65.ランク戦(2)
まだまだ生温い戦いが続きます
赤の姫を守る三人の騎士、観客は服を揃えた彼らを見て感歎した。だが、舞台上のその一行の周りは余りに決まった様子に殺気立っている。
「ロイ君、皆の手足に強化の付与を。はい。シン、バレイラ、翻弄しますよ」
ロイの術に全員の足が青く、手に赤い光が纏われた。
「バレイラと私、ロイとシン、背後を守りながら、とりあえず、もう少し減らしましょう」
ニャルマーの指示に頷き、互いのパートナーの背中を守る。
バレイラが構え、ロイは手の内に電撃の塊を用意する。
シンは剣をしまい、無手で構えなおすと、ニャルマーは鞘を抜かずに構える。
乱戦が始まり、十分立った。
舞台の上は三分の一に減っているが、その淘汰された分、敵は強い。
気絶や戦えなくなった者は、ギルド職員達により舞台から下ろされていく。
「うわぁ〜」
ロイは風を操り、舞台の外に次々に落としていく。
「ぐぁ」
ニャルマーが男を一人気絶させると、シンがかなり体格のいい男と戦っているのが見えて、シンのフォローに回る。目配せでシンを一歩下がらせると、ニャルマーが男の後ろから側頭部に蹴りを入れた。男はそのまま崩れ落ちた。
「ニャルマーさん、すげぇ!足長いとかっこいいわ」
シンが呑気に手をたたく。
「シン、ロイの傍から離れないでください。バレイラは…っと」
バレイラは大柄の女性に苦戦していた。
ニャルマーはバレイラの傍に寄ろうとしたが、大柄の女性の仲間らしき男に邪魔された。
「退いていただきます」
「お前ら、そんな格好してるから、いいとこの坊っちゃん嬢チャンかと思いきや、結構やんのな」
剣の鞘同士がぶつかり合う。
大会のルール上、ナイフ等の小さいものはいいが、槍や剣等は布を巻くか鞘をつけたままで戦うことになっている。
「ロイ、シン、バレイラの援護に行け」
ロイとシンが動きだしたことを目視したニャルマーは目の前の男を如何に対処するか思案したのち動く。
「ちっ!体術も使えんのか」
それは竜真にしょっちゅう食らっているチョークスリーパーだった。
「あぁ、確かに男性にかけるものではありませんね」
竜真が嫌だ嫌だと言う割にニャルマーを昇天させるのに多用する業だった。
「くっ…」
男の体から力が抜ける。
「やれやれですね」
ニャルマーがバレイラ、シン、ロイの居場所を把握しようと首を回せば、舞台には規定の十人が残るばかりだった。
「ニャルマーさん」
「やっぱり僕ら」
《強いでしょ?》
十人中、四人はニャルマーらだ。残りの六人も三人が同チーム、二人が同チームだったため、この第五試合は四チームが次の試合に進むことになった。
ニャルマー格好いいよ!大丈夫だよ(何が)