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面ーオモテー:深海の勇者  作者: タナバタネコ
ハタグルマの里
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夜の到来

「あ・・・あ・・・あ・・・」


ヌタが体を震わせ、おびえていた。しかし、ヌタの残っていた耳に、遠くで鳴る聞き覚えのある音楽が聞こえた。甘美な音色。一度聞いたら忘れられない死のワルツ。今のヌタにとって一番怖いものはオモテだった。


ヌタは夜に気がついた。おびえた顔のまま壊れたように口を歪ませ、笑い始める。


「は・・・はは・・・ははは!!!!!夜!!!夜夜夜!!!!!!」


様子の一変したヌタにリュウグウや兵、ビワが警戒した。

ビワは嫌な汗をびっしょりとかいていた。


「夜夜夜夜!!!!!ああ、もうなんでもいいよぉぉお!!!!この状況をどうにかしてぇ!!!!この里をぉぉ!!!この世界をぉぉ!!!!見たくないぃ!!!ぶちこわせぇぇぇえぇえ!!!!」


ぼきり、と骨が折れるような嫌な音が大きくなった。

ヌタの身体が大きく反り返り、瞳が見開かれた。瞳の黒目が白目を侵食し、眼全体が闇で覆われる。闇が眼孔から盛り上がり、シュルルルと素早く闇のカーテンが部屋に広がった。そして人のような形をした者達がヌタの眼孔から飛び出した。


どこからともなく聞こえる不気味なパレード音楽の中で、部屋の中にいる生きた者達は動揺した。


出てくる人々は不気味でおぞましく、オモテ達が見たことがない者達だった。先頭をきるのはまるで中世ヨーロッパのような赤い華美な服装、大きなカツラ、それでいて真っ白なピエロのような化粧の男や女。ベッドシーツをかぶっただけの幽霊のような者。白い長いとんがり帽子をかぶった全身真っ白のタイツの子供。巨大な鎌をもったペストマスクやドクロの面をかぶった死神。屈強な身体をもつ赤い服装のナポレオンのような馬に乗った男。華やかな露出の多い赤いドレスを着た顔のない踊り子。魔女。羽が生えている者。悪魔。ドラゴン。獅子の頭に甲羅。蛇の尾のようなものがはえたキメラ。


悪夢のような者達が眼孔から飛び出すたびに、ヌタの身体が縦に裂け、死体袋のようになっていく。

行進の最後に、ヌタの身体からぬるりと女の手が出てきた。白い肌はぬめぬめの粘液で覆われている。黒い髪の長い裸の女性が出てきたかと思えば、目はなく、口にはヌタウナギのようなひげがはえた口だけが見えた。下半身は幼虫のような多足のぶにぶにした姿をしており、長いヌタウナギの尻尾が生えている。その体から絶え間なく粘液が出ており、生きている者の動きを抑制した。生きる未来の見えなかったヌタは、盲目の女性となった。


兵は恐怖におびえ動けないでいた。リュウグウもこれは予知することができなかったのか、その顔は驚いている。オモテとビワだけがまだ冷静だった。


不気味な音楽の音が激しくなる。

ヌタだった女性も死の行進の後を追う。部屋をぐるぐる周り、オモテ達を囲う異形達。ビワもオモテも、その部屋にいる者は死の行進を目にしてからまったく身体が動かない。音楽が頭の中でぐわんぐわん反響する。そのとき、たくさんの異形がオモテ達に襲いかかった。


多くの生きる者が何もすることができずに死に飲まれていく。

白い魚がオモテの服からするりと出てオモテの肩元に移動した。

白い魚はオモテに光を注ぎ、気付けをする。


「ありがとうございます、姫様。」


オモテは頭で何度もシュミレーションしたように、剣に自身の光を吸わせる。オモテと剣がぼんやりと光った。それだけで夜はオモテから距離をとった。

オモテは足に光を集中させ、赤い服のピエロ顔の男につめより、剣をさし込んだ。

ピエロの男は全身をぶるるるると震わせながら蒸発して消えた。


それを見たビワはどくんと心臓が高鳴った。


「(・・・光が効いた!!仮説は間違っていなかった!!)」


オモテの首元から白い魚が部屋の高いところへ泳ぎとび、部屋にいるものに気付けの光をばらまいた。

ビワは部屋にいる者を元気づけるように大きな声で叫んだ。


「聞け!!!!!!!!こいつらは光が苦手だ!!!!!恐れることはない!!!光れる者は光れ!!光る道具を持っている者はつけろ!!!!今から全力で発光するから、全員目を閉じろ!!!!!勇気をもって目を塞げ!!!」


そう言って、ビワは自身をありったけの光を使って発光させた。と同時に、オモテも剣を光らせながら次々と夜を蒸発させ、ビワが光る瞬間、ヌタの顔面に剣を突き刺した。


炉の部屋が閃光弾が投げ込まれたかと思うくらい激しく光った。普段、暗い深海で柔らかい光しか見ていない者達はこの光を見ていたら失明していただろう。

しかし、白い魚の気付けのあと、ビワの声を聞いたため、全員目を閉じることができていた。

全員が閉じたまぶたの裏で激しい光の明滅を感じた。それがなくなり、全員ゆっくり目を開けると、オモテが提灯で部屋を照らしてくれていた。




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