任務
鏡の前に立つ。腰まで届く紫色の髪。白く透き通った肌が、部屋に差し込む陽の光でさらに輝いている。紫の瞳は虚空を見つめているようで、怖さと痛みを感じさせる。
これが私、木村くるみ。15歳の女の子。私はステライザーだ。ステライザーとは、世界に現れたダンジョンを掃討する者のこと。ダンジョンにはモンスターがいる。ステライザーとダンジョンはランク付けされていて、最弱から最強へ順に、G、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSS、Z、そしてアルティメット。ステライザーは最弱の攻撃で破壊できるものによってランクが決まる。Gランクは建物一棟、Fは三棟、Eは十棟といった具合だ。最強のZは太陽系を破壊でき、アルティメットは複数を破壊可能。私はEランク。もちろん、名ばかりだけど。
机に近づき、上にある紙を取って読む。読みながらキッチンへ。紙をテーブルに置き、カウンターに移動してコーヒーを淹れ始める。すると目の前に映像が現れる。小さな青い楕円の中に、東京チームの副会長、ハルト・タナカが映っている。(私は東京チーム所属だ。)
「やあ、くるみ――」
「任務の話をするつもりでしょ?」
「あはは…やられたな。」
「任務はやるけど、そんなに簡単じゃないよ。」
「いいや、思っているより難しい。ダンジョン任務に二人の監督官が来る。」
「監督官?」
「そう。SランクとAランクの二人。まずは彼らを片付けないといけない。そして、彼らの注意が自分に向いていない間に。」
「私が誰だと思ってるの?」
「だろ?」
紙を再び手に取り読む。Dランクダンジョンで殺すべき5人。
山本レン、Dランクステライザー。
井上ソウタ、Dランクステライザー。
田中サクラ、Eランクステライザー。
五条カオリ、Eランクステライザー。
石川イタチ、Cランクステライザー。
監督官が誰かどうやって知ればいいのか?仕方ない、方法を見つけるしかない。
コーヒーができて、一口飲む。冷蔵庫を見ると空っぽで、3か月買い物していないことを思い出す。軽くため息をつき、コーヒーを一気に飲み干す。コップをカウンターに叩きつけて置く。部屋に戻る。ステライザーの制服に着替える。この黒い服はモンスターの攻撃から身を守る。色がないのでモンスターには感知されない。デザインも良くて、普段でも着たいくらいだ。でも任務以外は禁止だ。家のドアに向かい、開けて外に出る。ダンジョンは家の近くにできていた。気づかなかったな。弱いダンジョンだからだろうか?
歩き続ける。約10分でダンジョンに到着。私以外はもう来ている。
「遅れてすみません、みなさん。私は木村くるみです。」
リストを持った、短い茶色の髪。髪は後ろに流している。茶色の目に顔の皺から40歳以上と推測できる。年の割に筋肉質で背が高くがっしりした男がこちらを見て話す。
「問題ない、くるみさん。私はダンジョン討伐の指揮を取る山本レンだ。」
近づく。レンは続ける。優しい声だ。
「15歳のステライザーと聞いて驚いた。最初は子供たちがやっていると思った。遅れた時、本当にそう思ったよ。」
「年齢で変に思われるのは慣れてる。」
肩までの淡い青がかった髪がくるっとしている、青い目の顔立ちで、身長は170~175くらい。真面目な顔だが可愛らしい女性のように見える「変わった」女性だ。細身で25歳くらいに見える。
「時間を無駄にしたので怒ってもいいけど、許す。私は田中サクラ。他に知る必要はない。」
声は細くて、自信過剰。
「あ、ああ…わかりました…」
170~180の紺色の髪と目、中肉の男性。20~30歳くらいの色黒。髪は乱れて前髪が3つに分かれ、横に少し流れている。緊張した顔つき。怖い。
「井上ソウタだ。」
声は冷静で怖い。嫌いだ。絶対にこいつが監督官だ。
白い長髪が腰まであり、青い目、優しい顔立ちで姉のように振る舞う。162cmくらいで私と同じくらいの身長。私より体格が良い。サングラスをかけている。意味不明だ。白い肌。30代くらいに見える。
「五条カオリ!」 少し笑い、サングラスを直しながら言う。話しながら頭を撫でる。
「けっこうかわいい子だな。」
「あ、ありがとうございます…」
誰かが近づいてきて、その気配でぞっとする。強い圧を感じる。
「石川イタチ。初めまして、小さな娘さん。」
まるで今にも死ぬかのような感覚。かろうじて顔を上げ、イタチの顔を見る。
頬まで届く黒とグレーの混ざった髪。身長は180~190くらい。細身だが強そう。漆黒の瞳が魂の奥を覗いているようだ。白い肌。20代くらいに見える。黒い羽織のような服を着ている。なぜステライザーの制服じゃない?服にはステライザーのロゴがある。特注かな。近づくと震えを感じる。服の中から手を出し、軽く頭を撫でる。
レンが急に話し始める。
「ダンジョンに入ろう。みんな準備はいいか?」
「はい。」 みんなが同時に答える。