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面ーオモテー:深海の勇者  作者: タナバタネコ
ハタグルマの里
29/58

光る剣

「オモテさんできましたよー・・・って、えええええーーーー!!!!?」


オトヒメが2人分のホットシェルミルクを持ってやってきた。

慌ててオトヒメが光る剣を持つオモテに近づいた。


「でででっででででで!!!できたんですか!!!!!!!!?」

「ああ、ああ、あ、あ」


2人であたふた見合う。

わ、わぁーっ!!!!とオトヒメがオモテに抱きついた。


「おおおおおおおめでとうございますぅぅぅううううう!!!!!!!!!」


オトヒメは感極まって泣きながらオモテを抱きしめたまま、背中をばんばん叩く。

その痛みに、オモテは夢では無いんだと実感した。


「ああああ、自分、なんでできたのか、ぼーっと思うがままに作ってたらできて・・・できて・・・」

「おめでとうございましゅぅううううう!!!!」

「・・・なんだ騒々しい・・・」


のっそりとイサリビが鍛冶場を覗いたのがわかった。


「じっさまーーー!!!!!オモテさんがついにやりましたーーー!!!!」


鼻水ぐしゅぐしゅの顔でオトヒメがイサリビに振り向いた。

オモテの右手には未だ光っている剣が握られていた。


「・・・!!!おお、ついにやりましたか!!」


イサリビもオモテ達にゆっくりと近づいた。


「ほらオトヒメ。いい加減オモテ殿から離れなさい。」

「ぎゃふ!」


イサリビがオトヒメを荒っぽい仕草で引き剥がす。


「オモテ殿、儂にもよく見せてくだされ。」

「・・・はい!!」


オモテは目をかっぴらいたまま剣をイサリビの前に突き出した。

イサリビは剣を受け取らず、指先でオモテの彫った印をなでた。


「・・・ああ、もう一度見れるとは。」


イサリビの目尻に涙がたまる。


「・・・失礼。面鮹(めんだこ)族の秘術。かつて、一度だけこのような印を見せていただいたのです。まるでオオダ殿の剣のようだ。」

「族長のような...」

「はい。到底(たがね)福鎚(ふくづち)で作ったとは思えぬ繊細な彫り。いったいどうやったのです?・・・いや聞くのは駄目ですな。」


イサリビは震える指先で印をもう一度なでた。

オモテはその言葉にはっとした。


「これは、(たがね)福鎚(ふくづち)ではなく、自分の爪で彫ったのです。」

「えっ、爪で?」


オトヒメがびっくりした顔でオモテに聞いた。


「わっはっはっはっは!!!」


イサリビが大きく笑った。


「なるほど。それは面鮹(めんだこ)族しかできないわけですな。」

「・・・身体強化できる面鮹(めんだこ)族・・・どんな繊細な印も可能に彫れる。私たち多種族は(たがね)福鎚(ふくづち)で彫れる簡単な印しか彫れないから、だから限定された光付与しかできないんだ・・・」

「そうだ、オトヒメ。そうか。これは盲点だった。印を彫るには道具が必須と思っていた。完全な思い込みだった。時間をかけさせて失礼したな、オモテ殿。」


そう言って、イサリビはオモテから剣を受け取った。刀身から光が消えた。イサリビはもう一度印を細かく観察した。


「こんな繊細な線、確かに(たがね)福鎚(ふくづち)では彫れぬ。複雑な線だから、面鮹(めんだこ)族の作った物はまるで神のような技が使えるのだ。そりゃあ自分の光をこめることもできるだろうよ。」


イサリビは剣をオモテに返した。


「もう一度、光らせてみてくだされ。」


オモテは頷き、立ち上がり剣に光を込める。剣を光らせろ、と思いを込める。オモテの体の光が、オモテの右手を通り、そのまま剣に流れ込んだ。刀身に流れた光は発光した。剣先まで行った光はまたオモテの体に戻り、発光するのを止めていた。オモテと剣の中で循環する流れを作っていた。


「すごい・・・」


オトヒメがつぶやいた。


オモテはなんとなく、軽く刃先を床に向けて振ってみた。

すると、剣先に行っていた光がビュンッと飛び、石の床を傷つけた。


「「「!!!!!」」」


だが、出したと同時に体が少しだるくなった。


「(・・・?)」

「な・・・なな・・・なに!!!!いまの!!!!!!なに!!!!いまのぉおお!!!!!!」


オトヒメがイサリビの左腕をつかみ激しく揺さぶった。


「なんと・・・なんと・・・!!!!!?」


イサリビもとても驚いた顔をしてオモテと刀、傷ついた床を見る。


オモテはもう一度剣に光をこめ、小さくまた床に向けて剣を振り下ろした。また光の刃が剣先から出て床を傷つけた。


「・・・完成です。これで、夜を倒せる!!!!」


そう言って、オモテはふらっと立ちくらみ、床にばたんと倒れてしまった。


「「あああっ!!!!」」


2人は慌ててオモテの持っていた剣とオモテに傷が無いか確認した。


「・・・ただ寝ているだけみたい。頭領、このまま寝かせてあげてください。ずっと、寝ないで作業していたの。」

「ああ。緊張が解けたのであろうな。寝かせてやろう。」


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