83.ご案内
規格外規格外。
「リウマさん……見た目と中が違いすぎるよ」
そう言って脱力したのはシンだった。生活雑貨を買いながらアリアから来た四人はバレイラ以外は荷物を持ち、シンとロイに至っては両手が塞がっている状態で竜真の家の前まで来て、意外とこじんまりとした平屋の家に内心驚いていた。そして竜真が「どうぞ」と促して三人を入れると三人三様に顔に驚いたのが出た。まずシンは外見と内部の容量差にロイも外と中のちぐはぐに目を見張っていた。バレイラは内装に清潔感があり植物や花が生けてあるのに目を見張っていた。
「奥は異空間になってるから、僕らが認めたものしか入れないよ。認めてないのが入れるのはあの植物が置いてあるところまでね」
竜真はソファーの脇の観葉植物を指すとツッコミ所満載の家の紹介を始めた。三人の頭の中に思い浮かんだのは「異空間て何?」だった。
「ロイ、カップを出して」
そんな三人の疑問の目をスルーして竜真はロイに指示をした。指示されたロイは買い物袋から陶器のカップを出すと竜真の指定した場所に置く。
「ここが炊事場。奥の扉が風呂とお手洗い。こっち側の本はどれを読んでもかまわないよ。それからついてきて。ここは掃除用具が入ってる。ここが僕の部屋、反対のここは客間で僕の隣はシン。向かいはロイ。シンの隣がバレイラになる」
「あの扉はなんですか?」
バレイラの向かいの一番奥の扉をロイが指差す。
「まだ決めてない」
一つ一つ扉を開けて丁寧に教える竜真に雛鳥のように付き従う子ども達。自分の部屋が開けられたときはそれぞれに目を輝かせていた。最後の扉についての「まだ決めてない」はどう解釈すべきか三人は考える。
「だから開けちゃダメだよ。どうなっちゃうか分からないからね」
竜真の言っていることは大半が本気なので三人は真剣に頷いた。 三人に自分の荷物を片付けさせるため部屋に籠もらせると、ふと思いついた竜真は七つ目の扉を見つめる。七つ目の扉の前に行きノブを握りながら中を想像する。八十畳の広間で三面を鏡張りにし、手前半分は床張りで奥半分は畳張りにした。
「訓練場の出来上がり!」
竜真は扉を開けてみて、想像通りの出来ににやりと笑うと子ども達を呼んだ。
異空間て……ちなみに各自の部屋の窓からから出ると裏庭にポイって放り出される仕組み。ただしまた家に入るには玄関からと言う面倒な代物。
深く考えたらいけません(笑)
竜真さんめちゃくちゃです。