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ライラを君に  作者: ルカ
2011年
2/10

香りの記憶



時刻は15時過ぎ、今日も俺はいつも通りラジオ局でレギュラーの仕事に来ていた。


特にトラブルもなく、かと言って凄いいいことがあった訳でもない、そんな日に俺は彼女に出会った...いや、見かけたんだ。


遠くの方がなにか騒がしい。


スタジオの建物に入った瞬間どこかで誰かが怒っているようだった。


俺は気になってその方向へ足を進め、突き当たりを右に曲がると大先輩の宮間さんと1人の女の子がいた。


「お前また飯食ってないんだろ」

「やだなーたべましたよー」


刺々しく言う宮間先輩にほんわかした少女がのらりくらりと答えていた。


「西田さんがお前のことで頭抱えてたぞ。ずーっと仕事して飯も食わない、と」

「だって宮間さんが買ってきてくれるメロンパンが好きなんだもん」

「俺だって毎日ここに来てる訳じゃないんだから」

「それでも来る日は買ってきてくれますもんね」


ニコニコとメロンパンを食べる彼女はあの宮間先輩が怒っているのに、気にもとめずにいた。

普通後輩なら謝るどころか萎縮してしまうほど宮間さんは偉大な先輩だ。


あの子一体なんなんだ?宮間先輩の事務所の子だろうか。

怒られても萎縮するどころか、ずっとニコニコしていて、何故か憎めない。


って俺は何を見てるんだ。


ふと我に返り、俺も自分のスタジオへ戻って行った。


――――――


22:00


あれから仕事も終わり、帰る支度をしていた。

ラジオブースを出て、スタッフさんたちがいるオフィスの前を通る、ふと気がつくと先程見た女の子がオフィスにぽつんといた。


ここのスタッフさんだったんだ。


真剣にパソコンにむかい、何かを作ってるようだった。

すると、彼女のケータイが鳴り響く。


俺は何故だか壁に隠れるように身を隠した。


彼女が電話の相手に謝るように話したあと、慌てた様子で飛び出して行った。


俺は目の前を彼女が通り過ぎていき、周囲も暗く隠れていたこともあり、彼女は俺に気づかず走り去っていく。


ふと、彼女が走り去っていったあと、嗅いだことのある甘いバニラと桜の香りがした。


......あの子だったんだ。この間のメッセージカード。


あのメッセージカードを思い出し、なぜだか分からないがストンと心が納得したと同時にまたどこかであった時にはお礼が言えればいいな、と思った。

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