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いつも側にいてくれたね  作者: 摘美花-ツグミカ-
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性格の違う双子の兄弟 **夏芽**

小学校の入学式。



双子の兄弟の間に私が入り3人で記念写真を撮ってもらった。


新しい服、おろしたてのランドセル。


全てがキラキラして眩しかったはずなのに、新一年生のクラス発表で私だけ別のクラスになり大泣きして。


入学式の間中ずっと泣いていた。



優しい双子のお兄ちゃんの湯川直生なおきは休み時間のたびに私のクラスまで会いに来てくれた。


弟の湯川遥生はるきは最初こそ直生と一緒に会いに来てくれたのに、私に友達ができるとぱったりと来るのをやめた。


そんな性格の全然違う双子の兄弟と私、高田夏芽なつめはずっと3人で一緒にいられると思っていたんだよ。





中学3年生になった私たちはどこの高校へ進学するかを話しながら下校していた。


「私はね、直生と遥生と同じ高校に行きたい」


私は何の疑問もなく直生も遥生も同じ高校へ進学すると思っていたの。


「僕は夏芽と同じ高校へ進学するつもりだよ。夏芽はどこの高校に行きたいの?」


直生は私と同じ高校へ進学すると言ってくれた。


「そうだなぁ、家から一番近い高校がいいな。あそこなら同じ中学からたくさん進学するでしょ」


「うん、分かった。じゃあ夏芽はもう少し勉強頑張ろうね。今の成績じゃギリギリなんじゃない?」


直生も遥生も学校で成績が上位だから私だけが不合格にならないように頑張らなきゃ。


「高校に合格したら直生と遥生もテニス部に入る? また一緒にできるといいな」


私は中学時代に3人で打ち込んだテニスがまた高校生になってもできるんだってわくわくしてたの。


「ばっかだな、夏芽。高校の部活は今までの中学の部活よりも厳しいんだぞ。それに完全に男女別で練習するから一緒にはできないだろ」


遥生がふふんって笑いながら私を否定する。


「ま、俺の場合はお前たちと違う高校に入るから。部活どころかもう一緒にいられないけどな」


「えっ? 遥生、何言ってるの?」



私たちの通っている中学校の近くにある公立の高校。


同級生の多くは隣の高校に行くのが当たり前だと思っていたから、私は遥生が違う高校に進学すると言ったことが理解できなかった。


「遥生、夏芽には話さなくていいだろ、まだ決まった訳じゃないし。大体受験して合格できるか分からないんだぞ」


「俺は合格するよ。自信しかない」


「ね、ねえ2人とも何の話をしてるの? 遥生が別の高校に行くって、どうして?」


「俺たちが塾に行ってたのは知ってるよな、夏芽。俺も直生も私立の高校に入るつもりだったんだ。それなのに直生はこの前塾を辞めて、私立は受験しないってさ。なんでか分かるか?」


「おい、遥生! 余計な事言うなよ。僕が私立に行かないのはお父さんもお母さんも納得してくれただろ。それだけだよ」




「・・・本当は俺だってさ」




遥生の小さな声が私の耳に届いた。


遥生も本当は別の高校に行きたくないんだって分かったよ。


でも先に直生に言われてしまったから、もう言えなくなってしまったんだね。


直生と遥生の両親は教育に厳しい人で、2人を有名な大学へ行かせたいんだろうな。


それくらい、中学生の私でもわかるよ。


「遥生、どこの高校を受験するの?」


「遠いよ。電車で通うんだ。いいだろ、電車通学だぞ」


「そうなんだ。遠い学校なんだ。でもさ、部活終わってお家に帰ってきたら一緒に遊べるよね」


「さあな、どうなんだろうな。俺も分からないよ」





そして1月


遥生は見事に私立高校に合格して、私と直生とは違う学校の制服を着ることになった。


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