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1stのリウマ  作者: 真咲静
神様達との接点が出来ました。
26/113

26.竜真先生の講義

竜真さんのチートぶり発揮中です。

「水汲み…遅いなぁ。」


シンがつぶやくと、その場に居た保護者の2人は眉を潜めて、顔を見合わせる。

竜真は胸元から懐中時計を取出し、時間を確認すると、さらに顔を険しくさせた。

バレイラとロイが水汲みに出て2時間。

水汲み場所はミグが見つけてきて案内した。

そのミグは料理をするためのハーブ類を探していた。

ニャルマーは薪拾い、竜真とシンは狩りに行き、そして夜営地に戻ってきていた。


「…ニャルマー、ここで見張りを頼む。シン、ミグを探してきて。ミグと一緒に探索に加わって欲しい。僕は2人を探してくる。」

竜真はあっという間に木々の間に消えて、シンはミグを探しに出る。

ニャルマーはいつでも夜営が出来るが、いつでも撤収も出来るように準備に入った。


森の中は静かに暮れようとしていた。




***




「ミグさん。」


「シンか、どうした。」


シンがミグを発見したのは、夜営地から15分程進んだところだった。

ハーブ類の葉や花を丁寧に摘んでいる巨漢を見つけたシンは走った。

ミグはシンの様子から、何か不測の事態が起こったのだと読み取ると問う。


「水汲みに行ったバレイラとロイが戻って来ないです。リウマさんと俺が夜営地に帰ったのは散開してから一時間。ニャルマーさんが一時間半。ミグさんが案内した場所は夜営地から」


「10分だ。リウマは探しに行ったのか?」


たかだか10分の場所だが、ロイもバレイラも可愛らしい顔立ちをしている。

ロドでかなりを潰滅させたからと言っても人買いが居なくなった訳ではない。

何か合ったのではないか。

ミグとシンは水場に走りだした。



***




「居ない…」


心配に揺れる思考を律して、竜真は考えた。

川沿いを歩いてみたが、水汲みの道具すら見当たらない。


「この場合、無理矢理連れていかれたのではなく、自らの足で付いていったと考える方が妥当かな。」


また川沿いを夜営地に向かい、歩いていくと、ミグとシンが現れた。


「リウマ、どうだった?」


「下流5キロ以内に2人は居ないし、道具すらなかった。」


「そんな…」


ミグが竜真に聞き、ぜぇはぁと息を荒くしていたシンが泣きそうになる。

シンは息を整えようと、上体を曲げていた。


「リウマさん、これ何かわかりますか?」


シンの足元に透明な小さな粘着性のあるものが落ちていた。


「…ミグ、やばい。」


それを見ていた竜真がミグを見る。


「………あぁ、ヤバそうだ。」


ミグも座り、何かを確認したらしく、辺りを見回す。

シンは訳も分からないまま、2人を見下ろしていた。


「大抵、奴の住みかは川沿いの洞窟にある。下流にはそれらしきものはなかったから、上流だろう。奴なら薬草が必要だ。ミグ、分かるか?」


「あぁ。だが、ここらに生えているか?」


「亜種スライム、ブブルフが住む場所には必ず生えている。ニャルマーを連れて、探してくれ。」


「だが、奴は強いぞ。」


「大丈夫。倒すのは問題ないけど、少し手伝いは欲しい。シン、付いてきてくれ。」


「はい。」


方針が決れば相変わらず行動は早い。

竜真の速さは重力を全く感じさせないもので、あっという間に置いていかれる。


―早い…すげっ…


「…うん。追い付けないよね。」


気付けば竜真は足を止め、シンの隣にいた。


「はぁはぁはぁ…かはっ…ふぅ〜」


「はい、力抜いてね。」


「うわぁあ!」


あまりの速さに追い付けないシンが足を止めて、息をしていると、いきなり体を持ち上げられた。


それからは川沿いの石がゴロゴロと転がっているのを異様なスピードで通り過ぎるのを見ながら、シンは恐怖と戦うのだった。



***



「何て言うか…その手の性癖の人間が物凄く悦びそうな光景だ。」


「リウマさん、言うに事欠いて、今それ言うの?」


シンが不謹慎を咎めると、竜真はごめんごめんと軽く謝り、腰から鞭を取る。


「あいつの中から2人を取り出す。…そうだなぁ。右に10メートル。走れ。」


「いっ」


シンが驚きながらも、きちんと反応してみせ、走りだす。次の瞬間、竜真の手元から鞭が伸び、ブブルフの中に取り込まれている2人を絡めると、シンに言った方へと放ると同時に、竜真も走り、ロイを受け止め、更にバレイラを受け止めたシンを支える。


