繋がり広がる
「好きな子ができた!?」
「兄さん声大きい!!」
あれからひと月ほどたったある日、俺は思い切って兄さんと慕う先輩の谷中先輩に相談するためにご飯に誘った。
「まだ好きとかじゃなくて...気になるというか」
「それは好きじゃん。でもまぁ、いいんじゃない?俺は応援するよ」
兄さんはビールを飲みながら俺に話し始めた。
「和樹が真面目なのはいいことだけど、恋愛も芝居に大事だと俺は思うよ。恋愛ばっかにうつつ抜かすのはダメだけど」
「まだまだ新人で自分ことだけでもいっぱいいっぱいなんで誰かと付き合うとか無理っすよ」
「付き合わなくてもとりあえずご飯くらい行ってくれば?」
「......連絡先どころか、その子の名前も知らないんすよ」
「まじか!?え、どこでその子のこと知ったの?」
「ラジオ局で...そこのスタッフさんってのは分かってるんですけど」
「へぇ...そんな子居たっけなぁ...」
「確か今年から入ったって言ってたかなぁ。歳も俺とそんな変わらないとか」
「もしかして、お嬢の事か...」
「お嬢...?」
「そうそう。なんか本人は否定してるんだけど、お嬢様育ちらしくてな、誰かがそう呼び始めたらそれが定着したんだよ。実際、あの子ハイヤーのことをタクシーだと思ってて、理由聞いたら家だとハイヤーで移動してたらしいよ」
谷中先輩は笑いながら話していたが、それは相当のお嬢様では?と俺は驚いていた。
「でも、それなら仕事なんてしなくても生活できるんじゃ?」
「だと思うんだけど、あの子自身、好きなことしてたいからと仕事してるみたいで、まぁ高校生まではこっち側の子だったからな」
「こっち側?」
「あぁ、まぁそこは俺からは話せないかな、でその子の名前だけど」
「ちょっと待ってください!それはやっぱ自分で聞きます!!」
俺の言葉に先輩は「そーゆーところは男だな」と笑うと、頑張れよ、と肩をポンっと叩き、さらっとお金を出して帰ってった。
「かっこいいなぁ...俺も頑張ろう」
まずは名前を知ること、そして連絡先を知ること。
けど、まさか意外な形で彼女の名前を知ることになるのであった。




