光る剣
「オモテさんできましたよー・・・って、えええええーーーー!!!!?」
オトヒメが2人分のホットシェルミルクを持ってやってきた。
慌ててオトヒメが光る剣を持つオモテに近づいた。
「でででっででででで!!!できたんですか!!!!!!!!?」
「ああ、ああ、あ、あ」
2人であたふた見合う。
わ、わぁーっ!!!!とオトヒメがオモテに抱きついた。
「おおおおおおおめでとうございますぅぅぅううううう!!!!!!!!!」
オトヒメは感極まって泣きながらオモテを抱きしめたまま、背中をばんばん叩く。
その痛みに、オモテは夢では無いんだと実感した。
「ああああ、自分、なんでできたのか、ぼーっと思うがままに作ってたらできて・・・できて・・・」
「おめでとうございましゅぅううううう!!!!」
「・・・なんだ騒々しい・・・」
のっそりとイサリビが鍛冶場を覗いたのがわかった。
「じっさまーーー!!!!!オモテさんがついにやりましたーーー!!!!」
鼻水ぐしゅぐしゅの顔でオトヒメがイサリビに振り向いた。
オモテの右手には未だ光っている剣が握られていた。
「・・・!!!おお、ついにやりましたか!!」
イサリビもオモテ達にゆっくりと近づいた。
「ほらオトヒメ。いい加減オモテ殿から離れなさい。」
「ぎゃふ!」
イサリビがオトヒメを荒っぽい仕草で引き剥がす。
「オモテ殿、儂にもよく見せてくだされ。」
「・・・はい!!」
オモテは目をかっぴらいたまま剣をイサリビの前に突き出した。
イサリビは剣を受け取らず、指先でオモテの彫った印をなでた。
「・・・ああ、もう一度見れるとは。」
イサリビの目尻に涙がたまる。
「・・・失礼。面鮹族の秘術。かつて、一度だけこのような印を見せていただいたのです。まるでオオダ殿の剣のようだ。」
「族長のような...」
「はい。到底鏨と福鎚で作ったとは思えぬ繊細な彫り。いったいどうやったのです?・・・いや聞くのは駄目ですな。」
イサリビは震える指先で印をもう一度なでた。
オモテはその言葉にはっとした。
「これは、鏨と福鎚ではなく、自分の爪で彫ったのです。」
「えっ、爪で?」
オトヒメがびっくりした顔でオモテに聞いた。
「わっはっはっはっは!!!」
イサリビが大きく笑った。
「なるほど。それは面鮹族しかできないわけですな。」
「・・・身体強化できる面鮹族・・・どんな繊細な印も可能に彫れる。私たち多種族は鏨と福鎚で彫れる簡単な印しか彫れないから、だから限定された光付与しかできないんだ・・・」
「そうだ、オトヒメ。そうか。これは盲点だった。印を彫るには道具が必須と思っていた。完全な思い込みだった。時間をかけさせて失礼したな、オモテ殿。」
そう言って、イサリビはオモテから剣を受け取った。刀身から光が消えた。イサリビはもう一度印を細かく観察した。
「こんな繊細な線、確かに鏨と福鎚では彫れぬ。複雑な線だから、面鮹族の作った物はまるで神のような技が使えるのだ。そりゃあ自分の光をこめることもできるだろうよ。」
イサリビは剣をオモテに返した。
「もう一度、光らせてみてくだされ。」
オモテは頷き、立ち上がり剣に光を込める。剣を光らせろ、と思いを込める。オモテの体の光が、オモテの右手を通り、そのまま剣に流れ込んだ。刀身に流れた光は発光した。剣先まで行った光はまたオモテの体に戻り、発光するのを止めていた。オモテと剣の中で循環する流れを作っていた。
「すごい・・・」
オトヒメがつぶやいた。
オモテはなんとなく、軽く刃先を床に向けて振ってみた。
すると、剣先に行っていた光がビュンッと飛び、石の床を傷つけた。
「「「!!!!!」」」
だが、出したと同時に体が少しだるくなった。
「(・・・?)」
「な・・・なな・・・なに!!!!いまの!!!!!!なに!!!!いまのぉおお!!!!!!」
オトヒメがイサリビの左腕をつかみ激しく揺さぶった。
「なんと・・・なんと・・・!!!!!?」
イサリビもとても驚いた顔をしてオモテと刀、傷ついた床を見る。
オモテはもう一度剣に光をこめ、小さくまた床に向けて剣を振り下ろした。また光の刃が剣先から出て床を傷つけた。
「・・・完成です。これで、夜を倒せる!!!!」
そう言って、オモテはふらっと立ちくらみ、床にばたんと倒れてしまった。
「「あああっ!!!!」」
2人は慌ててオモテの持っていた剣とオモテに傷が無いか確認した。
「・・・ただ寝ているだけみたい。頭領、このまま寝かせてあげてください。ずっと、寝ないで作業していたの。」
「ああ。緊張が解けたのであろうな。寝かせてやろう。」




