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1stのリウマ  作者: 真咲静
神様達との接点が出来ました。
25/113

25.夜の祭り

若いねぇとちょっとオヤジくさい竜真さんです。

ロドから2つ先の村ベルガディは、その小ささから、冒険者ギルドがない。

宿は1軒しかなく、全戸合わせても30軒程しかない。

そんな小さな村に竜真達はたどり着いた。


「ようこそ。ベルガディへ。」


宿の親父は飄々としていて、胡散臭い笑顔で一行を迎えた。


「2晩お世話になりたいのですが」


ミグが聞くと、親父の視線がまんべんなく一行に注がれてから、親父は喜んでと告げた。



***



「ねぇ、ミグ?」


「わかるが…様子見しよう。」


夕食を食べながら、竜真はミグに訳知り顔で訪ねる。

ミグの方も心当たりがあるようで、残る4人が首をかしげた。


「リウマさん。どうかした?」


シンが代表して聞くと、竜真は肩をすくめた。


「う〜ん…ミグぅ?」


「一応、言っておいた方がいいだろう。」


珍しくミグに助けを求める。

ミグの知人にベルガディ村出身者が居て、この村の他にはない祭りについて教えてくれたことがあった。


「そーなんだけどさぁ〜…確かにこの時期に着ちゃったのは事故みたいなもんだし…ニャルマーはいいんだよ。大人だし…」


「…」


ぐだぐだ言う竜真をバレイラが円らな瞳で見つめる。

ロイもまた純粋な眼差しで竜真を見る。


「まぁ、うかつに外に出られるよりいいか。」


竜真は頭を掻いて、ミグが説明に困った顔をしていると、主人である親父のモルが新たな料理を持ってやってきた。


「おや、そちらのお二方はご存知でしたか。」


「僕らは参加しないので、部屋に閉じこもってます。一応、宿内に居れば、巻き込まれませんよね?」


そこのところも聞いておかないと、行動範囲が宿内か、部屋内かでは、その差は大きい。


「…若い女性達は期待していたようなので、参加されないのは非常に残念です。もしかすると、祭りが始まれば、宿内でも巻き込まれるかもしれませんので、参加されないのであれば、部屋で皆様で過ごされた方がよろしいかもしれません。後で、お部屋の方に一晩籠もれるだけの飲食料をお持ちします。」


そう言って料理と笑顔を置いて、モルは去っていった。


「リウマ様?」


ニャルマーが不安そうに竜真を呼ぶ。


「ミグ…サポートをよろしく。」


そうして、竜真は口を開く。


「僕達も祭りの具体的な日にちは知らなかったんだ。ただし、内容は知ってた。この村は独特でね。子どもは村全体で育てると言う習慣がある。何故ならば、村全体で子どもを作るところから始めるからだ。」


村全体で作る?と言った所で気が付いたのは大人のニャルマーと育ちの関係でシンだった。

なるべく下品にならないように伝えようとしているので、ロイとバレイラには具体的にどうとは伝わっていなさそうだった。

竜真はミグを見ると、ミグは頷いた。

このまま説明を続けても良さそうだと判断して続ける。


「今夜はその…村全体で子どもを作る日にあたり、命中率はかなり高い。多分、モルさんに残念と言われたのはミグやニャルマー…シンも含まれるかなぁ。それに僕もか…旅人の血は村の血を濃くしないためには、必要で、祭りに参加したい近隣の住人も来る。つまりだ。今夜、外に出たら最後、自分の子どもができると思ってもらえれば、…部屋から出れないよね?」


ニャルマーとシンはブンブンと顔を縦に振る。

ロイとバレイラは具体的には何が行われるか分からないが、周りの反応が微妙なので、とりあえず、頭を縦に振る。


「さぁて、そろそろ部屋に行こうか。」


「始まる前までにな。」


ミグの一言に全員が頷いたのだった。



***



「これは…」


「これほどとは…」


「凄いですね…」


「…」


村全体から上がる嬌声、うめき声にシンは前屈みになりながらも、バレイラの耳をふさぎ、顔を赤くしていた。


「シン…まだまだだね。」


竜真は平然とロイの耳をふさいでいる。

ミグとニャルマーもまた前屈みに顔を赤くしていた。


「これじゃあ、眠れないね。」


「ていうか、リウマさんは何の反応もしねぇの?」


目の前の美少女顔の男は、にっこりと笑いながら、平然として答えた。


「2人と違って適度に相手見つけて抜いてるから。こんな音だけで反応はしません。」


ふふっと効果音が出そうな程の余裕っぷりにニャルマーが「流石です。リウマ様。」と、誉め讃える。


「そんな訳で、君らも抜いてくるといいよ。」


あまりの明け透けさに3人が顔を見合わせる。

シンは下に目を移し、バレイラの耳は離せないと、少し哀しげだ。


「シン、行ってこい。若い奴が我慢してるのは可哀想だ。」


ミグがその様子を見てシンと交代する。

シンは部屋付きの廁へと走り去った。


「若いね。」

「若いな。」

「若いですね。」


少年の後ろ姿を残った大人達が生暖かな目で見送った。



***



竜真とミグは徹夜して、バレイラとロイの耳を守った。

ようやく声が止んだのは、夜明け間際だったのだ。

シンとニャルマーは何回か駆け込んだのち、眠りにつき、バレイラとロイは人肌の温もりと歩き疲れで早々に寝ていた。

竜真とミグはリユカ帝国の古代史と当時の都の位置や国境について、モルが持ってきていた飲食物を片手に語り明かしていた。

没頭できさえすれば、ミグも周りはどうでも良くなり、コントロール出来ていた。


「流石に一寝入りしたいな。」


「確かに。」


2人はニャルマーを起こすと、しばらく寝る旨を伝えて、次の瞬間には眠りの世界に旅立っていた。



***




竜真が眠りすぎて、少し遅くなったが、夕方、携帯食や必要物資を買って宿に戻ると、モルは「今夜も参加されませんか」と、聞いてきた。


「…祭りの期間はどのぐらいですか?」


「1週間ですよ。」


何かにハッとして、竜真が恐る恐る尋ねれば、モルは「知らなかったんですか?」と驚いていた。


一行は顔を見合わせた。

うち4人が頷く。


「今から発ちます。」


「今日は初日より早い始まりなので、危険ですよ。昨日より3時間早いです。」


竜真が総意を告げれば、モルは苦笑した。

後、1時間もすれば、祭りは始まってしまう。


「じゃあ、予定通り明日発ちます。」


「そうですか。本当に参加されないのですね。では、また夜食を用意しておきますね。」


部屋に戻ると竜真とミグは仮眠1時間を取り、始まりを告げる鐘が鳴る前にシンとニャルマーが寝る。

バレイラを竜真が、ロイをミグが担当して耳栓をすると、今日も趣味の分野を語り明かしたのだった。


***



朝、再び竜真とミグが、仮眠を取り、残念ですとモルに言われながらも昼前に村を出た。


「シン。凄い体験だったね。」


「そう…ですね。」


シンとニャルマーはややお疲れ気味のようだ。


「でも、もっと凄い場所もあるから、気をつけてね。」


シンと2人の大人はギョッとして、竜真を見る。


「そういうのも、教えてあげるから。」


シンは壊れたように、必死に首を縦に振ったのだった。


シン…憐れ(笑)

はい。若いんです。

ニャルマーは女慣れしてません。

ミグはそれなり…

竜真さんは卓越してます(笑)


大人組はロイとバレイラを健全に育てようとしております。

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