表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面ーオモテー:深海の勇者  作者: タナバタネコ
チョウチンの里
7/53

チョウチンの里②

しんと、静かな神殿内。何人かの人が手を合わせて中央の太陽の像に向かって祈りを捧げている。白い魚以外にも、白い精霊の姿が数匹いた。


「これが、精霊様」


数匹の精霊が太陽像の周りを飛び交う。太陽像からやわらかくさし込む慈愛の光。我らが太陽。オモテは、他の信徒に交じり、自然に祈りを捧げていた。


「(太陽様。我らがウーラ姫様をお救いください。そして、我らが世界に安寧を。魔王に鉄槌を。)」


オモテが祈りを捧げ終わり、白い魚を見やる。ちょうど白い魚がほかの精霊に近づいていくところだった。そして、そのままその精霊をばくっと食べてしまった。


「!!!」


オモテはびっくりして思わず音を立てて立ち上がった。

周りの信徒が何事か、とオモテを見る。

オモテが口をパクパクさせていると、一人の神官が近づいてきた。


「旅人よ、なにかありましたか?」

「なっえっ・・・」


そのやりとりをしている間も、白い魚はひょいひょい精霊を食べている。

オモテはその光景に驚かない神殿内の人々の様子をみて、ばくばく高鳴った鼓動が収まっていくのを感じた。


「その、精霊様が、他の精霊様を食べているのに驚いてしまって・・・」


神官はその発言を聞き、あぁと納得した顔でオモテに語りかけた。


「あぁ、精霊様の間ではよくあることですよ。ある程度数が集まると、ああして合体されるのです。」


ほら、と神官は白い魚をみやる。

白い魚は満足、といったようすでその場にいる精霊をすべて平らげ、オモテの頭の上に戻ってきた。


「おや、精霊様がご挨拶に来ましたね。・・・ん?あなた、精霊付きですか?」

「いえ、この仮面に宿られているのです・・・」


オモテは出しにくそうにウーラの仮面を出した。


「ははっ!神殿の外から来たのに、神殿にいる精霊様をすべて食べてしまったので、驚かれたのですね。ご安心ください。結構あることですよ。」


神官は安心させるようにオモテに語りかけた。


「ここの精霊様はとても小さく、合体して大きくなっていきます。一際大きくなった精霊様はまばゆく光り、太陽の元へ向かわれるのです。今回は、そちらの白い魚の精霊様が最も大きい個体だったため、吸収されたのでしょう。」

「そうなのですね。精霊様は・・・いなくなられないのですか?」

「ええ。気がついたら増えていきます。ここは聖都ですからね。きっと、精霊様は太陽の元へ行く準備をなされているのでしょう。」


よき旅を、と挨拶され、オモテは神殿から出た。


「姫様、冷や汗が出ましたよ・・・」


神殿の階段をおり、広場に出ると、先ほどはなかった人混みができていた。

何事か、とその群衆に目をやると、集まりの中心に舞台がある。


そのとき、パッと眩しい光の筋が天へ瞬いた。


「「「「「「「「キャ~~~~~~~~~ッ」」」」」」」」

「「「「「「「「ウォーーーーーーーーーッ」」」」」」」」


響く歓声の中、ドーーーンと花火が打ち上がる。


「「「「「「「「ーーーーーッ!!!!」


群衆が声にならない悲鳴と歓声を続けるなか、ステージの上に人影が現れた。


「待ちわびたか!!!皆の衆!!!!ワシ様が来たぞーーーーーー!!!!!!!!」

「「ビワーーーー!!!!「「ビワ様ーーーー!!!! 」」」」


きらびやかな衣装とド派手な光を放つ、黒い肌に薄青の髪、金色の目を持つ見目の整った青年。そのままロックな歌と演奏が始まった。


オモテは村では見たことのない激しい催しに、あっけにとられていた。


「他里は・・・刺激的だな・・・」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