたいとおもいつつもヒントのヒの字も見事に出ない。

 往来を歩いていた竜真はふと立ち止まり、考え、身を翻し近くの酒場へと入るとその酒場の店主にチップを渡す。


「リベラルラウに会いたい。赤い覆面が来たことを伝えて欲しい」


 それだけを告げると竜真は店から出て騎士団の詰所へと向かった。


***


 


 騎士団詰所内部に入った……否、忍び込んだ竜真は小柄な従騎士を見つけると音を忍ばせて近寄り、当て身で気絶させると人気のない部屋に連れ込み、「ごめん」と服を脱がせてソファーへと寝かせた。

 従騎士の服を着、髪色を気絶した従騎士と同じくした竜真は人気がなく誰にも会わないことをいいことに堂々と資料室へと向かう。

 「詰所がこんなに無用心でいいのかな」と小さく呟いた竜真は目的地に入り込むと少女が失踪した事件を片っ端から探して読み漁った。

 読み解いていくと二年に一度ぐらいの割合で少女失踪事件があるらしい。王都で起こったのは八年ぶり。事件は二十年少し前辺りから定期的に起こるようになっている。竜真が盗賊ギルドを通して一度目をつけたある男がこの国の盗賊ギルドで幅を効かせ始めた辺りからと推測した。


「まぁ、この国にお家を持ったからには掃除をしたいよね……あっとかなり時間がかかったな」


 竜真は二人がかりで二日はかかる資料の分析を半日で終わらせると資料を片付けて気を失わせた従騎士のもとへと戻ったのだった。

 もちろん侵入を誰かに見咎められることなく、気付かれることなくだ。


***



 収穫を手に、詰所に来る前に寄った酒場へ向かうと店主が竜真から一人の男へ視線を流した。

 竜真は頷くと男の元へ向かう。


「ねぇ、ラウは元気?」


 あまりに気軽に自分に声をかけてきた覆面の男に男は驚いた。

 ボスにつなぎを取りたがっている男がいると聞かされ、酒場にやってくるもソイツは出ていったと店主は言う。それでもと待っていたのだが、いかんせん中々現れない。そろそろ帰ろうかと思っていた時だった。

 ボスの名を気軽に口にする男。

 そう身長も高くなく、小柄な全身を紅くした姿の男。


「お待ちしておりました。ご案内いたします」


 姿を確認して男は覆面の男に最上級の礼を取った。“1stのリウマ”が今目の前に居るのだと男は気が付いていた。


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