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(旧)ルミの魔導書!!(連載中止)  作者: Kesta KEI Astronoah
第三話 アズベル、闇夜をゆく / Chapter.03 Azbel in the nights
9/10

3-1「クロ」A

軌道列車に乗って高原の町・テラパシフィカまでやってきた2人+1猫。宿に泊まったその次の朝、疲れてまだ寝ているルミを宿に残して、ケイは買い物に出かけた。

3-1 A クロ


 変化もたない。疲れる、具体的には早口の異国語を全力でリスニングするくらいの精神負荷だ。

 昼下がり。テラパシフィカの街の大通り。人口にして数十万もいる大きな街だから、中心部ともなれば5階6階もあるような建物が立ち並んでいる。計画的に造られた事もあって道は広いし、たまにしか来ない私でも道に迷うことはないくらいにはわかりやすい街の構造をしている。すこーしだけ傾いた太陽が快晴の空から照っているが、標高が高いおかげでジダに比べると気温は少し低いくらいだ。

 昨日軌道列車を降りた後、私たちは夕食にして、それから宿探しをしたのだけれども、どうにも手間取ってしまって結局就寝は2時を越したあたりになってしまった。

 私はそのあとも件の空間内の整理に勤しんでいたから関係ないが、ルミはと言えば相当に疲れていたんだろうな。全然起こしても起きないものだから、宿に残して一人街へと繰り出してきたわけだ、が、やっぱりキツイ。負荷がすごい。

 そもそも元はといえば、ルミが私の家の物をむやみやたらに魔導書の中に吸い込んだからいけないのだ。両頭回転切削工具の砥石が割れてしまったし、いま作っている試作のための媒介結晶製の滑腔管も粉々になっていた。あれは特注で作ってもらったパーツ、割と値段張るんだぞ。それ以外にも実験器具類にもだいぶ破損が見られたこともあって、仕入れと道具調達をしないといけない。

 とかなんとか脳内愚痴大会をしていたら、工具を専門に取り扱っている店の前へついていた。両頭回転切削工具の砥石と、あとは...

 私の目に、ショウケースの中の展示の品が映る。

「...旋盤、ほしいな




「お買い上げありがとうございます。御引き渡しはサイズがサイズですので、倉庫でになります。」

...おい。どうすんだよこれ。卓上にすべきだった。なんで普通旋盤買ってんだよ俺。てかめちゃくちゃ高けえし。めちゃくちゃでけえ。どうすんだこれ。

「ところでお客さん、こちらで配送も可能ですが、いかがされます?配送料に関しては街の中であれば無償で御請けできますが。」

 うーむ、またルミと取りにくればいいか。

「すいません、しばらくしたらとりに来ますので、おいといてもらうことって可能ですかね。」

「問題ございませんよ。」

「助かります~。ついでに細かいものも買っちまおうかなと思うんで、バイト一式とあと...」

「お、ここにいた。」

 聞きなれた声が飛んでくる。

「また爆買いしてんの、ケイ。」

「仕方ないだろー、欲しくなっちゃったんだから。...あとこれだけお願いします。」

「まいど。」

 

「久しぶり、アズベル。」

「探したよ、大体目星はついてたけどな。仲間からケイが来たって聞いたものだからな。」

「情報速いね~。」

「俺らの情報網だぜ、なめてもらっちゃ困るなあ。」

「情報網ねえ...」

 アズベルと会った私は工具類の買い物を終わらせて、雑談しながら街を歩く。いつのまにか材料屋についていた。今日回ろうとしていたところはここで最後だ。

「すません、これだけお願いします。」

メモの紙を渡す。

「ところでだケイ、今から空いてるか。」

「まあ、空いてるっちゃ空いてるかな。」

「お客さん、あいにく4140のこの鋼材は在庫切れててな、」

「あー、それは代替できないなあ、

4150は余ってたりとか、」

「4150だな。あいよ。」

「とりあえず詳しいことは後に話す、ケイ、付き合ってほしい。」

「お待ちどう。これで全部だ。支払いはどうする、信用決済も最近対応したんだ。」

「お、先進的すね~。現金で。」

「遅れてるねーお客さん。」

「田舎人だから仕方ないだろ?

