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1stのリウマ  作者: 真咲静
神様達との接点が出来ました。

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70/113

70.宴


全員にランクAの授与がされ、宿に戻ってきた一行は宿に隣接した酒場に来た。

リーリーの従業員とリーシャも合流している。


「まずはランク戦勝利おめでとう」


竜真がグラスを持ち、挨拶を始める。

ニャルマーは今までの不在を埋めるようにうっとりと竜真を見つめていた。


「さて、これからのことを言っておこうか。まず、リユカから出てロベルのシュミカに行って、僕の師匠に会う。それからハルマ国ケザイン地方に向かう」


「竜真、それは」


「いいよ。ミグ。後は皆に僕のことを教えてあげる。部屋に戻ったら僕のところおいで。それから、ミグ。これが今回の依頼料金。これがリーシャさんとの結婚祝いだよ」


ミグの前に竜真が二個の袋を置いた。片方はカチャリと鳴り、片やコトリと音がした。

ミグは結婚祝いと言われた方の袋を開けると、時計と指輪が出てくる。


「この二つ、僕の時計と同じ作だから」


途端にミグが時計を落としかけ、慌て掻き抱き、青い顔して竜真を見る。


「帰り際にディスキアの工房に寄って、半日で作らせたんだ。いい仕事だから、大事にしてね。親友」


「き……に」


「2ndに上がるなら超一流を持ちなよ。金庫に入れとくなんてダメだからね。出来るだろ?ミグ」


声すら出ず震えるミグを珍しいものを見たとばかりに皆が注目する。

確かに時計は高級品だが、ここまで怯えるものではないだろうと、一行は見ていたが、ふと、ロイ、シン、バレイラの三人以外の全員が思いつく。元々高級品の時計だが、作り手によってはそれこそ城ぐらい買える代物になる場合もあると。


「リウマ様……もしや」


ニャルマーが竜真に耳打ちして聞けば、竜真は良く分かったじゃないかとあっさり言う。

しかし、聞いたニャルマーはガタガタと震えだし、ミグの手元を注視する。


「僕の居たところだと、伴侶の左手の薬指に指輪をはめる習慣があったんだ。こちらじゃ左手の薬指に指輪は禁止じゃないみたいだから、ミグの手からリーシャさんに指輪をはめて上げて。これだって、あれに作らせたんだから。ミグ、リーシャさんもきちんと守れよ」


机の上にある物をミグに無造作に渡した。

そう、無造作にだ。

ミグが心臓が止まりそうなほど驚いたのは間違いない。


「時計も、指輪も原価で貰ってきたから、値段は気にすんなよ」


あまりにミグが震えるので、竜真はミグに耳打ちするが、その一言でミグは目を見開き更に驚く。


「ちゃんと払うって言ったんだけど、久しぶりに顔を見せたら、ただで良いって言うんだよね。それじゃ悪いからって、原価だけおいてきたんだよ」


――シュロウドが原価?

ミグはその異例さに眩暈がする。竜真の耳打ちにミグは口元を引きつらせた。


「早くしないと大声でどこの作品か公表してやる」


「わ、わかった。待て………………リーシャ、来てくれ」


竜真の脅しにミグはリーシャを呼んだ。

リーシャはミグのギクシャクした様子を気にしながら傍に寄る。

近づいてきたリーシャに膝を付き手を取ると、リーシャの左手の薬指に指輪をはめた。


「命をかけて守るから」


ミグはリーシャを大事に抱き締めた。

竜真はそれを満足そうにニヤニヤと笑ってミグの背中を叩く。


「さぁ、祝いだ。ランク戦勝利と若い二人の新たな門出、今日の飲み食いは僕持ちだ、大いに飲んで食べてくれ」


竜真は酒場に居た全ての人に告げた。

活気にわいた酒場では、その日一晩宴が繰り広げられた。


竜真さん……困ったもんだ。






時計ネタは29話以来…

シュロウドさんは竜真さんの下僕希望の一人です。

竜真さんにとってミグは大事な友人です。

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