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二択

 選択を迫られた。


 一つは、リネがずっとついてくるが出歩き自由。

 もう一つは、風呂と食事以外は出歩き厳禁だが訪問者は受け付ける。部屋にリネを留めておくかは葵の意思次第。


 リネがリーダの肩を噛みながらなんとか絞り出した"折衷案"らしい。葵は何一つ折衷した記憶はないが、部屋に並んだ面々を見るに選択せざるを得ないらしい。

 服が右肩だけボロボロになり肌が見えかけているリーダ。

 やりきった顔のかにゃん。

 満面の笑みのマーロと眠そうなエルロイ。

 ダンは話の輪から離れて鎖を手で千切ろうと奮闘している。


「リネのやつ、鍵を飲み込んじまったらしい」


 葵は大きなため息をついた。

 リーダの後ろに隠れていたリネが肩を大きく跳ねさせて震えだす。


「だ、だってもう必要ないと思ったから! 姉さまだって逆の立場だったらそうするでしょう?!」


 膝をついてベッドに大きく手を叩きつけ、葵に迫ってくる。

 反射的に反対側へ体を反らした途端、ベッドの外へ転がり込んでしまった。


「いだだ」

「姉さま!」

「ファインプレーだ、葵! ねじれて切れたぞ!」


 足首を絞られるような痛みと共に解放感がやってきた。

 ダンがヒビを入れていた境目がちょうど足の回転と共に割れたらしい。

 縛りのなくなった足首をダンの大きな手が掴み、握手でもするかのようにブンブンと上下に大きく振った。


「やめなさい! 葵はスカートなのに」


 かにゃんの長い褐色の足がダンの肩を蹴りつけた。ヒールが筋肉の狭間に刺さるのを葵は確かに見た。


「姉さま、驚かせてすみません。大丈夫ですか? ダンに下着を見られたり痛め付けられたりしましたか? 殺しますか?」

「こんなぺたんこのパンツ見たって興奮しねーぞ」


 目にも止まらぬニードロップ。かにゃんは足癖が悪い。

 ベッドに乗り込んで上から葵を覗いていたリネも、いつもより大振りのナイフをダンに叩きつけようと振りかぶっていた。かにゃんが床に沈めたおかげでそれは空を切ったようだ。


「殺しましょう」

「いい加減にしろ。葵、どっちにする。さっさと決めてくれ」


 リーダの声は端々に疲れが滲み出ている。


「お、お試し…、とか、…ください」


 煮え切らない回答にリーダは眉尻を上げた。呆れたように「まったく」と小さく呟くと、「では、三日交替でやってみろ」と言って出て行った。

 よくよく考えたらこちらが懇願する話ではない。じわじわと理不尽を感じ、葵は小さくベッドを叩いた。上に乗っていたリネが大袈裟に跳ね上がり、「ごめんなさい」と繰り返した。


「あれ、葵、なんか別の傷もあるな」


 ダンが葵の足首を顔の近くまで持ち上げて目を寄せた。足を大きく上げる体勢になって慌ててスカートを床に押し付ける。


「ああ、それ。前にも繋がれた時の」


 かにゃんがダンの肩越しに覗き込む。

 もう治りかけているが、大分痛めつけたので長く残ってしまった。繋いだのはリネでも、痛めつけたのは葵自身だったが。


「え…、まだ傷が残っているんですか」


 ベッドの上で四つん這いのままリネは首を伸ばして足の方へ寄った。

 エルロイとマーロもかにゃんやダンの頭上から覗き込んでくる。

 上がった足を大勢に鑑賞されて、葵は冷や汗をかいて引き戻そうとしたが、ダンの腕はびくともしない。こちらが抵抗していることにも気付いていなさそうだ。


「リネが無理矢理繋いだからできた傷よ。きっとまた鎖で圧迫されて悪化したのね」

「そ、そんな、すみません」

「もう治りかけだよ」


 助けてくれたかにゃんや治療してくれたエルロイを心配させたかと、すかさず葵が声を上げたが、それがリネには自分へのフォローに聞こえたらしい。潤んだ瞳で葵を見つめていた。


