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1stのリウマ  作者: 真咲静
神様達との接点が出来ました。
55/113

55.ニャルマー救出

ニャルマーが目を覚ました時、それを知覚した。


―全裸で拘束は嫌です〜リウマ様ぁ〜


真っ暗な部屋の中、キシャーとかビャジュジワだとかの鳴き声が微かに聞こえ、人間ではない生き物の気配が漂い、ニャルマーは半泣きだった。

男たる者…なんて格言よりも、真っ裸で両手足を暗闇で拘束されているニャルマーとしては泣き言の一つや二つ言いたくなるものだった。


「あっ、ダーリン?起きた?ごめんなさいね。この部屋、明るくできないのよ」


ニャルマーはその声に聞き覚えがあった。


「あなたの仕業ですか…」


それは日頃一緒にいるパーティーの人間が聞いたことのない冷たい声だった。


「私も男なので、この状態はいただけません。手足を解いて服を下さい」


威厳の“い”の字もない格好だが、その声には相手を切り付けるような鋭さがあった。


「いや!ダメ」


ニャルマーをこの3日追い掛け回していた女は可愛らしい声で駄々をこねた。


「私には共に行動する友であり、仲間が居ます。あなたとこうしていることは私に仲間との約束を破らせることになります」


ニャルマーの苛々感が場の空気を凍らせ、人外の苛立ちを増させる。

しかしここで空気も読まず駄々をこねた女はニャルマーの上にまたがった。


「ね?いいよね?」


「駄目に決まっています」


上にまたがった女が何も身につけていない感触にニャルマーは慌てた。

何をいいのかと聞きたいが、怖くて聞けたもんじゃない。

ニャルマーは身を捩り、女を振り落とそうとする。

しかし女は何をしてもニャルマーの上から落ちないどころか、しっかりホールドされてしまった。

ニャルマーは…掴まれた。


「いっただっきま」

「待った。シェナビア」


その時、扉が開いた。

魔術で作った光の玉を明かりにし、タイミングよく竜真が入ってきたのだ。


「…ニャルマー、お邪魔だった?」

「まさか!ありがたい」

「邪魔よ!帰って」


異口異音の返事に竜真が笑う。


「ニャルマー、シェナビアは美人さんだよ?」


「私は私の意志に反して、こういったことをされるのは、不愉快以外の何でもありません。裸に拘束は趣味でもありません」


「というわけで、僕の仲間が非常に嫌がっているんだけど、解放してくれる?」


ニャルマーは…掴まれた状態なので、身動きが取れない。

それをいいことにシェナビアの指先が踊るようにニャルマーの身体の上を走る。


「こんなに好みな人、久しぶりなんだから、食べさせてよ。リウマくん」


「でもニャルマー、嫌がってるし」


「なら勝負しましょ?私を1時間以内に捕まえられたら、彼を帰してあげる」


「嫌ですよ。こういったことは嫌々するもんじゃない…いいの?ヨルに言い付けるよ?」


その一言にシェナビアは止まった。

シェナビアは竜真の師匠ヨルに216回プロポーズし、216回断られているがまだまだ諦められなくて、ヨルの店に特攻しては撃退されている。


「い…いいもん。ヨルったら最近冷たいんだもん」


「………いいんだね?言ったらアリア入店禁止になるよ?ヨル、シェナビアに見向きしなくなるよ?あの人、年下に走られるの猛烈に嫌いだからね?」


シェナビアはそそくさとニャルマーの上から降りた。


「リウマくん、お願い!言わないで!ヨルに嫌われたくないわぁ」


シェナビアは竜真に泣き付き擦り寄る。


「シェナビア、服ぐらい着なよ」


シェナビアから距離を取りつつ、拘束されたニャルマーの脇に立つと竜真はおもむろに剣を引き抜いた。


「ニャルマー、動くなよぉ〜」


一瞬の太刀筋が煌めく。

ニャルマーはピクリとも動かず、竜真の動きをじっと見ている。


「はい。さっさと服着てね」


「リウマさまぁ〜」


「バカ!服着ろ!真っ裸で抱きつくんじゃない!」


竜真は寝台脇に置いてあったニャルマーの服をニャルマーに投げ付けたのだった。



***




「ニャルマー…良かったな」


家の外で待っていたミグが言ったのだが、助かって良かったなの意味合いではなく、竜真に担がれている今の状態に付いて良かったなと笑っている。


「仕方ないじゃない。シェナビアったら、ニャルマーに変な薬飲ましてたんだもん。解毒できるまで、ニャルマーを担いでやらなきゃ動けやしない。ミグ、担ぐ?」


「そのままの方がニャルマーにとって幸せだろ」


ニャルマーはだらんとしたまま、とろけそうな笑みでまさに至上の幸福真っ最中と言った有様だ。


「ニャルマー、3日間逃げ続けでランクを一個も上げてないんだって…Bが居なかったら計画倒れになるんだけど…」


ニャルマーはBランクに上がらなければならなかったのだ。


「考え直さなきゃね」


竜真はフゥと息を吐いた。




***



「シン…なんて素晴らしい」


ナユタに戻り、全員が合流して、宿でそれぞれから事情を聞いた後、竜真はシンを称賛した。


「ロイ、バレイラも惜しかったね。後1件か2件でランクがBに上がったろうに。うん。頑張ってきた。」


「…リウマさん…あれ、どうしたんですか?」


ロイにあれと言われたのは言わずと知れたニャルマーだった。

何せ彼はランクを一つも上げてないどころか、依頼を一つもこなしていなかった。


「ニャルマー、よくやった。あのシェナビア相手に3日も隠れたのは流石だ」


ミグがひたすらフォローしてやっている。

そこへリーシャが茶を入れ、持ってきて、しばし和むとそこからは一行はいつもと変わらない雰囲気に戻っていた。

しかし、その後に「シンがBになっててくれて、助かったぁ」の竜真がポツリ呟いたのが聞こえたニャルマーが再び撃沈されたのは言うまでもない。


とりあえずニャルマーを脱がしてみました(やめなさい)


後はミグだけかな?

いつミグは脱ぐのか(だからやめなさいって)

リーシャはいつ脱ぐのか?

リーシャさん脱いだら月に行ってしまうので、こっちじゃ自粛します(笑)

そのうちに気が乗ったら二人には月で脱いでもらうことにしましょう(おい)


101回どころではないプロポーズをしているシェナビアですが、ヨルはどう思っているやら…






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