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1stのリウマ  作者: 真咲静
神様達との接点が出来ました。
16/113

16.天然に間蝶

再登場のあの方です。



累計PV3万、累計人数5千人、お気に入り登録50人突破、ありがとうございました。

アルシュラの神殿を抜け出てから2日、街道に出ようと歩いていたところ、マリシュテンからのお小言の連絡が入ってきた。


「リウマ、ミグ、なんで居ないのよ。」


「待ってられないよ。あれから2日経ってるって知ってる?」


一応、マリシュテンとアルシュラを気にしていた竜真とミグだったが、脱走してから、1時間、3時間、半日、1日と時間が経つにつれ、やはり出てきて正解と思うようになっていた。


「…それはごめんなさい。久しぶりだったから、話過ぎちゃって。でも、黙って居なくならないでちょうだい。アルがお腹減ったって騒いで大変だったんだから。騒いだら、眠くなったらしくって、寝られちゃったのよ。」


「うん、そんなところだと思ったよ。後はヤシャルなんだけど、ヤシャルってどんな感じ?」


マリシュテンはいきなり押し倒してきたし、ビシャヌラは尻を触ってくる変態、アルシュラは寝汚く大食らい、1人くらいまともなのが居てほしいと、竜真は心の底から思っていた。


「う〜ん…知的探求心で常に知識を欲してる人?」


「………どんな知的探求心?」


知的探求心、―また怖い単語が出てきた。と、竜真は身構える。


「なんでもよ。大衆文化から政治、音楽、魔物、なんでも。」


竜真とミグの視線が自然と合う。

互いの目が語っていた。

間違いなく変人の可能性があると…


「人格は私達の中では真面目な引率者タイプだから、あまり心配しなくてもいいわよ。」


変態と自由人を引率するようなタイプ…竜真の脳裏に父親のような人物像が思い浮かんだ。

竜真の父親は大学の教授で、民俗学の第一人者だった。齧れるものは何でも齧るとばかりに、父の書斎は様々な文献や漫画やら小説、雑誌に占領されていた。

そんな書斎がある家で暮らしている竜真が、多種多様な知識を追い求める変人に育ったことは間違いない。

大学の教授と言うことで、その交流も老若男女が揃う。それこそ十人十色、三者三様、様々な人間を相手に竜真が似た原形である美貌と穏やかな佇まいで、時に嗜め、時に褒めあげ、たまに褒め称えて、踏みつけて人を動かしてきた強者だった。

竜真は目的地にいる人物に少しだけ期待した。


竜真の口から期待がほぅとため息として出ると、苦手視していると誤解をしたマリシュテンが大笑いしたのだった。




***




街道に戻り、アルシュラの神殿に近いゼダナの町に2人は居た。

ゼダナは交易路の上にあり、商人達の行き来のために人が多い。


「リウマ、もしかして…」


「ミグ、もしかしなくてもアイツだ。ブニャットだ。」


「ニャルマーじゃないのか?」


「そう、ニャルマーだ。」


ゼダナの入り口に座り込んでいる男が居た。竜真とミグには心当たりある姿だった。


「リウマ様、ミグ様」


「あっ、見つかった。」


嬉々として走り寄ってくる男に竜真が逃げようとすると、ミグが竜真を捕まえた。


「ミグ?」


「かなり頑張ったようだから、少しは話を聞いてやらないか?」


―ミグって、いい人なんだよねぇ。

ミグを見上げて竜真はため息をつくと、気持ちを入れ替えて、その場に踏み止まった。


「ベルマまで行ったのですが、お二方が通った気配がなく、今朝ここまで戻ってきたのです。」


ベルマはゼダナから3つ離れた村で歩き旅なら行き帰り5日はかかる場所だとミグは把握していた。

ミグは竜真を見ると、ミグの視線を受けた竜真は仕方ないとばかりに盛大なため息をもらした。


「ニャルマー、もう一度だけ話を聞いてやる。」


そういうと、竜真はゼダナの中へと入っていった。




***




ゼダナで宿を取ると、3人は部屋に籠もった。


「要約すると、僕が好きになりすぎたから安定した生活捨ててついてきちゃったと、…その好きって性欲の対象としての好き?」


覆面の解かれた美少女顔に覗き込まれ、ニャルマーは顔を赤くしながらも慌てて否定した。


「ち、違います。リウマ様とそ、そのような…ただお側に置いてもらえたらと…」


赤くモジモジと話す男を痛い目で見る竜真。


「僕が何者でも?」


「リウマ様が神だろうが、魔物の人型だろうが、実は女性だろうが、本当に男性だろうが、リウマ様のお側でお世話が出来るだけでいいのです。」


「ミグ…困った。」


話にならない。竜真がなんであろうと目の前にいる男は肯定するだろう。


「これまでの奴らとニャルマーは一緒なのか?」


ミグの問いに改めて考える。

竜真とパーティーを組みたい、子分になりたい、弟子にしてほしい、足下にされたい(?)、鞭で打ってほしい(?)、○□△%#¥☆※〒▽(え?)…様々な要望を告げてきた今までの竜真との旅希望者とは、ニャルマーは微妙に違う。仕えたいと言う希望に竜真は頭を抱えた。


「わかった。仕えたいって言われても給料は出せないから、パーティーとしてなら一緒に旅してもいい。基本、僕は自分のことは自分でするから従者なんていらないし、一介の冒険者が使用人を雇うと言うのもないだろう。だから、君が着いてきたければ、一緒に旅しても構わない。ただし、1stに着いてくるんだ。クエストは超1級に危険なものも多い。死ぬなよ。」


「あ、ありがとうございます。」


感激しと泣きそうになり、目を潤ませる大の男を前にして、尻尾を振って喜ぶ犬を前にしている気分になった竜真だった。



***



「ところで盗賊ギルドには入っているみたいだが、冒険者ギルドには?」


やり取りを見ていたミグが聞いた。


「一応、ランクDです。あった方が利便性が高かったので」


ミグがいつの間にか煎れたお茶を飲み、のほほんとニャルマーが答える。

しかし、この会話に既視感を覚えた竜真が口を出した。


「なんのためって聞いていい?」


「シグルド様のお役に立つためです。」


「盗賊ギルドに入ったのも」


「シグルド様のお役に立つためです。」


「それだけのことをするのに、なんでシグルド様から離れるのさ。」


主人を思い、情報収集をするために2つのギルドに所属した男が、その主人を捨てて飛び出てくるのは納得いかない。


「シグルド様には各地を周り、たまに良い情報があれば、送ってほしいと…シグルド様は私を使用人としたまま、リウマ様を追い掛けて良いと。それならば、リウマ様に断られても、いつでも戻ってこれると…シグルド様は本当にお優しい方です。」


戦略や謀略は関係なく、ただ人の良いシグルドが思い悩むニャルマーを前にして、言っただろうことが推測して、竜真は単純に感心した。


―天然で間蝶を作り上げる、いや、ニャルマーが勝手になったのか…すげぇ偶然。

まぁ、ニャルマーに給料が入ってくることを考えれば、僕が気を遣って依頼を増やす必要ないし、OKOK。



こうしてパーティーに新加入者が出来たのだった。


ニャルマー:23歳

栗毛にモスグリーンの瞳。

173センチ、58キロ

盗賊ギルド、冒険者ギルドに所属。

見た目は爽やかな好青年です。





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