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面鮹族の歴史

ハクゲイに謁見が許可されたので、オモテは王の執務室に訪れていた。事前にラカンにオモテがハクゲイだけに相談したいことがあると話を通していたためか、部屋の中はハクゲイとオモテの2人だけであった。白い魚は相変わらずオモテの肩元にいた。


「今日、ハクゲイ様にお目通りできたこと、大変嬉しく思います。」

「うむ。だいぶ回復したようでなにより。そして、我に相談したいことがあるとか。」

「はい。・・・その、ハクゲイ様の知る面鮹(めんだこ)族のすべてを知りたいのです。」

「面鮹族について、か。面鮹族であるお主の方が詳しいのでは?」

「いえ。・・・自分は本来20歳を迎えたときにされるはずの話を聞かずに村を出てきた可能性があるもので。他の面鮹族の者より知識が抜けている可能性があるのです。あと・・・」

「あと?」

「・・・今回、魔物に襲われたとき、頭をいじられました。信じられないことに、その時から自分は経験していないのですが、恐らくご先祖様であろう者達が行ってきたであろう記憶が度々呼び起こされました。その記憶が正しいのか、知りたいのです。」

「・・・ほう。具体的には?」


オモテは口にするのをためらった。白い魚がオモテの首にすり寄る。


「他言はしないと誓おう。」

「・・・・・・面鮹族が、魔物と共に人々を殺してまわっていたのです。」


オモテは罪の告白をするように、声を絞り出した。


「面鮹族が、元は魔王のために創られた魔物であった可能性があります。はじめは1人の面鮹族が海にやってきて、民を殺し、光を吸収し、分裂して増えていきました。」


ハクゲイは顎に手をやり、考える仕草をした。そして、白い魚に目をやった。


「それは事実だ。」


オモテがハクゲイの顔を見る。


「ようやく我の顔を見たね。オモテ。」


ワダツミにそっくりな顔がオモテを見ていた。


「定めの子達よ。いいだろう。我が知る面鮹族について教えてやろう。」


ハクゲイの話はこうだった。

太陽が魔王に退けられ、天界、陸、浅瀬の海に魔王の刺客が放たれた。それぞれは特別な力を持っていて、魔物を使役し多くの光を奪いまわっていたらしい。深海にも刺客が放たれた。赤い髪色で頭頂部に小さいウサギの耳のような髪のハネが2本はえている黄色の目を持つ男。それが面鮹族の祖先だった。


「お主の言うとおり、男は民を殺してまわり、分身を生み出して勢力を拡大していった。あるとき、光を面に溜め始めしばらく経った頃だったか。分身同士で争いが起こり、数名の面鮹族が民の味方をしだしたのだ。光を使った武器を使用し、面鮹族同士で争いが起き、分裂を繰り返し、最終的に魔王派の面鮹族は全滅した。民派の面鮹族はそのまま魔物を殺しまわった。しかし、多くの民は面鮹族を敵視していてな。生き残りの面鮹族は迫害にあい、一部は戦闘奴隷に。一部はその光の秘術を強制的に各地の民に教えることを余儀なくされた。時が経ち、誰もが面鮹族を魔物ではなく奴隷として見るようになった頃、海神の言葉により面鮹族はすべて解放されたのだ。」

「ワダツミ様の?」

「うむ。民からすれば、すなわち太陽のお告げだな。『面鮹族を1人残らず解放せよ。さもなくば厄災が訪れるであろう』と。はじめは多くの権力者が面鮹族を隠し持っていたが、その里や村で光が全く降らなくなったのだ。光付与に依存した生活をしていた民は悲鳴をあげ、面鮹族は時間をかけてすべての者が解放されていった。その後面鮹族は1つにまとまり、誰も訪れることのない遙か遠い東の地にお主の知るメンダコ村を作った。人々の中で面鮹族の話は語り継がれ、『面鮹族は初めて世海を照らしたとされる一族である。』と光付与を授けた伝説の民へと変化していった。」


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