セブンズのルールを説明しました
*すみません・・・ラグビーに興味のない方にはつまらない内容かもしれません<m(__)m>。その部分は読み飛ばして下さっても大丈夫だと思います。点数のところだけ理解して頂けると後の試合が分かりやすくなるかもしれません。
「ごめんね」
領主館に戻ると私はみんなに頭を下げた。
「え!? え? ミラ様、どうして謝るんですか?」
全員がざわつく。
「だって、私が勝手に言い出したことに巻き込んでしまって……もし、後悔していたら出なくてもいいからね」
しょんぼりと声を落とすが、トビーが力強く返事をしてくれた。
「いえ、僕は本当にやってみたいです。正直、スポーツはあまり得意ではないですが……。ミラ様は僕たちに見返す機会を与えてくださいました。嬉しかった。僕はミラ様についていく覚悟ですから!」
アーサーとハリーも同意するように頷いてくれる。
「私を信じてくれてありがとう! これから三ヶ月。あなたたちは他の仕事は一切しなくていいからね。トレーニングが仕事だと思ってちょうだい!」
「え……でも、あの、領主代理の仕事は僕らがお手伝いを……」
「大丈夫! 私がやるし、テッドたちもきっと手伝ってくれるわ!」
そのテッドたちは三人とも暗い顔をしている。
「……ミラ様、いくらなんでも無茶なんじゃないかと……トビーたちは鍛えられるとしてもエマは……」
テッドが言うとエマがぷぅっと膨れた。可愛い。
「テッド。どういうこと? 私は鍛えられないってこと? これでも私は子供の頃、近所で一番足が速いと言われてたんだからね!」
頼もしいことを言ってくれる。
その上、なんと話を聞いていたジュリーも参加したいと言い出した。
「ラルフもトーマスも女をバカにしてるんです! 絶対に勝って、あいつらを見返してやります!」
やる気満々だ。
リタは元々兵士で体力があるし、エマもジュリーも私が見る限り結構スタミナがある方だと思う。
私は早速チームメンバーに筋トレメニューを渡し、ラグビーボールを作るための材料探しを始めた。
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前世でいう七人制ラグビーとは、1チーム七人で戦うのでセブンズとも言われる。
うん。この世界では『セブンズ』と呼んだ方がきっと分かりやすい。
道具はほとんど必要ないし前半7分後半7分と14分で終わる手軽さもあって、やり易いと思ったんだよね。
ラグビーの基本はボールを前に落としたり、前にパスしてはダメ!ということ。後ろにパスするのはOK。後ろに落とすのもOK。
細かいことは実際に練習しながら学べるだろう。
15人制ラグビーと違い、セブンズは相手を吹っ飛ばしながら突進するというより、速さやステップで相手を抜いてトライを取るスタイルが主流。
だから密集プレイが少ない代わりに、選手は足が速くて14分は全力で走れるような持久力が求められる。
チームの中にはフォワードが3人、バックスが4人。
スクラムを組むのはフォワードの三人なので、トビーたちにフォワードをやってもらおう。女性陣4人がバックスだ。
バックスは相手を抜き去るステップや速さが求められることが多く、特にウィングと呼ばれるポジションは一番足が速い選手が務める。私は前世ではウィングだった。
トライとは相手陣地のゴールエリアでボールを地面に付けること。
トライが決まるとコンバージョンというトライ後のキックをすることができる。ボールをキックして、ゴールポストの間にボールが入れば成功で点数が入る。
トライで5点、コンバージョンキックで2点入る。なので、両方決まると7点入るが、キックでミスすると5点しか入らない。
トライとキックは必ずセットなのだ。試合終了ギリギリでトライが決まった場合、例え試合の終了時間が過ぎたとしてもキックすることが可能。
トライ後のキックは誰がやってもいいので、誰かキックに特化した選手がいた方がいい。
セブンズではドロップキックといって、ボールを落としながらキックするのでかなり難易度が高い。
まずは誰がキックの才能があるかを見極めよう。追加で2点入るか入らないかで結果が左右される場合があるからね。
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翌朝、私は徹夜で作ったラグビーボールを片手に領主館裏手にある広々とした空き地に足を進めた。
仲間はみんな普通の労働者が着ているような動きやすい作業服だ。本番の試合にはちゃんとしたユニフォームで出られるようにワンピ製作チームに相談してみよう。ラガーシャツ、カッコイイもんね。
まだ6時にならないのに、既に敵チームのメンバーも揃っていた。
ラルフとトーマス以外にもゴツくて強そうな選手が揃っている。
15人制ラグビーと違いセブンズは『究極の鬼ごっこ』とも評されるスポーツだ。どちらかというとスピードと持久力がものを言う。ゴツければいいというものではないのだよ。
全員が揃ったので、私は大声で挨拶をした。
「おはようございます!」
「……っす」
というような声がバラバラに聞こえてきたので、私は全員に睨みをきかせた。気合が足りない!
「全員、もう一度! 大きな声で元気よく! 『おはようございます!』」
「「「「「「おはようございます!」」」」」」
今度は全員の声が一致した。
よし!
セブンズのルールは実際にやってもらった方が理解しやすい。
私はみんなに手伝ってもらって、地面にガリガリとゴールエリアの線を引き、ゴールポスト用の長い棒を地面に突き刺して魔法で安定させた。
ルールを覚えるための練習なので、今回は女性の体には絶対に手を触れないということを厳重に言い聞かせて、とりあえずゲームを始めてみることにした。テッドたちが睨みをきかせているし、大丈夫だろう。
ラグビーで一番怖いのは怪我なので、魔法で怪我防止の対策ができないか考えるつもりだ。
キックオフから、パス回し、トライ、コンバージョンキック、スクラムなどを実際にやってもらいながら解説していく。
そんなに複雑なルールではないので、次第にみんな調子づいてきたようだ。
全員、一通りのルールが頭に入ったところで2時間が経過していた。
「これから三ヶ月間、毎日朝6時~8時までの二時間、セブンズのトレーニングを行います。いいですか! 都合が悪くなった人は事前に連絡すること! 何か質問のある人は?」
練習終了後に全員を集合させると、みんな生き生きとした顔つきをしていた。
「意外に楽しかったな」
そう言いながら帰っていく敵チームの背中を見ながら、私は気持ちが浮き立った。
そうなのよ! ラグビーは観るのもプレイするのも楽しいものなのよ!
*読んで下さってありがとうございます(*^-^*)!