...にしても、アズベルにしては珍しいね。いつもは俺のほうから頼むパターンばっかりなのに。」

「まあな...。」

「いいよ、ただ...」

「ただ?」

「これもって」


「にゃあぁなんだこれどえらい重たいやんけ。」

 街を歩く。アズベルと私と、他に人はまばらにいるくらい。鋼材をアズベルに半分持ってもらったが、まあ重い。しかしこれだけ買っておけば、しばらくは大丈夫だろう。

「まあ宿まではあと少しだから。ありがとう鋼材運ぶの手伝ってもらっちって。」

「いぃけどよぉ、重い...」

「あそうそう、うちにいるイライザがさ、変化の魔法使えるようになったんだよね。」

「ふーん。あれ?でも彼女、家猫なんだろ?」

「変化の術は野良の術、だっけ?」

「...あれは野良の中で受け継がれてきた術。だれかに教わるということでもなければ、家猫が使えるようになるということはないはずだよ。」

「ルミは何処から聞いてきたんだかな。」

「ルミさんが教えたん?人にもできるもんなのか、アレ。」

「今来てるよ?ルミ」

「マジで? ...あふーん、そういうことね。」

「アズベル?なんか変にとってないか?」

「別に~。まあよかったじゃん。好きだったんだろ?」

「うるさいなあ。いろいろあったの!!」

「いろいろ~?」

「アズベルが想像してる何倍もいろいろ。ゆっくり話してくよ。」

「はいよ。」

 アズベルはテラパシフィカにずっと住んでいる。あることがきっかけで仲良くなって、ここに来る時には必ずと言っていいほど会って話をしたり、なんかやったりとか。ルミとかには会ったことはないけれど、私がよく話に出すものだから、少しくらいなら知っていたりするのだ。

「小柄で白の家猫さんかあ...。」



 宿の部屋の扉を開ける。窓が開いていたものだから、開けた扉をふきぬけてきた風が、ふっと前髪を持ち上げる。気が抜けてしまった私はそのまま部屋の中に倒れこむようにして化けの皮がはがれてしまった。

パタン、ガラガラガラー

持ってきた荷物が転がる。

「ケイ?」

『もどーりました。ルミもう起きてる~?』

「...起きてる。ふわ~」

 ルミは起きてベッドに座っている、いかにも眠そうな感じだ。

『買い物に行ってた、ってのは書置きで知ってるか、なんだけどさ、途中でアズベルに会ったもんだから連れてきた、下で待ってる。」

 実を言うと朝出かける前、街で化けの皮がはがれたら大変なことになると思い、化けて剥がしてを数時間にわたり猛特訓したのだ。そのおかげか、ながら化け、というのも変な表現だが、なにかをしながらで化けたり剥がしたりできるまでになったのだ。それと同時に、沢山例の空間とも行き来したこともあって、分かったこともいろいろある。それはそれで、またルミとも談義が必要だな。

「もう少し寝る?疲れてるだろうし。そうなら俺アズベルともう少し街を回ってくるけど。」

「大丈夫。七分待って。」

「了ー解、じゃ下降りてるよ。」

四階建ての宿の建物、一階層に六つくらい部屋がある。一階まで降りたついでに、部屋はあと二日分はとっておくことにした。また延長しなきゃならなさそうだけど。

「お待たせ。」

手続きをしている間にルミが追いついてきた。

「こっちもちょうど、お金払ったところだよ。」

「ところで、アズベルくん?ってどういう人?」

「どういう人、人ねえ。うーん、

...なんだろ、真っ黒って感じ?」

「真っ黒??」


 宿を出る。道の向こうでアズベルが立って待っている。こちらにむかって手を振ってきた。

黒い靴、黒いズボンに黒いワイシャツ、左手でその黒い髪の、耳の後ろら辺をガサガサするのが彼のクセだ。

「ほら、真っ黒でしょ?」

「くっろ...」

「ルミさん、ですね。ケイ君からいろいろと聞いています、ここまで長旅ご苦労様でした。」

「初めまして!、ルミって呼んでいただければ!。」

「そいやルミ、朝飯も昼飯も食べてないよね。」

「あ!確かに。おなかすいたかも。」

「あーじゃ飯食いながら話すか、いい感じの所席とってくるわ!」

アズベルはそういうと、くるっと後ろを向き走っていった。

「...ねえケイ、あの、なんか尻尾生えてない?」

「しっぽ?」

「私の見間違い...?」

「ああ、アズベルのね。そりゃそうだよ、猫だから。」

「猫なの!??」

もう忙しすぎて

更新が4か月も遅れるというトンデモ事態になっていますが

続きますよ

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