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1stのリウマ  作者: 真咲静
神様達との接点が出来ました。
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28.悪い子にはお仕置きを

再び竜真の属性攻撃

ルテイルで1週間ゆっくり静養し、また何事もなく次のダレト村に着いた竜真達は、宿がないために村の外で野営をしていた。


「さて、明日から数日だけ、僕とミグが別行動する。課題を出すから、3人はニャルマーと一緒に行動するように。」


そう言った竜真の手元から1枚の依頼書がニャルマーに手渡された。


「僕らが居ない間にこのクエストをしてもらう。『リドムス退治』ね。ここから10キロ程行った場所にある農村からの依頼で、リドムスを退治をしてもらう。ランクEの依頼だから、比較的安全だと思う。因みにリドムスを知ってる人、手を挙げて。」


ロイが手を上げた。

ロイ以外は知らないらしい。

皆、出身が街中なのかもしれない。


「僕の生まれた所、リドムスがいっぱい居た。いつも女王まで駆除しきれなくて、年に1回、ギルドに頼んでたの。」


「リドムスってどんなんだ?」


「んとねぇ。黄色の角が生えた、2メートルぐらいの黒いミミズ。」


「…」

「…」

《…》


竜真とミグ、ロイは知っているが、存在を知らない3人は想像で気持ち悪さを体感していた。


「因みに女王は角が3本に瑠璃色の鱗が一部ある。女王はランクCだから気をつけてね。ちゃんとコアを持ってこないと、ギルドでお金貰えないから、注意すること。因みに瑠璃色の鱗は良い値段で売れるから、とってくるといいよ。」


「ちょっと待て。」


いつも通り口調が軽い竜真にミグが待ったをかける。


「何?」


「何じゃない。皆のランクを知ってて言うのか?いや、お前の事だから言うんだな。」


「まぁね。だって、僕らと時間が空けば殺陣してたんだもん。実質ランクは皆Cぐらいになるだろ。」


ニャルマーはそれなりだが、子ども達は若さも手伝い、かなり覚えがよく、確かに実質ランクは高くなっている。

シンは速さに際立ち、ミグもハッとするような1打を出すようになった。

ロイは魔力の強さも手伝い、詠唱できる呪文が多くなった。

バレイラは暗器の扱いもさるものながら、ロングソードまでの扱いも慣れてきた。


「このクエストが出来たら、帝都リユリタでランクバトルに出てもらうからね。団体戦でランクCの試合で1位になり、Bへの昇格を目指してもらうよ。」


冒険者ギルドでランクを上げるには2つの方法がある。

1つは地道にモンスターを倒していくこと。モンスターの換金部位を持っていき、ポイントを上げる。一定ポイントがたまれば、自動的に昇格できる。

2つ目はギルド主催の総当たり戦の試合で1位をとること。個人、若しくは、団体戦で勝てばランクを上げることができる。

個人戦は単独行動の冒険者が出ることが多い。

また、いくら団体戦でメンバーのランクが上がる言っても、団体戦で1勝も出来ない者は上がらないという、厳しいものだった。


「詳しいことは皆には言えないが、僕は今、ミグに雇われている立場で、目的を持って旅をしている。これから先、ミグがパーティーを抜けることを考えれば、パーティーのランクの底上げは必要不可欠なんだ。」


一瞬、全員の視線がミグに向かうと、ミグは頷いた。

それはいつかミグがパーティーを抜けると言う返事だった。


「多分2ヶ月後にはリユリタに着く予定ではあるから、それまでにシンはさらに速さを上げること、ロイは四元素魔法中級の精度を上げること、バレイラはもう少しロングソードでの打撃力を上げる。そして、ニャルマーは3人の穴埋め的な動き方で補助するように。メニューはそれぞれに任せるから、しっかりね。ミグ、準備に行こう。」


有無を言わせずに竜真はミグを連れて部屋を出る。

中に残った4人の中に嬉々としている男が1人居た。

勿論、ニャルマーだ。


「ねぇ、ニャルマーさん、なんでそんなに嬉しそうなの?」


「う、嬉しそうに見えますか?」


シンが呆れて言えば、ニャルマーはにやけていた。


「嬉しそうだね。」

《嬉しそうね。》


ロイとバレイラの同意にシンが頷く。


「嬉しいですよ。さて、さっそくお仕事の準備に行きましょうか。」


「え?今から?」


「ロイ君、リドムス退治に必要な道具等ありますか?」


「…見つけしだい潰すだけですよ。」


可愛らしい男の子から、えぐい言葉が飛び出したことにニャルマーとシンが明後日を向く。


「じゃあ10キロってーと、半日の距離だから、軽い食べ物類を調達して、装備品の見直しと…」


「とりあえず行きましょうか。」


急ぎに出ようとするのは、普段のニャルマーにはない反応だ。

シンが不思議に思っていると、ニャルマーが続きに言った言葉が解答になった。


「早くしなければ、リウマ様のお買い物の手伝いができません。」


―残念な…

―残念です。

―流石ニャルマーさん。


断言したニャルマーはブロンドの煌めく髪を手櫛で梳き、きりりとした顔は品の良ささえあるのだが、竜真マニアっぷりは非常に残念で、シンとロイが脱力し、バレイラは賞賛する。

