アレクサンドラ・アバークロンビー
*第二部、開始です!新キャラも沢山登場予定です。頑張って書きました。読んで頂けたら嬉しいです!宜しくお願いします<m(__)m>。
私は少し離れたところからリアム・ウィンザーの美麗な顔貌を熱心に見つめていた。
この場はリアムが公爵として叙爵される式典。
国王陛下の臨席を賜り、緊張感がただよう厳粛な雰囲気の中、しめやかに儀式が進行していく。
私はアレクサンドラ・アバークロンビー。
魔法学院の学院長として本日の叙爵式に招待された。
リアムとは魔法学院で同級生だったが、内気な私は密かに憧れていた彼を遠くから眺めることくらいしかできなかった。
彼が私に手を伸ばしてくれるまでは……。
今でもあの時の喜びが新鮮に甦る。彼の大きな手の感触を思い出して、体がカッと熱くなった。
壇上のリアムは、隣にいる身の程知らずな女に視線を向けた。
けぶるような睫毛に縁取られたヘイゼルの瞳が煌めき、凛々しく引き結ばれた唇が艶然と微笑むと、周囲の令嬢たちが頬を上気させてざわめいた。
……愚かなこと。
リアム・ウィンザーと運命の糸で結ばれているのは私なのに。
戦で顔に酷い傷を負ったとか、歩けなくなったとか、様々な噂が流れた。
そのため、一時私も彼との運命の糸が切れたのかと勘違いしてしまった。
しかし、眼前にいるリアムは顔に傷があっても、精悍な顔立ちに野趣が加わった程度の違いしかない。
相変わらず女性の心をかき乱す美貌に胸がときめく。
やはり私に釣り合う殿方は彼しかいない。
ふと彼が私に視線を向けた。
私に気がついた……?
またすぐに視線は外れたが、きっと私がいる場所を確認したかったに違いない。
やはり私たちは運命の番。
あなたの隣にいる分をわきまえない勘違い女は私が退治してあげるから。
そうしたら、あなたは堂々と私を迎えに来られる。率直に愛を告げることができる。
ふふ、待ち遠しいこと。
**
叙爵式の後のレセプションでリアムと国王陛下は立ち話をしていた。
黄金に輝く髪の国王陛下と黒曜石のような艶やかな髪のリアム。
華やかで人目を惹く国王陛下と控えめなのに色香が隠しきれないリアム。
対照的な二人が並ぶ姿はまさに眼福だった。
その時、私の背後から話し声が聞こえた。
「どこに行くの?」
「陛下がお飲み物を執務室に用意しておくようにって・・・」
飲み物を載せたワゴンを押す侍女が言った。
国王陛下が執務室に……?
私はひっそりとその侍女の後をつけた。
侍女が一人になると、私は彼女に近づきわざと大きな音を立てて転んだ。そのついでにバッグの中身を床にぶちまける。
「まぁ! お嬢さま。大丈夫でいらっしゃいますか?」
私は学院長だが同時に高位貴族の令嬢でもある。正装しているし侍女としては無碍にできないだろう。
侍女が私を助け起こし床に落ちたものを拾っている間に、私は執務室に行く予定のワゴンの裏に盗聴用の魔道具を隠した。
侍女が去った後、私は静かな場所でじっと待っていた。
しばらくすると、耳に入れた魔道具からガタガタという雑音が聞こえ、国王の声が流れ込んできた。
ふふ。よく聞こえる。
私は執務室の中で行われている会話に全神経を集中させた。
…………ふふ。面白い。いいことを聞いたわ。
笑いがとまらなくなりそうだった。
*特大ブーメラン(;^ω^)。お分かりの通り、ざまぁ予定キャラです。




