ビワの新武器
改めてビワが腕に装着した武器を見せる。
肘までの長さがある厳めしいグローブ。手の平と肘の部分に青い魔石がはめられている。腕の部分にも空の魔石ホルダー部分が3つずつ着いていた。
「これはワシの光を前に飛ばしたり、水流を作り出してイカタコみたいに超スピードで前に進むジェット機能がついたグローブなんだ!」
そう言って、ビワはまるでピストルを構えるように右手人差し指と親指の間が90度になるように開き、他の指を握りしめ、右腕を地面と水平になるようにまっすぐ構えた。
「いくぞ!」
ビワがそう言うと、ビワの人差し指の爪が光り、前方に勢いよく光の球が発射された。
「これは!・・・すごい、驚いた。どうなっているんだ?」
「オモテは夢を見たか?」
「ああ。といっても、あまり覚えていないのだが。」
「ふむ。ワシも見てな。母上と昔、光の汁を毛の発光器や爪から出す遊びをしている懐かしい夢を見た。ふと光をまっすぐ出すことができたら遠距離光攻撃ができるんじゃないかと思ったんだ。」
会話にオトヒメも参加する。
「突然アンコが起きたと思ったら、『オトヒメ!光の汁を前方に飛ばすにはどうしたらいいと思う!』って怒鳴ってくるんだからびっくりしちゃった。目覚めて初めての言葉がそれ!?って。」
オトヒメが疲れた顔で言う。
「オトヒメさんが最初に目覚めたんですね。」
「うん。私もね!夢で私が光付与しているようすが出てきて。夢で意識していたことを思い出しながら光付与の練習をしていたんだ。そうしたら、やっと最近光付与ができるようになったんだよー!」
「で、オトヒメが『光の汁を水流の魔石で前に飛ばしたらどうか。』ってな!?一からグローブを作成して今の形ができたって訳よ。」
ビワがぐいっとオモテの顔の前に手の平を突き出す。大きな魔石がはめ込まれていた。水流の紋が刻まれているので、ビワの爪から出た光の汁をここから前に押し流しているのだろう。
「ビワ、肘のところのも水流紋の魔石か?」
「ああ!」
ビワがにやっと笑って両腕を後方に伸ばす。そしてその場から勢いよく前に吹き飛んでいった。
「うわ!!!!!!!!!」
「きゃっ!!!!!!!!!もーー!!アンコ!!!!」
「はっはっは!!!すまぬすまぬ!!!」
もう一度ジェット噴射してビワが元の位置に戻ってきた。
「これは、すごいな。」
「そうだろう!!!!!!!!!オモテが寝ている間ワシ様はさらに強くなったぞ!!だがな・・・オトヒメ!」
「はいはい。」
ビワは手の平の魔石をオモテによく見せ、オトヒメはそれと同じはめていない魔石を見せた。
オトヒメの持っている魔石は色が濃い青色をしているが、ビワの手の平のものは薄い青色になっていた。
「オモテさんも知ってることだろうけど、一応説明するね。魔石は光をこめてつくるものでしょ。私の技術では魔石使い捨ての燃費の悪いグローブを作ることしかできなかったの。」
「そこでお主の出番というわけだ!光を集めて水流の魔石に供給できるバッテリーみたいな魔石を作ってくれぬか?それを空いている部分にはめこむんだ!」
「なるほど・・・やって見る価値はありそうですね。ところで、さっきから気になっていたんですが・・・」
オモテは部屋を見渡した。
「この鍛冶場の道具と魔石はどうしたんですか?」
オトヒメが得意な顔をして腰に装着しているバッグをなでながら答えた。
「鍛冶場は頭領の魔道具!簡易バッグに鍛冶セットを保管してるの!いつでも鍛冶ができるようにね。魔石はワダツミ様からもらったものだよ。旅をしていると集まるんだって。せっかくだからってもらっちゃった。」
オトヒメが腰のバッグから未使用の魔石をいくつか取り出した。
「・・・とても純度の高い魔石ですね。」
「ほんと。おかげで光付与の練習がはかどったよ。」
ビワがそわそわし出した。
「なぁ!オモテ!もう説明は済んだから・・・」
「ああ。やってみよう。」
ビワからグローブを受け取り、オモテが魔石に光付与を行う。
「(自分の面と同じように。倒した魔物から出る光や漂っている光を吸収するように光付与をしよう。)」
オモテは自身の爪に意識を向け、光を集めて魔石を彫る。光が集まるように、と願いをこめて。魔石に光をイメージした模様を描き、光付与を行った。
続いて、魔石をはめる場所から手の平までの間に導線をひくように線を彫る。同様に肘の魔石までにも線を引く。バッテリーとなる魔石から、両方の魔石に光が供給されるように願いをこめて線の部分にも光付与を行った。
「多分、これでいいはずだ。」
「おお!できたか!!」
ビワが喜んでグローブをはめる。
「今は周りに光がないから成功しているかわからぬな。ああ、早く魔物を狩りたい!」




