歴史がかわった!
「お久し振り、かな?」
ハヴェルとぬいぐるみ達、それに実験的につくったお人形をつれてあずまやへ行くと、また、ティオが居ました。今日はまっくろのドレスに、まっかなばらが幾つもついています。相変わらず、ティオの居る世のなかは、ろくでもない「ふぁっしょん」とやらに毒されているようです。
ラナーンさんは先日、とうとう騎士隊長になりました。そして、わたくしに結婚を申し込んでくれたのです。わたくしは承諾しました。
わたくしは自信満々、胸を張っていいます。
「また、わたくしに文句をいいにいらしたの? わたくしの伴侶になるかたは、もう宿無しではなくってよ」
「ううん。あんた、革命起こさないみたい」
「あら、それはようございましたわね」
ついふんぞりかえると、ティオは淡々といいました。
「でも殺されるよ」
「へあ?! どういうことですの!?」
「歴史がかわった」と、ティオは説明しました。
わたくしは王家を離れて結婚することになりましたが、お兄さまや弟達が不審な死を遂げ、陛下も亡くなってしまい、唯一の王女であるわたくしが法に則って王位を継ぎました。歴史書では、わたくしが企んで兄弟を殺したということになっているそうです。
ところが、貴族達が反発し、国が傾きます。わたくしは家族とともに逃げようとしますが、子ども達をハヴェルに託して、夫とともに殺されてしまいました……。
「ど、どうしてですの?」
「ああ、従者ってわたしだったんだあ」
「知らないけど、あんた随分嫌われてるんじゃないの」
頭を殴られたような気分になりました。正しき王女であるわたくしが、嫌われているですって?
頭を振ります。
「だ、第一、お兄さま達には子どもが居ますし、その子が王位を継げば」
「シェケル公爵ってひとがあんたが王位に就くのをすすめたって」
シェケル公爵が?
実は、ラナーンさんに結婚を申し込まれたこと、わたくしはまだ陛下に伝えていないのです。昨日、ラナーンさんの叙勲が終わったので、今夜会う約束をしている陛下に伝えるつもりでした。
けれど、シェケル公爵が……?
ハヴェルがぱちんと手を叩きました。「そういうことかあ」