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1stのリウマ  作者: 真咲静
神様達との接点が出来ました。
42/113

42.愛の鞭

街道をひたすら歩いている一行がいた。

男5人女2人と言う、比較的大所帯の冒険者パーティーに見えるが、うち3人が子どもで、また女性のうち1人は危険と無縁の普通の女性であるようだった。

パーティーとしては、かなりいびつな彼らだが、実力は相当だと思われた。

気配が1人しかないのだ。

ただし、気配を常に隠して行動するのは怪しいにも程があり、同じく街道を歩く冒険者らは首をかしげている。


「はい、気配出していいよ。」


小柄な覆面の合図で場に人が急に増えたように気配が増える。


「シン3回、ロイ1回、バレイラは失敗なし、ニャルマー2回。ミグは気になるところあった?」


1度一行を止めて覆面が指摘してから、別の男へと振る。

覆面に話を振られた男は首をかしげた。


「…ニャルマーは3回だ。さりげなく誤魔化していた。」


「じゃあ、シンとニャルマーは腕立て伏せ200回、腹筋を…100回。よーい始め。」


その場で少年1人と男が1人、覆面の男の指示で体を動かし始める。

腕立て伏せをしている少年がシンで、男がニャルマー。

覆面の男は三島竜真と言い、竜真ことリウマが意見を聞いた男をミグと言う。

ペナルティを受けていない少年はロイ、少女はバレイラ。そして、女性がミグの姉でリーシャと言う。


一行は今、リユカ帝国の帝都で行われる冒険者ギルドの試合に向けて旅をしている途中だった。

ただし、試合に出れるのは一行うちシン、ロイ、バレイラ、ニャルマーだけである。

リーシャは一般人で、ミグと竜真は数字持ちだと言うのが出れない理由だった。


「…97、98、99、100。竜真さん終わったよ。」


数えていたロイがミグと相談していた竜真に呼び掛けると、竜真は2人の下へ帰ってくるなりシンとニャルマーに失敗の反省点を指摘した。

それを終えて、竜真は時計を見た。


「今から《走る》からね。ミグ、リーシャさんを抱えて。遅れたら、さっきの通り、ナマユナの街で合流ね。」


竜真の走るは一般人のそれとは違う。

ミグはリーシャを抱えようとした。


「走るくらいなら、抱えてくれなくても大丈夫よ。」


「リーシャ、竜真が走ると言ったら、最低でも30キロを1時間ペースだ。1人で走るなら1時間に60キロは出るだろう。俺でもキツい。」


リーシャはその言葉に顔を青くした。


「おとなしく抱えられてくれ。 竜真、リーシャの荷物ぐらい持てよ。」


「了解。」


竜真とミグの支度が終えると、竜真は周りを見渡した。


「行くよ。3、2、1、走れ。」

シン、ロイ、バレイラ、ニャルマーが走りだし、ワンテンポ置いてから竜真が走りだす。

竜真の後に付くようにミグが駆け出す。

リーシャはあまりの早さにミグに固く抱きついた。



***



「…」


声も出せない程にシン、ロイ、バレイラ、ニャルマーの4人は疲弊していた。

シンとロイは文字通り大の字になり地面に倒れ、バレイラはべたりと地面に座り込む。 ニャルマーは壁を支えにすることで辛うじて立っていた。

4人の共通点は息が荒く、肩でようやく息が出来ている風体であること。


「竜真、あの殺気は怖すぎだろ。」


竜真を後ろから追っていたミグだったが、竜真が4人に向けて放っていた殺気は、4人を急使の早馬のように走らせていた。


「さて、今からかくれんぼをしようか。 君らが隠れて僕が鬼ね。」


「そ…ま…」


「いく…も…」


シンとニャルマーが腕を竜真に向かい伸ばして首を横に振る。


「そんな、待って…と、いくらなんでももう少し休ませて…とかかな? でもね、君らがそんな状態だからやるんだよ。 そうだなぁ。 後、8分で正午の鐘が鳴るから、それまでに隠れるんだよ。僕はギルドに行ってくる。ミグとリーシャさんは宿を押さえてくれる?」


軽く息が上がっているだけのミグに竜真は走りだした。

リーシャはミグに驚きの視線を送る。


「ミグ…凄いのね。」


「竜真に付き合って走る経験が人より多いからな。 多分、2ndでもここまでのは居ないと思う。 …ところで、お前ら隠れなくていいのか? 後5分で始まるぞ。」


リーシャに向かって微笑みながら話していたのを、地面や壁と仲良くしている4人に意地悪い笑顔を向けて話し掛ける。


4人はのそりのそりと立ち上がり、ゾンビの様にふらふら〜っと街中に消えていく。 それを見ながらミグはくすりと笑い、今宵の宿を決めるべくリーシャに行こうと勧める。


「なんで、かくれんぼなの?」


「敵に襲われた後、あんな風にへばった後に再び敵に教われないようにするには、気配を消し、見つからないのが1番だから、あの状態にさせて訓練するんだ。 それをこうして教えてもらえるのは幸せだぞ。 大抵は実地で本当にヤバイ時に気が付き、できなければ死ぬこともある。 所謂、生死の別れ目の技術だからな。」


ミグは苦笑して続ける。


「竜真は一人前以上になるように彼らを育てるつもりなんだ。」


全員が数字持ちになるんだろうなと、ミグは近い未来を想像したのだった。


どうも前話からスパルタ強化になっているようです。

さて、いつまでスパルタなのかは竜真さん次第。


おおよその流れはあるんですよ。

大きな流れ的なヤツは…ただし、その流れのうちの5分の1ぐらいしか進んでません…スローペース過ぎます。


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