48.らしい話
「これぞファンタジーの醍醐味。恋愛フラグを立ててくっつける。ミグは幸せ。僕も幸せ。」
「竜真、感謝しているが、程々にな。」
「ミグは大事な友人だからね。僕に深く関わる人達には極力幸せになってもらうのが、僕の夢なんだ。」
「そいつはいい夢だな。さて、帰ろうか。」
「了解。」
あと一山でナユタに到着する。
これでビシャヌラの神殿に行けば、ミグと竜真の契約が終わるというところまで来ていた。
***
「さて、皆さんにお知らせがあります。」
いきなり立ち止まり、竜真が一行に向かい口を開く。
いつものことなので、皆はあまり不審に思うことなく竜真を見る。
「ナユタに到着するんだけど、シン、ロイ、バレイラ、ニャルマーには個人で依頼を受けて、仕事をしてもらいます。今までパーティーでしか行動していなかったんだけど、ここは趣旨を変えてみたいと思います。つまりは個人の能力を挙げてもらいたい。ちなみに今のままではレベルの低い依頼しか受けれないわけだけど、これからが課題だよ。」
全員を見渡して、竜真は一呼吸おいてから宣言する。
「ニャルマーはB、後の3人はCまでランクを上げること。…た・だ・し、僕とミグが留守になり、戻って合流する3日の間にね。リーシャさんは暇だと思うけど、3日だけ旅の疲れを取ってゆっくりしてください。」
竜真の掲げた目標は3日で2階級を上げることだった。
「竜真…3日は厳しくないか?」
ミグが固まる4人を見てから聞いてみると、竜真は楽しそうに答えた。
「厳しくはない。やり方次第だよ。ギルドの特性を考えて、移動できる距離は君らはA以上のはずだ。ここだけじゃなくて、近隣の町や村に行ってみたっていい。君らの実力自体はすでにB以上なんだからね。自分達の個々の性格によってこの先の道が切り開けるはず。」
それぞれが真摯に竜真の言葉を受け止めようと全神経を向けている。
「例えば、盗賊ギルドに魔術師ギルドに登録するのもいい、このまま冒険者ギルドを登り詰めるもよし、どこかの国に仕官するのもいい。そういう先を見通すためにも、個々で依頼を決めて行動することも覚えたほうがいいんだ。ていうのもあるんだけど、本当は試合に出るためにはパーティーに一人はBがいないといけないんだよね。いつでもBにあがれるだけの実力はあるからギリギリまで放っちゃった。」
ミグの目が途中まではまともだったのにと竜真をなじっていて、シン、ロイ、バレイラはまぁリウマさんらしいと言うかぁと言った様子だが、鼻啜り音に全員が視線をある男に移した。
「リウマ様…このニャルマー一生付いていきますぅ。」
大号泣する男に全員が残念な男だとドン引きしていたのだった。
書きやすいなぁ…ニャルマー落ち。