24.新たな日常
新キャラ3人の紹介編
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ごめんなさい。
ロイの体調が良くなり、ロドの宿屋で6人がそれぞれで旅支度をしていると、竜真がロイを手招きした。
「さて、ロイ。それ、目立つから色変えとこうか。」
笑いながら竜真が呪文を唱えると、ロイの髪は水色に、瞳は蜂蜜色に変わった。
「…」
「元の色忘れたから、これでいいよね。」
「リウマさん、適当すぎでしょ?」
バレイラは驚き、シンが突っ込みを入れた。ロイはされるがまま。
竜真はけたけた笑う。
その様子を見ながら、ミグは今後の竜真への突っ込みが楽になったなとにやつく。
ミグの予想ではシンが突っ込み、ニャルマーがイジラレ決定。
ロイは無表情、バレイラは声を出せない現状だが、ロイはボケ、バレイラは突っ込みの可能性が高そうなと考えて、ふと気付いた。
―子ども3人、童顔1人、従者1人…俺はいんそ…
「あれ?ミグ、何1人でダメージ食らってるの?」
竜真があどけない笑顔で聞いた。
「いや、なんでもない。ところで、家庭教師の時から疑問だったのだが、それでお前は自分の髪色を変えないのか?」
「う〜ん。覆面から出るから瞳は変えてたんだけどね。髪も変えれるようになったから、髪も変えて、全面を出してもいいんだ。でも、それすると、今度は顔でトラブルになるんだよ。一時期、髪だけ隠してうろちょろしてたら、ナンパ人買い山賊エロ権力者…1週間でどれだけ始末したやら。」
清々しそうに遠くを見た竜真に全員絶句した。
「確かに顔は出さないほうがいいかもな」
あははと空笑いしてシンがあらぬ方向を見て、他の人間も頷いていた。
「しかし…シンもバレイラもロイも中々、ニャルマーもそこそこだし、ミグだって男前、目立つパーティーになったね。」
竜真がふふっと笑うと、互いが互いを見回した。
「まぁ、何かあっても大丈夫。危害を加えてきたら、ボッコボコにするからぁ。」
どこか薄ら寒い雰囲気を纏って、顔に覆面を巻いていく竜真をニャルマーが手伝う。
「君らが世を渡るすべを身につけるまで、守るのは僕だからには、君らは最も危険で最も安全に楽しんで育ってね。」
覆面越しですら、最高にあどけなく美しい顔で笑っているのが分かり、ミグはしあさってな方を向き、シンは少し顔を青くしている。
ニャルマーは何故か感激して嬉しそうに破顔し、ロイとバレイラは顔を見合わせた。
「さて、装備は済んだかな?次の町へ行こうか。」
最後に緋色の剣を差すと、竜真はドアの前に立って振り返った。
***
「体力をつける為にも馬車はしばらく買わないから。頑張って歩こうね。」
街道を6人が行く。
ロドで冒険者ギルドに登録して、子ども3人は新米冒険者となった。
その内、資質を見極めて、別のギルドへの登録させることを考える。
もとが孤児で、生きるためにナイフファイトを覚えたシンにはナイフ以外にショートソードを持たせ、竜真がロイの看病をしている1ヶ月の間にミグが扱いを仕込んだ。
巨体に見合わぬ敏捷性を持つミグの得手はショートソードだ。
昔、アックスや棍棒に武器変更したら?と、竜真に言われたが、体術とショートソードで大概のことは乗り切れているので、変更する予定はない。
武器を限定しているミグに対してニャルマーの得手は何でもだった。
背中にはボウガン、腰にはロングソード、手首には暗器が隠されている。
遠近攻撃、暗殺、何でもな装備は勿論、主人のシグルドを守るためだったのだが、未だにそこまでしたのに、何故、旅に出たのだと竜真に不思議がられていた。
言葉を失っているバレイラはニャルマーを師事し、何故か暗器の使い方を早々に覚えていた。
その事をバレイラに聞くと、バレイラはニコニコと可憐な笑みを浮かべた。
