約束の日④
そう言って、ヌタは左手を肩まで水平に挙げ、オモテ達を指さした。その途端、ヌタにまとわりついていたクロモチが2人に勢いよく襲いかかった。
「!!!」
「クッソ!!!」
クロモチの雪崩が2人を覆い込む。何も見えない暗い世界。オモテはグモグモと嫌な感触が肌にまとわりつくのを感じていた。
「・・・!!!!アッツ!!!」
クロモチが食いついたのか、体全身が焼けるような痛みに襲われる。
クロモチがオモテとビワを消化し始めた。
「あははぁ!他の子はぁ!里の生き残りをやっちゃおうねぇ!」
「そうはさせないよ。」
いったいいつからそこにいたのか、門の周りをリュウグウとその私兵が取り囲んでいた。
「魔物、南東の方角、構え!!」
南東に移動していたクロモチの群れにスケーリーフットの兵が水銃弾や魚雷で応戦する。
「次!北から魔物が飛んでくる!構え!!」
まっすぐ北からマンホールから吹き飛んできたクロモチを盾や槍、水銃弾ではじき飛ばした。その後も的確にクロモチの流れが行く方向をリュウグウが読み、私兵達が対処した。
「・・・なに。わかるの?」
不快な表情を隠すことなく、ヌタがまっすぐリュウグウを見る。
リュウグウの琥珀色の目の色が揺らめいていた。
ヌタの顔から一瞬表情が消えた。
バゴォオオオオムッッと派手な音をしてクロモチの群れが吹き飛んだ。
オモテとビワだ。オモテは光る剣で、ビワは拳がぼろぼろになりながらクロモチを吹き飛ばした。
オモテは目にもとまらぬ速さでヌタめがけて走り出す。
ビワはロープランチャーでヌタの横にいたクロモチをぶっ刺し、ロープをグンッとひっぱり、すばやく移動した。
「!!・・・しつこいねぇ!!」
ヌタが左手を素早く挙げ、2人の前にクロモチの濁流壁を作る。
その壁をオモテは切り裂き、ビワは拳で吹き飛ばした。2人は変わらぬ勢いで突き進む。
「くらいやがれぇ!!」
ビワがヌタを捕捉した。
ビワの拳がヌタの左肩に当たった。
「!!!」
ヌタはぐるるっと反回転し後ろの門まで吹き飛んだ。
吹き飛んだ瞬間、統率のとれていたクロモチの動きがピタッと止まり、各々で動き始めた。
ヌタがすぐに起き上がる。クロモチの動きがまた統率のとれたものになった。
それをリュウグウは見逃さなかった。
「ビワ!オモテ!そして各兵よ!!死海の頭領のそこの女!ヌタがこの魔物を操っている!ヤツの思考が途切れれば制御を失い、いつもの魔物になるだろう!ヤツを叩け!!」
ウォォオオオオオッ!!と兵が声を上げる。
「・・・なるほどな。聞いたかオモテ。」
「ああ。」
ヌタが憎悪に満ちた顔でリュウグウを見る。
「うぬ、油断した。・・・ちょっとわっちは逃げるよぉ。」
ヌタはその体の表面をぐじゅりと溶かし、粘液を分泌してぬめぬめになった。
その体でマンホールに逃げ込み、滑りながら目にもとまらない速さで里中を駆け抜け逃げた。
「しまった!」
オモテは叫んだ。
リュウグウが叫ぶ。
「案ずるな!」
リュウグウが目を閉じる。リュウグウの脳裏に逃げているヌタが映った。ヌタがにやりとして一点を目指している・・・
「ヤツはハタグルマの里の西区に向かっている!西区の鍛冶街だ!」
西区は鍛冶屋、武器・防具屋地区だった。そこには――――
「「オトヒメとイサリビが危ない!!」」
オモテとビワが急いでこんにゃく鍛冶屋に向かった。