「リウマさん、無茶にも程がある。」


「でも無理だと思ったらやらない。言っただろ、手伝いが必要だって。」


竜真は喋る間にも覆面外し、外蔭をシンに投げる。


「2人の身体をそれで隠して、動くな。動くと首が飛ぶからな。」


その声は普段の緩さからは、到底想像できない厳しいもので、シンが指示通りに動いたのを見ると、殺気を当てて、動きを牽制していたブブルフに立ち向かう。


「通常スライムと同じように亜種スライムのブブルフの弱点は色によって異なる。通常のスライムと違い、核の周りに強固な防壁があることと、毒性の高さにより、そのランクは単体でAだ。速さもあるため、3rdでも下手すると死ぬ。」


シンに向かって説明しながら、獲物を横取りされて怒るブブルフと間合いを詰める。


「こいつは魔術なしでは倒せない。若しくはちょー剛腕ね。見本だよ。こいつはやや青がかってるから、弱点は炎。風で増幅。『炎の絡め手、風の絡め手、炎鎖は愛撫する。』『炎の鎖は火の王の意志』――『炎鎖縛爆裂』」


ブブルフの周りを業火が意志を持ったように走ると、次第に炎によりブブルフがす巻きにされる。

その炎が内側に向かい、腹から揺れるような音を立てて大爆発が起こる。

瞬間、その炎に向かい、剣を構えていた竜真はその剣を振り下ろした。

キィンと何かに当たった音がする。


「属性から火と風のあわせ術で燃やし尽くして、剛剣で貫く。1人ではこれがベスト。普通のパーティーなら、魔術士に属性なしの攻撃させて、核をぼこぼこ殴っている内に防御が弱まるのを狙う。近づくと麻痺毒に会うから、気を付けること。以上、リウマさんの戦闘講座でした。」


竜真の足元には、真っ二つの核が転がっていた。

鮮やかで見事なまでに簡潔された戦いにシンは見惚れていた。

竜真が3人の下へ戻る。


「服溶かされちゃったねぇ。」


「バレイラは外蔭で包んだけど、ロイは覆うぐらいしかできないし…」


「ミグに縫ってもらおうか。」


どうしようと聞けば、あっさり竜真が言い放った。


「え?知らなかった?ミグの特技は裁縫なんだよ。」


シンが目を丸くさせたのに、竜真はニヤニヤして言った。

覆面はされていないので、美貌丸出しなのだが、ニヤニヤ笑う顔が残念な気がして、シンは視線を反らした。



***



ミグが自分の外蔭を外して、服を作り、竜真が2人の治療に当たる。

それを気にしながら、ニャルマーとシンが飯の準備をしていた。


「流石、ミグ。きっとバレイラは喜ぶよ。」


「リウマ、もう少しさっぱりとした方がいい気がするのだが…」


「ニャルマー、手伝って。いやいや、ミグ、違うよ。そこをタグとって、ヒラヒラ感をつけるのが可愛いんじゃないか。」


ニャルマーを呼び出しながらも、竜真はミグの服作りに口出していた。


「シン、もう少し、ハーブを細かく切ってから入れてくれ。だがなぁ〜、邪魔にならんか?」


「ニャルマー、ロイの背中をこちらに見せて。だから、邪魔にならない。可愛らしさを出すには、必要なんだ。そのフォルムでシンプルなのを華やかにさせるんだ。下にズボンを履いても、女の子らしさは忘れちゃいけない。」


2人ともてきぱきと作業をさせながら、バレイラの服について語り合う。

そんな器用さをみせる数字持ち達、特に女の子の服の可愛らしさについて熱く語り始めた美少女顔の竜真に若干シンは引いていたのだった。


聴講生はシンのみでした。

竜真さんは最強キャラですよ。

簡単に話しながらも、強めのモンスターを一断ちです。


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