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1stのリウマ  作者: 真咲静
神様達との接点が出来ました。
27/113

27.どこまでも

どこまでもアレな人です。


ルテイルの街。

ブブルフに襲われ、まだ回復しきれないバレイラとロイのために急遽立ち寄ることになった。

覆面をロイの腰巻きにしているために、竜真は素顔を晒している。

といっても、その髪や瞳は深紅に染められ、ある種の神々しさすら醸し出していた。

ミルテイルの街中に居る者は、竜真を見た瞬間に口を閉ざし、見惚れるままに一行を見ている。

一歩進むごとにそれは広がりを見せて、目的の布を売る店に着く頃には、呆然と一行を囲む人垣が出来ていた。


「覆面をしている理由がよく分かった。」


「はい。」


「これ、凄いを通り越して不便だな。」


それぞれに感想を述べながら、ミグとニャルマー、シンは店に入らず、外を固める。

竜真がロイとバレイラを伴って、店に入った。


「ロイは青かなぁ。バレイラは僕と同じ赤系がいいかも。どう思う?」


「僕は何でもいいです。」


あまり表情が変わらないが、少し嬉しそうに見えるロイがポツリと呟く。


《これがいい。リウマさんに似合う。》


「うん、僕に似合っても仕方ないんだ。」


黒板に書かれたバレイラの感想に苦笑し、2人に聞いても仕方ないと諦めた。


「ミグ、来て。」


ミグが入ってくるのを見て、竜真は探した布をミグに見せる。

濃紺から白のグラデーションが効いた美しい布と、華やかな赤い布だった。

ロイの優しげな風貌とバレイラの勝ち気さが良く表現されている。


「いいんじゃないか?」


「ありがとう。じゃあ買ってくるよ。僕も覆面用の布買わなきゃ。」


嬉々としている竜真が店主に向かうと、破顔して会計をねだる。

ガタガタドタンと激しい音がたって、驚いたミグが竜真が行った方を見ると、店主が顔を真っ赤に染めて倒れたところだった。


「リウマ、会計は俺が変わる。」


竜真と立ち位置を変えて、竜真を自分の体で隠す。


「お代はいくらになりますか?」


店主は腰が抜けたようだ。




***



ようやく復活した店主と会計が出来て、即、覆面用の布を顔に巻き付ける。

「顔面凶器って僕のことって自覚したよ。」


「リウマさんは綺麗なだけです。」


《そうです。リウマさんは綺麗なだけです。》


ロイとバレイラの援護に竜真が苦笑する。

自分の素顔を見ただけで、人生を脱線させた男と実際に行動を供にしているのだ。


「また、リウマ様との旅志願者が増えないか心配です。」


そうニャルマーは完全に踏み外していた。


「ニャルマー…そうそう簡単にパーティーを増やすつもりはないんだけど…」


ジト目でニャルマーを竜真がにらむ。


「ニャルマーさんて、本当にリウマさんが好きなんだな。」


「一目惚れらしいぞ。」


「え?」


シンがポツリと洩らすと、ミグがにやっとして言った。

シンは思わず、ニャルマーを仰視する。


「ミグ…冗談はホドホドしてくれ。そして、シンも信じるな。」


竜真の突っ込みにミグが笑う。

シンは2人に挟まれ、顔を左右にしていると、ニャルマーがおっとりと笑む(M)。


「リウマ様をいつでも拝顔できるならば何をおいてでも、お供いたします。」


「…ニャルマー…何の力説なんだ。」


竜真は脱力感に体を乗っ取られていた。


《ニャルマーさん、綺麗な者を見るのは至上の幸福なんだって言ってたよ。》


袖を引かれてバレイラを見れば、黒板に書かれた言葉に竜真は更に体を沈ませた。


「にゃ〜るぅ〜まぁ〜変態を教えるな。」

「バカを教えるな。」

「それはないでしょ」

「ニャルマーさん…」


「え?え?変なこと言いました?」


それぞれが呆れ、また、苦笑してニャルマーの肩を叩いていく。

ニャルマーは困惑した。



***



「ミグ、センスいい〜」


さっそく宿に入り、仕立てた新たな服を着て、嬉しそうにしているバレイラは可愛らしく華やかな笑みを浮かべている。


「ミグさんすげぇ。」

「えぇ。このデザインはロイ君とバレイラの可愛らしさを最大限に活かしています。」

「ミグさん、カッコいい。ありがとうございました。」

《かわいい。ありがとう。》


次々に言われるミグへの賛辞にミグは照れも手伝い、いつもよりぶっきらぼうに「俺は縫っただけだ」と呟いた。


「布選びもデザインもリウマの担当だ。」


「裁縫の腕がなければ再現できるものか。」


互いが自分より如何に相手が優秀かを言い合い始める。

しばらく互いを誉め合うのが続いていたが、それを止める強者がいた。


「ミグさん、リウマさん、ありがとうございました。」


ロイが丁寧に頭を下げ、バレイラも黒板に嬉々として、もう一度礼を書いた。


「「礼を言われることはしてない。」」


息がぴったりだ。

そんな2人にシンが呆れる。


「2人がすごいのは分かった。誉めあいもそれまでにして、そろそろ夕食時だから行きませんかぁ?」


「え?そんな時間?ほら皆行くよ。」


「はやっ!」


すでに扉の外に出た竜真の切り替えの速さに、シンが突っ込んだ。


《リウマさん、カッコいい》


「ニャルマー、バレイラを染めるな。」


黒板に感想を書いたバレイラを見て、ミグがニャルマーを嗜める。

ロドで武器訓練でバレイラの近くにはニャルマーが居た。

すでにバレイラはニャルマーに染められつつあった。



***



「ごめんね。」


食堂には竜真が見たい野次馬が殺到していた。


「僕がどんなに偽物が出ても、覆面を取らない理由がわかったでしょ」


「仮面じゃダメなんですか?」

「1部が見えないと、人間は好奇心が沸くんだよ…っていうより、襲われる回数が増えたから駄目。」


目の前の5人前がどんどん胃袋へ納まっていく様子をシンは唖然と、ロイは顔を背けて、ミグは平然と、ニャルマーとバレイラは目を輝かせて、各々が竜真を見ている。


「いつも思うけど、どこに入るのさ。」


シンが嫌そうに言う。


「異次元」


竜真が適当なことを言うと、ミグが笑う。


「気にしたら負けだ。だから、バレイラ、ニャルマーに染まるな。」


《リウマさん、素敵です。》


竜真が食べている様子を師弟揃ってうっとりしているのを2人以外が嫌そうに見ていた


「ロイもよく食べるな。それ何杯目?」


シンがふと隣を見るとロイはシンの2倍食べていた。

竜真とロイに挟まれていたシンがげんなりさせていた。


「シンは小食だから余計に思うところがあるんだろ。」


「そう言うミグさんも体のわりには食べないよね。」


「消費の効率がいいんだ。」


向かいに座るミグは大柄な割にあまり食べない方ではある。


「実はいっぱいご飯を食べないと、顔が維持できないんだ。」


「は?」

「え?」

「本当ですか?」

《!!》


「皆、冗談だ。リウマ、信じそうな嘘はやめろ。」



こうして野次馬が多い中、周りを全く気にしない一行により楽しい夕食の時間は過ぎていった。


バレイラ…こんな子じゃないはずなのに…おかしいなぁ〜


やっぱりニャルマーに預けたのが間違いだったか。


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