「かさぶたになってるから、これ以上触るのは駄目」


 エルロイがダンの手を軽く弾く。手の力はあっさりとなくなり、支えを失った踵が床に叩きつけられた。


「じゃあ、まずは出歩き自由の三日間ね。私の部屋に来たっていいのよ。楽しく過ごしなさいよね」


 かにゃんはそう言うと朗らかに笑った。

 たった四日ぶり、されど四日ぶりのリネ以外の人間との会話は、葵の心を優しく慰めた。


 ***


「もうやめるわ」

「早いわ! まだ一日目の朝よ」


 言葉に甘えて、次の日は朝からかにゃんの部屋を訪ねていた。

 原色の映える明るい部屋だ。晴天の空よりも部屋の装飾のほうが輝いているように見える。そこかしこに大量の洋服が飾られたり畳まれたり、まとまりなく置かれている。


「私にとってはもう二日目よ。昨日の夜、つきっきりが放免されたリネがベッドの横にずっと立ってて…、本当に怖かった」

「リネ!」

「だって! 僕はずっと行動を共にしていいと言われました!」


 かにゃんのすぐ後ろから葵を一身に見つめていたリネが、かにゃんの大声に反撃する。


「寝るから出て行って」

「いいえ。三日間は一緒に居ていい約束です。これを破るなら出歩きもなしです。絶対に出て行きません」


 昨夜はそんなやり取りを20回は繰り返した。


「大体、女同士の話を後ろから聞いているなんて悪趣味よ。気を遣って出て行きなさいよ」

「絶対に出て行きません。追い出すならリーダに言いつけます。約束を破ったって」

「ふっざけんな! 子供か!」


 かにゃんが勢いよく振り返って至近距離でリネを怒鳴りつけたが、彼は動じなかった。

 「近すぎて姉さまが見えないのでよけてください」と、かにゃんの頬を手の甲で軽く押した。

 それに怒りを覚えたかにゃんはリネの太ももに何度も膝蹴りをかましてみたが、多少横揺れするのみで、彼は変わらずに葵を見つめていた。

 はたから見れば、激情に駆られたかにゃんが冷静なリネを責めているように見えるだろうが、その実は逆だろう。寝不足が続くリネは、一秒も葵を見逃したくないという熱情だけで立っているようなものだった。


「明日から訪問の方にする…。かにゃん、来てくれる?」

「もちろんよ! おしゃべりとカードゲーム、どっちがいい?」

「ええと、どっちでもいいかな…」


 力ない葵の表情に、もう休めと提案したかったが、ベッドの横のリネを想像してかにゃんは口をつぐんだ。

 葵はふらふらと部屋を出て行き、その後ろを自称・弟がぴったりとくっついていった。




 次の部屋はリーダとマーロの部屋だった。二人は同室だったが、リーダは操舵室や会議室に足を運ぶ時間が多いため、日中はほとんどマーロ一人の部屋だった。

 葵の訪問に、マーロは飛び上がって喜び、秘蔵だというお茶を淹れてくれた。

 この部屋はドーラ号の側面に面していないものの、最上階にあるため、壁ではなく天井に窓がある。一角だけカラフルなステンドグラスで彩られており、その下の床を色とりどりに飾っていた。


