約束の日➀
ハタグルマの里の上空で、イカやタコ、クラゲやサメといった様々な種類の精霊様が太陽の門に向かい泳いで行く。何年に1度あるかないかの精霊大行進。ハタグルマの里はお祭りムードで、誰も彼もが天を見上げ、露店を賑わせていた。
「無礼講!今日はめでたい!太陽の門が開く日だ!」
ある店ではアルコール飲料が客に無料で振る舞われていた。
「さぁ、神殿に向かいますよ!精霊様を見送りましょう。」
子供達は親に連れられ、門がよく見える神殿へと向かう。
「えー、精霊みくじ~!精霊みくじ~!あなたの守護精霊はなんでしょうかねー?1個100シェル!いかがですかー?」
「縁起物!白貝の蒸し串はいかがですかー?」
「寄り添い旅立つ精霊様はロマンチック!いつまでも一緒に!この機会にカイロウドウケツエビを飼ってみませんか?」
黒い煙が上るハタグルマの里で、たくさんの白い精霊達が門を目指しゆったりと泳ぎ行く。
オモテは遠くの方で賑わう声を聞きながら目を覚ました。
「オモテ!起きたか!?」
ビワがバンッと鍛冶屋の戸を開く音とビワとオトヒメの声がした。
「ビワさん!オモテさんは朝まで頑張ったの!まだ寝かせてあげて!」
「ならん!急げオモテ!!!!!もう門が開くぞ!!!」
門。その単語を聞いて、オモテはガバッと身を起こした。今日はリュウグウが言っていた死海がやってくる日。横にきれいに布の上に置かれた自分の剣を帯刀し、急いでビワの元に行く。
「すまない、待たせた!」
「遅い!」
「そんな、オモテさん!体は大丈夫!?」
「はい。オトヒメさん。ありがとうございます。」
「行くぞ!」
ビワは駆け足で門に向かう。
オモテもそれに続く。
「・・・あ、オトヒメさん。それからイサリビさん。」
奥からイサリビも戸にやってくるのが見えた。
「鍛冶指導、ありがとうございました。このご恩、けして忘れません。」
「そんな!・・・そんなこと言われたら今生の別れみたいじゃない。またウチに来て!そして私に面鮹族の光付与を指導してよ!」
「オトヒメ!」
「あいた!!・・・じょうだんですよぉ。」
「オモテ殿、こちらこそ貴重な面鮹族の技術を見せていただきました。また、お会いできるのを楽しみにしていますよ。」
「オモテ!!!!」
ビワがオモテを急かす。
「・・・はい。大変お世話になりました。またここに来ます。それでは。」
2人が走り去っていったその道を、その背中が見えなくなった後も、オトヒメはいつまでもその道を見つめていた。
突然やってきて、私にもできない光付与をなんなく施して、すごい剣を打った人。いつかあの技術をモノにする。そして、次にあの人が来たとき、自分の剣を握ってもらおう。
「オトヒメ!今日の炉の支度は済んでるのか!」
「はい!!!!!頭領!!!!」
オモテ達がいなくなってどれくらい経ったのか。オトヒメが鍛冶屋の戸を閉める。
次の瞬間、鍛冶屋の上に黒い餅のような魔物が降って来て鍛冶屋を倒壊させた。




