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太陽の研究所

「意外ですか?」

「おつきさま?」


オモテが聞き、オトヒメが不思議そうに聞いた。


「おや、お月様自体も知らないのですか?いや、失礼。私はてっきり、深海の方々は太陽様よりもお月様を慕う方々であるとばかり思っておりました。」


苦笑いしながら神官の話は続く。


「そうですね・・・我々浅瀬の国に伝わる昔話があります。その昔。何もなかったこの世海に太陽様が現れ、煌めく尊い金の命の光を降り注ぎました。その熱は海を動かし海流を創り、海藻を芽吹かせ、世海に酸素が行き届くようになりました。そのあと、太陽様が我々動物を創ったと言われています。生物は生まれることもあれば、当然死ぬこともあります。死んだ者達の亡骸や光は深海の海の底へ。海の底にお月様がいらっしゃいます。深海で死者がお月様に抱かれて眠り、十分休んだら精霊様となって天界に行き、再び太陽様に世海に行くよう促され、ここ浅瀬の国に還ってくると考えられています。お月様は別名黄泉の母とも呼ばれていますよ。」

「へぇ~、初めて聞いた!」


オトヒメが素直な感想を述べる。


「確かに太陽様の信仰に比べれば、お月様の信仰は珍しいかもしれません。死は不吉なものですから。でも・・・ふふ、お嬢さんのその反応。月の神殿の者達が見たら驚いてしまうかもしれないですね。」

「ラカン。お主は本当にお月様を知らなかったのか?」


ビワがラカンに質問する。


「ええ。私が前浅瀬の国に来たのは50年も前のこと。当時は太陽の研究所と『海神の眼鏡』の開発が主な目的でした。開発が終わりすぐハタグルマに戻らないといけなくてね。月の神殿があることは知っていても中に入る機会がなかったのですよ。」


オモテが質問する。


「あ、そういえば『海神の眼鏡』、あれは直りそうですか?」

「ええ。海神様に直していただきました。心配する必要はありませんよ。」

「オモテ。ワシは月の神殿に行きたい。」


そこでハクゲイが口をはさむ。


鮟鱇(あんこう)姫。まずは太陽の研究所での講義からだ。それが終わってから月の神殿に案内させよう。」

「・・・わかったよ。」


白い魚が一回り大きくなってオモテの肩元へ帰ってきた。精霊がいなくなった太陽の神殿を出て、一行は太陽の研究所へと向かった。



太陽の研究所はとても明るかった。白を基調とした建物で、大きな窓が天井にも通路横にも多く設置されていたため太陽の光がよく差し込む温かい雰囲気の建物だった。すれ違う研究員は全員白い白衣を着ている。ときおりオモテ達の足を見てぎょっとする職員もいたが、ラカンを見て納得したように頷く職員もいた。


「お待ちしておりました。」


一行は大きな丸い人に出迎えられた。


「うむ。今日はよろしく頼むぞ、モラモラ。」


ハクゲイにモラモラと呼ばれた男。ハクゲイよりやや低い身長ではあるがそれでもオモテ達よりも1.5倍は身長がありそうなくらい縦にも横にも大きな男だった。太陽の研究所の制服だろうか、男が来ている白い白衣には胸元に金の太陽のシンボルが刺繍されている。


「お久しぶりです。」

「おお!ラカン殿!お久しぶりです。最後にお会いしたのはもう何年前になりますかな?お変わりなくお元気そうで何よりです。」

「そちらこそ。そうそう、所長に大きなニュースを持ってきたのです。太陽の研究が一気に進むと思われますよ。」

「ほう!それはいい情報だ!今すぐにでも聞きたい・・・!!さっさと子供達への講義を終えてしまおう。」


モラモラに案内され、オモテ達は太陽の研究所内の小さな講義室へ移動した。


「さて。子供達。改めて浅瀬の国にようこそ!私はマンボウの人魚で太陽の研究所の所長をしているモラモラという。今日はよろしく頼むね。」

「なぁ、ニンギョってなんだ?」

「ん?」

「そういえば、キンシャさんもニンギョって言ってたね。」


ビワがモラモラに質問し、オトヒメがキンシャの事を思い出した。

モラモラが興味深そうに笑い、答える。


「人魚、そうだな。いわゆる自分たちのことを人魚というのだ。私たちは魚のような尾を持っているだろう。人の魚だから『人魚』と定義しているのだ。ではどんな人魚なのか。私たちの祖先はもともとただの魚だったと言われている。その魚が進化して、ヒトと混じり合い今の姿になったのだ。私の祖先はマンボウだった。マンボウがヒトと混じり合い、マンボウの人魚になった。ということだ。」

「その定義で言うと・・・自分たちも祖先は水生生物だったと言われています。皆さんのように尾はありませんが、髪や能力にその水生生物の特徴が受け継がれているから、自分たちも人魚ということですか?」


オモテがモラモラに質問する。


「もちろん広い意味では人魚でしょう。浅瀬の国では特に尾に特徴が現れやすいというだけですからね。」

「私たちだったら、種族の元になった水生生物、といったらわかりやすいのは伝達精霊を見ることだよね。」


オトヒメが手のひらを上にむけてポンッとオトヒメコンニャクウオを出した。


モラモラが目を剥き驚愕した。


「なぁんですかそれは!!!!!!」


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