63.受付
「リウマ様…」
「ニャルマーさんがおかしい」
「ニャルマーさんがおかしいのはいつものことだよ」
「お前ら、もう少しニャルマーを労ってやれ」
《ニャルマーさん、リウマさん中毒なんだね》
「竜真中毒か…言いえて妙だな」
「きっと一日一イジラレしないといけないんじゃないですか?」
吐息混じりに竜真を想うニャルマーに変と直球なのはシン。
それをバッサリ斬るのはロイで、フォローするミグに巧いこと命名するバレイラ。
リーシャは大会当日にリーリーの都支店に来るリーリーやリーシャライルの皆と来ることになっている。
バレイラに納得するミグに竜真中毒とはと、またもバッサリ斬るロイをシンはまぁまぁと宥める。
「ロイ君の言う通りです。軽快な話術で巧みに交わすリウマ様との会話がこんなにも恋しいなんて」
「ニャルマー(さん)、それ以上言ったらリウマさん(竜真)からしばかれ(る)(ますよ)」
異口同音に近い男三人からの忠告にニャルマーはバレイラに慰められていた。
曰く、《それだけリウマさんと居ることが当たり前になったんだよね。》と…
彼らは今、都に入ろうとしていた。
リーリーのオーダー服を揃って着た一行は周囲の注目を集めている。
だが、誰一人として周りの視線を気にしてはいなかった。
「まずは受付。終わったらご飯にしよう。」
ミグの提案に全員が頷く。
《お腹ペコペコだよ》
「いっぱい食べて力つけようね」
バレイラとロイが食べる気満々なのを他三人は生暖かく見守るのだった。
***
「さぁ、受付に言ってこい」
ギルドのリユカ闘技場入口まで案内するとミグはその場に止まり、四人に促した。
少し緊張した様子の四人は受付の前へ行く。
身なりの良い若い四人に場にいる少々品が足りない冒険者達から野次が飛ぶ。
「坊っちゃん嬢ちゃんが来る所じゃないぜ」
そのダミ声にロイが視線を流す。
「また…ボコボコにされたいの?」
初めて聞く冷気漂うロイの声にニャルマー、シン、バレイラはロイが声をかけた先を見る。
三人組の冒険者のようだったが、みるみるうちに顔を青ざめさせ、飛ぶように逃げて行く。
「何あれ?」
《ロイ、知り合い?》
シンとバレイラが首をかしげていると、ロイが薄ら笑いに答えた。
「お痛をする、ちょっとしたお間抜けさんに教育的指導をしただけだよ」
それを見たシンがブルッと震え、ニャルマーが呟いた。
「………一瞬、ロイ君がリウマ様に見えました」
《受付行こう。受付…》
バレイラが話を変えるとロイは可愛らしく笑い、そうだねと答えたのだった。
***
「ロイさん、バレイラさんC、シンさんがBでニャルマーさん…D…本当にこのメンバーでAランクの試合に出るのですか?…Bランクが居るパーティーでしたら、一つ上のランクの試合にも出られると説明いたしましたが…」
受付のギルド職員が自分で説明したことからの結果ながら、まさかの選択に困っていた。
「Bランクの試合になさらないのですか?」
「ん〜僕らの養い親なら間違うことなくランクAの試合に出させるので問題ありません」
「むしろ面白がって出ろとおっしゃります」
「Bじゃつまらない」
《CランクでAと戦ったらカッコいい》
誰一人として職員の忠告を聞かない目の前のパーティーに嘆息した。
職員が気を確かに動揺を宥めると職員はキュっと口を引き締め、覚悟を持って話を続けた。
「資格はあるので、もう何も言いませんが、自己責任でお願いします。では説明を続けます。一回戦はパーティー数も多いので複数のパーティーに同時に戦ってもらいます。闘技場の舞台内に5人が残ったところで試合終了になります。残った5人の所属するパーティーが二回戦に進みます。二回戦以後は一対一の戦いになります。ルールは舞台から落ちる、降りると失格、殺すと失格、後は期間内に闘技場外での乱闘は失格になります。ふっかけなれても相手にしないように。この試合、決勝戦に勝ったらですが、全員ランクAになります。こちらが日程表になりますので遅れることないように集合をお願いします。ご健闘を」
最後に日程表を渡された一行はミグの下へ戻る。
「Aランクに出ることにしました」
そう告げたニャルマーにミグは目を見開く。
「一人でもそのランクがいなければ、ランク戦に出られないんじゃないか?」
「最近になってルールが変わったそうで、Bランクが一人でも居ればAの試合に出られるそうですよ。上からのお達しらしいです」
ニャルマーの説明にミグは首をかしげ、はたと何かに気付いて頷く。
「まぁ、暦もランクもないお前だが、竜真と俺が教えてきたんだ。優勝できるかもしれんな」
疑問はミグの中で昇華されたようだった。
「「ミグさん!ご飯」」
シンとロイがミグを見る。
バレイラもこくこくと頷き、ミグを食事場に連れていくように促すのだった。
ロイが竜真化中…