 本日は晴天だ。


「この一番光の当たるところと、ステンドグラスの下、どっちでお茶を飲む?」

「マーロの好きな方でいいかな…」


 光の差進みのテーブルに葵を誘うと、温かいお茶をゆっくりと注いだ。

 椅子にもたれるマーロのすぐ後ろでリネが葵を見つめている。


「葵が居ると聞いて」


 間もなくエルロイがやってきた。

 マーロの用意した椅子を葵の隣にぴったりとくっつけてから座った。

 小さなエルロイの足はどの椅子に座っても大抵浮いている。その姿が微笑ましくて、葵は少しばかり笑った。


「あ、笑った…」


 リネが小さく呟いた。マーロは辛うじてその声を拾い、柔らかな首をぐにゃりとまげてリネを見上げた。


「笑ったね」

「戻ってきてから初めて見た」

「葵はエルロイが好きだからね」

「良かった…。笑ってくれるなら、エルロイのおかげでもなんでもいいです」


 ちょっと驚いて、マーロはいくつか瞬きを繰り返した。

 横から葵とエルロイの睦まじい会話が聞こえてくる。

 長い腕を伸ばしてリネの頭を軽く撫でた。


「触んないで」

「よしよし。いい弟だね」

「マーロに言われても嬉しくない。ちょっと姉さまに気に入られてるからって調子に乗るなよ」

「えっ、僕って葵に気に入られてるかな? えっ、そうかなあ。うわあ、嬉しいな」

「気に入られてないし」


 頭に乗せられた腕を不機嫌そうに叩き落とした。

 しかしマーロの笑顔は変わることはなかった。


「リネの笑顔も見ていないよ。リーダやかにゃんが悲しむから、もっと笑った方がいい。近くの人が笑わないと葵も笑えないだろう」


 リネは半歩、後ろに下がってマーロから距離を取った。

 姉はきらきらと光を浴びて、小さな隣人と手遊びをしていた。


「右手に、飲むと10年前の記憶をなくす薬。左手に、飲むと10年後に今の記憶をなくす薬。どっちがいい?」

「うん、どっちもいやかな…」


 黒い手袋をしているとはいえ、自分以外の人間が姉の手をべたべたと触るのは気に食わなかったが、それ以上に、はにかんだような笑みに喜びがわいてきた。

 確かに、姉が笑っていないと、自分は笑えないかもしれないと、働かない頭でうっすらと思った。


 マーロもエルロイも、喜んで葵の部屋を訪問すると約束してくれた。

 エルロイに引っ張られて蔵書室で時間を過ごしたり、すれ違ったダンにトレーニングルームに拉致されたりしたが、久しぶりに刺激の多い充足した一日を過ごした。

 もう寝るだけとなった頃に、部屋に戻ろうと二階へ続く階段を降りていた時、葵は盛大に足を捻って転んだ。


「姉さま! 大丈夫ですか、大丈夫ですか大丈夫ですか」

「うるっさ」


 眠気が足にきたらしい。

 しかし、捻った足よりも、打ち付けた膝よりも、甲高い声に劈かれた耳のほうが痛く感じた。

 リネは葵を抱き上ると部屋に連れて行き、すぐに氷嚢やらタオルやらを持ってきて手当てをした。


「お、俺が足を縛ったりしたから。すみません」


 リネがかつて紐や鎖で繋いでいた方の足だった。足首にかさぶたになった傷が薄く浮いている。

 特別捻った原因とは言えなかったが、葵は意識的に否定するのはやめておいた。

 リネの手は震えていたが、適切に処置を済ませた。


「しばらくしたら、包帯を替えますから」

「大袈裟じゃない? そこまで痛くないし」

「いけません。最初に大事にしないと悪くなります」


 正論を言われると黙り込んでしまう。跪いて様々な角度から足を眺めるリネを線る言葉を、葵は見つけられなかった。


「もう寝るから…、出て行ってほしい」

「一緒に居ていいって、」

「それはおしまい。次は出ない代わりにリネが居ていいかどうかは私が決められる、だったわよね? 寝る時は出て行って」


 リネは葵の足に目を落として、しばらく固まった。

 葵もこれ以上とやかく言うのは何となく気が引けて、静かな時間が流れた。

 どれくらい経ったか、葵の足を持っていた手に少し力を込めた後、小さく「おやすみなさい」と言ってリネは去って行った。


 久方ぶりの安心な夜。


 葵はそのままぱったりとベッドに横たわって、毛布を被るのも忘れて寝入った。


 本日は満月。

 晴れ渡る夜空は月の光が照明を落とすのを忘れたかのように、部屋を仄かに照らしていた。




 追い出されてから数時間、姉の部屋に続く扉のすぐ近くでリネは少しも動かずに立ち尽くしていた。

 少し頭を倒したら鼻先が扉についてしまいそうなほど、吐いた息が扉に当たって戻ってくるのを感じられるほど近い。

 窮屈だったが、動く気はなかった。

 その場所で延々と姉の部屋に入る大義名分を考えていた。


(足、足を痛めたのは俺の責任だから、経過を見るのは当然の責務だ。足の状態を見るために入ることはいいことだ)

(寝ている間に包帯が解けているかもしれないし。そうだ、包帯。包帯を替えなくちゃ。数時間ごとに替える必要がある)

(でも、起きて、約束を破ったって怒られたらどうしよう。今日せっかく笑ってくれたのに、また機嫌を損ねたら)


(俺のことを嫌いになってしまうかも)


 何度か扉や壁を叩きつけたくなるような衝動に駆られたが、歯をくいしばって耐えた。


(何処かから抜け道を作って消えてしまっているかも)

(マーロがリーダから、何か裏技を聞いて、姉さまを連れ去ってしまっているかも)

(カーテン! 閉め忘れていた。悪い人間がこの船を見つけて、窓から姉さまを見て、好きになってしまうかも。攫ってしまうかも)


 思考はあらぬ方向にどんどん広がっていったが、それをおかしいとも思えなかった。全てが可能性に満ちていて、今すぐ姉の姿を確認したくなった。

 しかし、最終的に約束を破ることになると思い、なんとか留まっていた。


(あと一時間、したら、包帯を替えに入ろう。起こそうとしたけど起きなかったと言えば、気付かれても大丈夫。よし、それまで待つ)


 自分が決めた時間まで、リネは辛抱強く耐えた。

 閉じたり開いたり、落ち着かない心が指先に表れていたが、音を立てるような間違いは一切起こさなかった。


 一時間後、部屋に入ってみると、姉はベッドの端で丸まっていた。

 毛布も被らずに、今にも落ちそうな位置で膝を畳んでこちらを向いている。

 リネはしゃがみこみ、月の明りで薄らと照らされたその顔を見つめた。姉の手がそれ以上近付くのを阻んでいたが、目の前の細い指越しに見る姉の顔は芸術品のように美しいと思えた。