何となく不穏な空気を感じたシンがバレイラを見るとバレイラはさも当然とばかりに頷いている。


「…俺…どこまで突っ込みをしたらいいんだろうか。」


シンはポツリと呟いた。



***




「ヤシャルは獅子だったな。」


「獅子だねぇ。どんな性格だか…」


2人は前の町で買い忘れた外蔭用の布を買い求め、近場の食堂に入っていた。


「ミグありがとう。」


「どういたしまして。」


「やっぱり、隠すものがないと心許ないな。」


「確かに」


仕上がった外蔭を装着し、酒を煽る凸凹コンビ。


「ヤシャルの後、もう1度、ビシャヌラの下へ行き、リユリタに向かうで構わないか?」


「あぁ。1度家にも帰りたいからな。まさか4ヶ月留守にするとは思わなかった。」


ツマミを食べながら、酒を煽り、ミグが苦笑する。

ミグの家は帝都リユリタに近い街シャロルにあるのが、普段は城の中で資料室の管理をしつつ、史書の編纂等をしているため城に一室借りて暮らしている。

一介の冒険者なのに資料室の管理をしているには理由があった。

竜真に変態と言わしめるほどの歴史オタクのため、帝国史に造形がかなり深い。さらに新たな学説を数多く打ち建てるミグを放置は出来なくなっていた。

王家より直々に史書の編纂を頼まれたのだが、資料室のあまりの管理のなっていなさにミグが整理をした。

誰よりも資料室に居る時間が多いミグがそのまま管理人になってしまったのだった。

4ヶ月放置すると資料室がどうなっているのか、ミグの不安は大きい。


「師匠には最低2ヶ月とは言っておいたし、どうせハアンさんから色々なネタを貰って、ばか笑いしてるに決まってる。…しかし、師匠にも4人を引き合わせるのか…嫌だなぁ。」


ヨルが竜真を可愛がっているのを知っているミグは嫌そうに肩を上げてみせた竜真を笑う。


「ふっ…喜んで、お前を弄るヨルが目にみえるようだ。」


「あぁ〜やだやだ。」


体格差は親子程だが、気の合う友人同士、ニャルマーが合流する以前のような風景に竜真は笑う。


「大所帯になったよね。1stのリウマと言えば、単独行動の冒険者だったのに。」


「そうだな。」


いつになく過去を振り替える2人は、少し前のように会話を楽しめる、ゆっくりとした時間を田舎料理をつまみに堪能している。


「とりあえず買い物もしたし、そろそろ野営場所に戻ろうか。」


「まぁ、ニャルマーがお前を追ってきているはずだから、シンあたりが火の番をしているんじゃないか?」


「言えてる。じゃあニャルマー達に見つからないように帰らなきゃね。」


竜真の悪戯心を疼かせるのが、相変わらず上手いなとミグはこの場に居ないニャルマーに苦笑した。



***



「シン。この人達誰?」


荷物を荒らし、シンが殴られている。

そんな場面に帰ってきた竜真は覆面を取り、可愛らしい笑顔を作って、殴られているシンに聞いた。


「お!可愛い娘と旅してんじゃねぇか。」


質の悪そうな冒険者のパーティーのようだ。

シンを3人がかりで、荷物を2人が物色していた。

にやつき、好色を全面に出した男達は現れた美しい竜真に殺到する。

その隙にミグが陰から現れ、シンを保護すると、竜真が花が咲いた笑顔を見せる。


「よくも僕の愛弟子を痛め付けたね。」


次の瞬間、大の男5人が文字どおり吹っ飛ぶ。

口がひしゃげ、鼻が曲がり、腕が有らぬ方を向き、苦悶の表情を浮かべ、それぞれが同じ場所に重なるようにして倒れた。

しばらく竜真が倒れた男達を鞭で打つ。

男達が苦悶の表情の間に妙に色めく表情が見え隠れする。

気が済めば、武装解除をあっという間にしてのけ、竜真が鼻で笑う。


「さてと、物色した物も返してもらうよ。それからギルド証ね。あら、魔術のギルド証もあるし、盗賊ギルド証も…各ギルドに通達するからね。そのつもりで。私刑より社会的制裁の方が質が悪いことを思い知りなさい。1stのリウマの連れに手を出したことを後悔してね。」


手早く手持ちのロープで男達を縛ってみせると、竜真はシンの元に向かう。

シンはミグに支えられ、竜真が自分に絡んできた連中がぼっこぼこにするのを見ていた。


「リウマさんはつえぇや。」


「あぁ。1stだからな。」


竜真がかっこつけて言えば、ミグが呆れていた。


「これから先、奴らは苛められれば苛められる程喜びを感じるようになったな。」


ある意味属性攻撃だな。そんなことを呟くミグを不安そうにシンが見る。


「へ?どういうこと?」


「こらこら。シン、気にしたらいけない世界があるって言うことだよ。」


ミグを嗜め、覆面をし直した竜真が笑って言った。

そうこうしている内に、複数の足音がこちらに向かってきた。


「あぁ。帰ってきたね。」


竜真ら3人が顔を向けた方から、ニャルマー達が歩いてきたのだった。


今回ミグさんについて書きましたが脳内設定のみで書いているため、忘れていたりしたものを書き足すのに四苦八苦。

そろそろ設定集をまとめた方がいいかなぁ〜

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