「うん。武器を使えるようになったから、よしとしよう。」
1ヶ月でそこそこの筆談ができるようになったのだが、バレイラが笑顔だけですませたことに対し、竜真は何も言うまいと明後日を向いた。
ロイは薬の後遺症か、魔力が強くなっていることから、旅立つ前1週間で、竜真が基礎をたたき込んだ。
勿論、ムチとアメで…
シンが得手があって良かったと、影で喜んでいたのだった。
竜真を先頭に殿をミグが守り、真ん中に新米4人を入れる。
背から言えば、バレイラ、ロイ、竜真、シン、ニャルマー、ミグとなるが、強さを優先させると竜真、越えられない壁があり、ミグ。またまた越えられない壁があり、ニャルマー、シン、バレイラ、ロイとなる。
育ち盛りとは言ったもので、保護されて、食が保障されてから、シンの身長は竜真を若干追い越した。バレイラも痩せ細りから、ちょっと細いかなぐらいまでに回復したのだ。
馬車なしに、休み休みでも歩かせて、子ども達に体力をつけさせることを目的にヤシャルの神殿手前まで進む予定だ。
「ミグ、次までどのぐらいだったっけ?」
ミグの真横に来て、竜真が訪ねる。
次とはヤシャルの神殿のことだ。
「3つ先の村までは普通に行ける。」
「わかった。」
小声での会話を終わらせて、竜真はシンの横へ行く。
その後ろ姿を見て、ミグは全員に話すのかと眉を潜める。
「シンシン」
「リウマさん…その呼び方はちょっと。」
見上げる目線で、可愛らしく名前を呼ばれ、シンが嫌そうな顔をした。
「うわっ!」
次の瞬間、シンの顔すれすれを何かが飛んできた。
それはシンの顔に直撃するのをそれて、後ろの木に刺さった。
「ミグ、ニャルマー。ロイを守れ。シンとバレイラは…」
「いや、俺も是非守られた「前衛をしてみようか。この攻撃からするに、相手はちょっと大きめなカタツムリ、ランクEのマスターツムリだ。弱点は貝の入り口辺に見える青い突起。やばそうなら手伝うから、2人で攻撃してごらん。ただし、さっきの黒い液体を食らうと溶けるから、当たらないようにね。」
ガンバレェと愉快そうな声は2人の背中にぶつかった。
***
バレイラが転んでしまった瞬間、紅い風がマスターツムリを瞬殺した。
「これから、こうしてランクの低い敵に当たった時に戦ってもらうから、鍛練するように。ロイもね。」
声は楽しそうだが、シン、バレイラ、ロイを見る目はけして笑ってはいない。
その迫力満点さに紅い鬼神が居たと後に3人は語った。
そして、シンとバレイラは肩で息しながら悔しそうに、ロイはびくびくして、竜真を見つめる。
「さて、次は頑張ろうね。」
首をかしげて、可愛らしい声が、その場に響いた。
ミグとニャルマーは、うわぁ〜スパルタぁと有らぬ方を向いていたのだった。
前回のラウラーラ、あまりにもあっさり倒してしまったので、あっさり過ぎないかと、尋ねられました。
竜真さんに聞いてみましょう。
「竜真さん。ラウラーラとの決着があまりにも簡単すぎではないですか?」
「あのね、あの任務は、子どもの保護が最優先なの。あいつが、残り1人とか言うから、かなり腹が立ってね。実力差自体はあんなものでしょ。魔術士は詠唱させる暇がなければ、詠唱させなければ、倒すこと自体は難しくない。それにラウラーラが話している最中にも賢者様方から準備できたよって連絡入ったし、山場だと思うけど、さっさと片付けたんだよ。おかげで封印もうまくいったし、ロイも助けられた。
さっさと終わらせて良かったんじゃん?」
だそうです。
疑問、解決しましたかねぇ。
作者的には少し苦戦してもらう予定だったんですが…
「ラウラーラよりも賢者様方の方が手強いね。何あの術、凄い難しかった。」
ディアータ様の術の方が面倒だったようです。
以上、作者でした。