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第5話
講堂で待っていると、ガラガラとドアが開く。
女子が一人、入って来た。
「ここ、初年生用の講堂、ですよね」
「はい、そうですよ」
そう俺が答えると、ホッとした表情を浮かべて俺のところに近寄って来た。
「座席、指定ですよ」
「え、アほんとだ」
ごめんね、とチロッと舌を出して、そそくさと番号を確認してその席に座る。
彼女の席は、俺の左後だった。
「やっぱり近くでしたね。私、アイラ。アイラ・シャーロット・アマーダン=ラドシャ。これからよろしくお願いしますね」
「俺は兼谷辰次郎です。こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」
市大祐の礼儀ということで握手をして、あいさつは簡単に終えた。