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1stのリウマ  作者: 真咲静
神様達との接点が出来ました。
19/113

19.蒼騎士ブロス

もう1人の1st登場

―えぇっと…1stが2人も揃ってます。何が起こるのでしょうか?


ニャルマーは緋色のリウマ、蒼騎士のブロスの間に挟まれて右往左往していた。



***




ピピンの街から2日、次のロドの町が見えてきたところで、竜真が足を止めた。


「よし、この町は迂回しよう。いや、街道を外れて夜営しながら先に進むか…」


竜真が前を向いたまま、後ろ向きな発言を呟いた。

ミグとニャルマーは滅多に見ない竜真の後ろ向きな姿勢に竜真を覗き込む。


「り…」


名前を呼ぼうとした瞬間、ニャルマーの口は竜真によって塞がれた。


「黙れ、僕を呼ぶな。」


切り付けるような厳しい小声で竜真はニャルマーを叱咤した。

ニャルマーの口をふさいだまま、そぉっと、そぉっと、気配を消して後退していく。


「リウマ…」


ミグがうっかり名前を呟いた。

その瞬間、ロドの入り口に入ろうとした男が振り向いた。


「げ!」


「緋色のリウマ!今日こそは私と勝負しろ!」


その大きな声は3人のところにまで充分に届いた。


「「あれは…」」


ミグとニャルマーの声が被る。

大多数の冒険者にとって憧れの地位にいる男の1人、蒼騎士のブロス=ディスキア。

ディスキアの王弟にして、1stの称号を持つブロスは竜真が苦手な人物の1人だ。


「ほら見つかった!あぁ、面倒くさい。それにしても、なんつー地獄耳なんだ。」


がっくりと肩を落とす竜真にミグとニャルマーは不思議そうにその場に佇。


「あの馬鹿ブロスは、目が合う度に僕に勝負を挑んでくるんだ。」


蒼騎士ブロスを馬鹿呼ばわり出来るのは、この世界で竜真とブロスの兄であるディスキア王、それと侍女から冒険者に身を落とす羽目になった、ブロスの相方である2ndのメノーラだけだ。


「ブロス、メノーラはどうしたんだ。お目付け役なしに出歩くんじゃない!」


口を塞がれたニャルマーを挟んで、2人しかいない1stが並び立つ。

知る人ぞ知る、豪華な顔合わせなのだが、1人は猛り、1人は心底嫌そうな顔をしている。

ニャルマーはハラハラと動向を見守っていた。一方、ミグはただ成り行きを見守る。


「メノーラは先に町に入った。今日こそは勝負しろ。」


「いーやーだ!面倒くさい。」


「緋色!男同士の真剣勝負を面倒くさいで終わらせるな。」


「何が真剣勝負だ。男同士の真剣勝負程下らなく面倒くさいものはない!」


「真剣勝負を馬鹿にするのか!」


「金にもならんことに命をかけたかない!冒険者が騎士道精神の奴だけしかいないと思うなよ。ってこんな会話を合う度にしてることこそ不毛だ。馬鹿たれがお前の都合だけで勝負出来るか!僕は今、目的を持って旅をしている。いらんことで怪我をするなんて、それこそ馬鹿げたことだ。」


そこまで休みなしにブロスに向かって叩き斬るように言うと、ニャルマーの口を未だ塞いだままロドに向かい歩きだす。

不自然な姿勢のままニャルマーは暴れることも出来ず、着いていき、ミグも終わったのかと歩きだす。

ブロスは竜真に言われたことをじっくり噛み締めると、歩きだした竜真に言った。


「パーティーを組んだようだな。ならば勝負はお預けだ。仲間が居る奴を斬るわけにはいかん。」


真剣勝負についての議論からズレた回答に竜真はミグとニャルマーが居なかったら問答無用で勝負になり、ロドが焦土になりかねなかったと、内心、お預け発言をしたブロスに安堵した。



***



宿の入り口に着くと、蜂蜜色の髪を緩くみつあみにした女性が立っていた。


「なんてこと!」


竜真達の後ろから歩いてきたブロスを見て、メノーラは逆毛を立てた猫のようになった。


「リウマさん、申し訳ありませんでした。いつもの如く大変ご迷惑をおかけしました。」


「いや、僕がパーティーを組んだから戦わないってさ。メノーラもいつまでも騎士道な王子様の保護者は大変だね。」


ブロスが蒼騎士と呼ばれ、1stにまで成れたのには、紛れもなくメノーラの優秀な補佐があったからだ。


「そんなことございませんわ。ブロス様もかなり庶民的になられましたわ。」


笑っていない目でブロスを睨んだまま、にこやかに笑うメノーラにミグとニャルマーはうわぁぁと、心の中で呟いた。


「メノーラは相変わらず素敵だね。今夜一緒にどう?」


「あら、また私を誘って下さるのですか?ふふ、リウマさんでしたら喜んで」


メノーラの手を取り、さり気なくエスコートして宿に入っていく竜真。メノーラと竜真から無視をくらい、尚且つ何年も一緒に居る想い人であるメノーラをいとも簡単に攫っていく竜真に対してブロスが吠えた。


「いつか必ず殺してやるぅ〜」


「「ブロス様、宿に入りましょうか。」」


わななくブロスを生暖かい目で見ながら、ミグとニャルマーは両側からブロスを抱えて宿に入って行った。


2人は脳裏で竜真はブロスを面倒くさがりながらも、徹底的にブロス‘で’遊んでいるのだなと思ったのだった。

酷い扱いのブロスさん登場(笑)


ブロスはメノーラが好き

メノーラはブロスが自分を好きだと知っているが、放置プレイ(笑)

竜真はそんなブロスをいじるのが好き(笑)

歪んだ三角関係です。

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