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真珠の飴

「これより、予定通り浅瀬の国へ行く。ラカン、お前も眠るか?」

「いえ、私はご報告したいことがあります。」

「そうか。ビワ、オトヒメ。顔を上げよ。」


2人が顔を上げる。


「今から行く場所は浅瀬の国と言い、ここ深海の国よりも太陽に近い国である。今のお前達がこのまま行くと、浅瀬の国の環境に耐えきれず皆死んでしまうだろう。」


オトヒメが生唾を飲んだ。


「だから、これを授ける。」


そう言って、ワダツミはどこから出したのか、右手の平に3つの丸い真珠のようなものを出して見せた。とろんと乳白色をした、直径2cmはある真珠だ。その色を不思議に思いながら、オモテは質問した。


「真珠、ですか?」

「真珠ではない。これは、――――そうだな、(あめ)、と言ったかな。」


ワダツミが(あめ)を各々に渡す。


「口に入れ、舐めなさい。これがお前達の体を、浅瀬の国の環境に合わせ作り変えてくれる。」


ビワがラカンを見る。それを見てラカンは頷いた。

一番に口に入れたのはビワだった。その後、オトヒメ、オモテが続いて口に入れた。

舐めるとほんのり甘い優しい味がした。


「おお、なかなかうまいの。」

「うん!おいしい。」

「・・・」


しばらくすると、飴がすっと溶けて消えたのがわかった。わかった瞬間、3人はぐらり、と視界が揺れるのを感じた。そのまま強い眠気を感じて3人は寝てしまった。



――――・・・


ここはどこだ。辺り一面暗い世界。オモテはあたりを見回す。勝手に足が動いた。


「(!?)」


オモテは自分の体が勝手に動いていることに気がついた。なんならオモテは自分の体を背後から見つめていた。まるで幽体離脱したかのように、勝手に動く自分を見ていることしかできなかった。

自分は迷いない足取りで歩き進み、刀を振り回す。刀が何かに当たったのか、降った先から光が出ていて、それを面が回収していた。切っては吸収し、切っては吸収しを繰り返す。


「早く、魔王様に。」


もう1人の自分がつぶやいた。


――――――――オモテは目を覚ました。


「(何か夢を見ていた気がする。)」


オモテが起きたことに気がついたのか、白い魚がオモテの顔にまとわりついた。


「!はは、やめてください姫様!」


オモテは白い魚を引き剥がした。そこで自分が初めて寝たときとは違う部屋にいることに気がついた。


「(確か、海神様の腹の中にいたはず。)」


白い魚がオモテから離れて部屋の扉の前に移動した。案内したい場所があるらしい。

オモテは起き上がり、白い魚を追うことにした。


隣の部屋を出て、廊下を進むと、寝たときにいた広間に出た。


「っ!!」


思わず手で目の前を覆ったほど、明るい空間だった。

普段の深海では見ることのできない光量。クジラの体内から透けて見える外の世界は光の世界だった。


「おお!ようやく起きたかオモテ!!」

「ビワ。」


ビワが手を大きく手を振り、オモテを呼ぶ。

白い魚はいつものオモテの肩元に落ち着いた。


「遅かったな。ワシたちは1ヶ月早く目覚めていたぞ。」

「1ヶ月!?」


そこにワダツミも現れた。


「人によって目覚める時間は異なるからな。」

「お主が起きるまで、オトヒメもワシも修行していたのだ。大分強くなったぞ。」


ビワが腕を伸ばして新しい武器を見せてきた。


「それは?」

「オトヒメが作ってくれた。お主が起きるのを待っていた!さぁ、行くぞ!!」


ビワに腕をひかれてオモテはオトヒメのところに行く。

別の部屋でオトヒメは鍛冶をしていた。どうやって用意したのか、立派な鍛冶部屋となっている。今は光付与をしていたようだった。


「あ!!オモテさん!目覚めたんだね!久しぶり!」

「オトヒメ!さっそくやってもらおう!」


ビワがオモテをぐいぐい引っ張ってオトヒメの元に引き連れる。


「ビワ、何が何だかわからないんだが。」

「アンコ、オモテさんに何にも説明してないの?」


いつの間に仲良くなったのか、オトヒメがビワのことをアンコと呼んだ。


「ああ、すまぬ。こいつ起きたてなんだ。」

「もう!」


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