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1stのリウマ  作者: 真咲静
神様達との接点が出来ました。
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14.久しぶりの野営

竜真さん鬼だ…


「アルシュラの所には明日には着くだろう。しかし、あいつをどうするつもりだ?」


「どうしようか。街道を外れてみよう。宿には泊まらず、夜営にしてみるか。」


街道をひたすらに走っていく竜真とミグ。今は2人の後ろにニャルマーの姿はないが、必ず夜には追いついてくるのだ。

走りながらもお喋りをしていたりするが、そのスピードは街道を歩く人間がぎょっとする程だ。

街道を外れると宣言した通り、竜真がいきなり街道を沿いの森の中へと突っ込んだ。


「アルシュラの神殿の場所に心当たりあるか?」


「心当たりはないが、もう少し南じゃないかと思う。」


「わかった。ミグ、気を付けてついてこいよ。」


「あぁ。」


森の中は整備された街道と違い、足場も悪ければ、枝も張り出していて、走りにくいだけでは表現できない。

2人とも無言となり、緑の中をひたすらに走ったのだった。




***




「さす、がに、むりだ…」


「そろそろ夜営の準備をしよう。」


息切れもせず、あっさりと言い放つ竜真に、ぜぇはぁと息を荒くして、肩で息をしているミグは反応できなかった。

木の根元に上半身を預けて、竜真に水を飲ませてもらい、されるがままになってしまっている。

体が火照り、内側から体が燃えているような気さえしていた。


「ちょっと調子に乗って、2日分走っちゃった。ミグ、しばらく休んでいて」


そういうと、竜真はミグをおいて、薄暗くなってきた森の中へと消えた。




***




兎を2羽と薪を背負い、ミグの下へ竜真が戻ってきた。


「ミグ。遺跡らしいものを見つけた。多分、神殿で間違いないと思う。…ミグ…起きろよ。」


疲労困憊で野宿にあるまじき熟睡ぶりに竜真は仕方ないかと呟き、火を起こし、兎を捌く。


「すまない。………味付けだけは俺が…」


竜真が帰ってきたのに気付いた時には、兎は捌かれた後だった。

マズイとミグは起き上がろうとしたが、体がピクリとも動かなかった。


「塩を軽くかけるだけなら、大丈夫だろ。」


「………」


それならば大丈夫かもしれない。…が、やはりミグは不安にかられた。

当初、夜営のつもりがなかったので、塩ぐらいしか持っていなかったのだが、竜真の料理には定評がないので、塩だけと言われても妙に不安があるのだ。


「とりあえず焼けた。肉しかないけど、ミグ食えるか?それでも食べさせて欲しい?」


「食いたいんだが、そちらに行けないんだ。」


「わかった。待ってて」


夜営用の道具から皿を出すと、肉を解してミグの側に寄ると、甲斐甲斐しく食べさせた。

自分の異能に付き合わせてしまって、悪いと思ってのことらしい。


「味は大丈夫だな。良かった。」


「ひどいなぁ。まぁ、南蛮風とかの甘辛が舌に合わないのは知ってるけどさ。出汁の観念ないし…」


あからさまにホッとしているミグに竜真はムスっとしながらも、給仕に勤しむ。


「なんだか変な気分だ。」


「………さっさと食え。」


「ふぐぁ」


妙に嬉々としているミグは皿ごと口に押し込められた。蠢くミグを尻目に竜真は食事を始めた。




***




「おはよ。」


翌朝、竜真は近くに沢があったので、軽く顔を洗い、拭いながら戻ってくるとミグが珍しく寝起き悪くボーっとしていた。


「………」


「向こうに沢があって、体を拭うには丁度いいぞ。」


「………」


何も言わず。ぼけっとしている友人が心配になって、竜真はミグに近寄った。


「起きろよ。ミグ。昨日、そんなにキツかったか?」


心配そうに眉間に皺をよせ、目尻を下げて、目の前で覗き込んできた美少女にボーっとしていたミグは驚いて、竜真の顔を頬に両手を添えて挟んでしまった。


「ミグぅ?」


「い…いや、ちょっ…ちょっと驚いただけだ。沢があるんだな。わかった。汗流してくるから…」


名前を呼ばれることが何故こんなにも怖いのか、得体の知れない恐怖感に筋肉痛で軋む体を鞭打って、竜真が指差していた方角に転がるように駆けていった。


残された竜真は、起きたなら、まっいっかと夜営の片付けをし始めた。




***




「ここだ。どうだと思う?」


昨夜、見つけた雑草に覆われた入り口に竜真はミグを案内した。

桜色の可憐な唇をキュッと引き締め、睫毛が長く、つり目気味にクリっとした目がミグを見つめる。

前回の2人で懲りたのか、竜真は人が周りにいないこともあって、朝から覆面をしていなかった。


「ここだと思う。」


「やっぱりそうか。じゃあ、入るとしますか。」


「あぁ。」


謎の入り口に竜真の手がかかった。


竜真さんヒドイ


ミグ頑張ってます。

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