リュウグウ
ラカンは乱暴に扉の後ろにいる者に返事をした。
「すみません。ですが、王城からの使者なのです。」
「王城から・・・?申し訳ない。旅人達。しばし席を外すよ。」
オモテは慌てて席を立つ。
「いえ、お忙しい中ご対応ありがとうございました。」
「大変興味深かった。また話を聞かせてくださいね。」
そうラカンは言って、扉を開け外に出た。オモテ達も帰ろうとしたとき、ラカンは使者とともに部屋に戻ってきた。
「なんと。私宛の使者じゃ無かったよ。旅人達に用があるようだ。」
オモテ達は竜宮城の使者に連れられ竜宮城へと向かっていた。
広い王城を進むオモテとビワ。金色の刺繍が入った赤い絨毯の上を歩く。貝やカニの化石が入っている柱。その守りは堅牢で有名なスケーリーフットの異名をもつウロコフネタマガイの衛兵達が部屋の隅や道のわきに立っている。オモテはラカンに白い魚がウーラだと言われたことでご機嫌だった。
「(・・・あ、でも、ラカンさんに話す精霊様について聞くのを忘れてしまったな。)」
竜宮城の使者が立ち止まった。
「皇子、お連れしました。」
「入れ。」
オモテ達は1つの部屋の中に入った。
部屋は石や珊瑚であふれていた。神秘的な飾り、杖、ポスターがところせましと飾られている。
「(まるで婆の部屋のようだ。魔除けや願掛けの道具類か?)」
その部屋の一番奥の椅子に一人の青年が座っていた。オモテは青年の前に立ち、顔を見ないよう頭を下げた。
「遠いところまでよく来たオモテ。横にいるのはビワだな。歓迎するよ。」
「(自分とビワの名前を知っている?)」
「そして、乙女の精霊殿。お初にお目にかかる。」
青年はオモテの肩元にいる精霊を見て言った。
「!!!・・・何かご存じなのですか!?」
オモテは下げていた顔を上げて青年の顔を見た。男はピンクの混じった白銀の長い髪を頭の頂点で結びたらしており、顔に水色の斑点をもっている。その目は不思議な琥珀色をしていて、色が揺らめいているような気がした。
「・・・不敬である。」
「!」
オモテは慌てて顔を下げた。
横でビワが一歩前に出たのを感じた。
「懐かしいな。リュウグウ。」
「ああ。王族晩餐会の時以来だな。」
どうやら二人は前に会ったことがあるらしい。
「オモテや精霊様を知っているのはアレか?」
「そう。アレだ。」
「どういう要件だ。」
「ビワ、あとでゆっくり話そう。まずはオモテと話したい。」
そうリュウグウは言うと、オモテを見た。
「オモテ、頭を上げよ。・・・初めまして。俺はこのハタグルマの第3皇子、リュウグウという。急な呼び出しにもかかわらず来てくれたこと、感謝する。」
「お会いできて光栄です。」
「今日来てもらったのは頼みがあるからだ。」
「たのみぃ?」
「そうだビワ。お前も関係ある話だ。二人ともよく聞いてくれ。」
リュウグウは二人の顔を見て、最後にオモテの肩元にいる白い魚を見て目を細めた。
「死海が3日後、この里を壊滅状態にする。」
「「!!」」
「死海を俺と一緒に倒してくれないか?」
――――死海。その言葉を聞いたとき、オモテの脳裏に死海のフウセンのことがよぎった。
「・・・ワシたちでか?」
ビワは腕を組んでリュウグウの話を聞く。
「ああ。お前達とだ。」
「・・・リュウグウ様は、なぜそのことをご存じなのですか?」
「そうだな、俺は見えるんだ。お前達がいれば未来は続くのだ。」
「(・・・?)」
ビワは腕組みを解いて、ため息をついた。
「・・・いつ、どこで、何を持っていたほうがいいとかはあるのか?」
「ああ。少し待て。」
そう言って、リュウグウは手元にあったノートを開く。
「・・・3日後、多くの精霊様が太陽の門を通り天海へ登る日だった場合。門が開くと黒い魔物が洪水のように流れ込んでくる。その魔物は死海の女の命令を聞くようだ。女を光る剣で突き刺すオモテが見える。そして、そのあとビワ、君が発光している姿も見えたよ。」
ビワはリュウグウの横に移動し、ノートを見る。
「・・・壊滅状態はどうしようもないのか。」
「ああ。どうしようもない。下手に変えると皆死ぬ。」
「わかった。受ける。」
オモテを置いて話がどんどん進んでいく。
ビワはオモテの方を向いた。
「すまぬ、オモテ。よくわからないと思うが一緒に死海を倒してくれ。」