 月の影が傾いて姉の顔が暗がりに隠れた頃、葵は少し眉をしかめて、重ねていた手を片方足元へ持って行った。漏れるような吐息の後に、少し足首を撫でると、今度は上を向いて眠った。

 それを見てようやく、リネは目的を思い出した。


(包帯を替えないと)


 リネは慎重に足を持ち上げて、古い包帯を取った。

 少し腫れて赤くなっている。圧迫されてかさぶたがはがれた箇所もある。血は出ていないが、細い足が痛々しく鼓動している。


 ところで、彼はもう四日ほどまともに睡眠をとっていない。

 瞼を閉じると姉が扉を開けて出て行く音がするからだ。見ていないととても落ち着かないからだ。

 一度寝ている――と彼は思っていた――葵に覆い被さり、髪も服の袖も決して当たらないように細心の注意を払って顔を近付けてみたことがある。その際に、何とも言えない甘い香りがした。その匂いに安心して目を閉じた。それ以来、そんなことを何度か繰り返している。しかし当然、無理な体勢であったために寝たとは言えない。他はエルロイに薬を打たれて医務室で強制的に眠ったのみ。


 そう、彼の頭は働いていない。


 何の意図もなく、気が付いたら姉の足を舐めていた。


 すぐにこれはまずいと気が付いた。

 吐いた息をもらうのでさえ許可をもらうべきと思っていたのに、肌を味わうなんて以ての外だ。

 当然だ。

 すぐに気が付いた。

 気付いた時に即座にやめた。

 しかし彼が思っていた"すぐに"までの間、彼の頭は機能を停止していた。


 その間に、葵は目覚めていた。


 ドーラ号の壁は薄い。重量軽減のため。音関連のプライバシーは皆無に等しい。


 その為、葵の悲鳴は船中に響き渡った。

 この声に起こされなかった者でも、パイプのようなもので窓ガラスを叩く音で起きないほど鈍感な者はいなかっただろう。

 扉という当然の出入り口すら分からなくなった葵は、月明かりに牽かれるように窓へ逃げようとしていた。厚い防弾ガラスが割れることはなかった、いや、割れる前に、ダンが駆けつけて止めてくれた。


「嘘吐き! 変態! 性犯罪者!!」

「返す言葉もない」


 土下座するリネの横に膝をついてリーダが頭を垂れた。


「訪問者は受け入れるって約束だったわね。ねえ、私が一緒に寝てあげる」


 かにゃんが名案を思いついたと言わんばかりの顔で葵の肩を抱いた。


「は? それは同じベッドでということですか? 床ですか? 立って寝るんですか?」


 床に押し付けていた頭を迅速に持ち上げてリネがかにゃんを見上げた。

 リーダが頭部を下に下げようと押したようだが、頑なにそれ以上下へ行こうとしない。


「なんで立って寝なきゃいけないのよ! まあ、ベッドも大きいし、一緒がいいって言うなら、一緒でいいかなって思うけど?」

「ぜひお願いします、かにゃん」


 藁にもすがる思いで葵はかにゃんの腰を抱き返した。

 「ふぉおっ」という変わった声がかにゃんの口から洩れた。


「じゃあ、明日はエルロイが一緒に寝てあげる」


 扉の先の野次馬の足下からエルロイが現れた。


「あっ、じゃあ、その次は僕! 僕ね。一晩留守にするけど、いいでしょ? リーダ」

「え、マーロが良いなら俺もいいよな。ここのベッド高級そうで羨ましいと思ってたんだ」


 人の隙間から細い長い手が出てきて上下にぶんぶんと振られた。マーロのようだ。

 姿は見えなかったが、明瞭な声が後に続いた。葵には聞き覚えがあった。ダンだろう。


「男は遠慮しなさいよ。馬鹿じゃないの」


 その後もしばらく葵の知らない団員から挙手があったが、かにゃんが一蹴してくれた。


「いかがわしいことをするつもりだ! わかりました、一緒に寝るのは認めますから、扉を開け放しておくと約束してください。でなければ……、次の日にその団員は死にます」

「分かった分かった。もう一つ約束だ。リネはしっかり睡眠をとれ。エルロイから薬を受け取って夜に飲むようにしろ」

「眠ってしまったら姉さまの助けに気付けない!」

「そんな強い薬じゃない。……じゃないな、エルロイ?」

「鉄パイプで窓を叩く音にはさすがに起きると思う。すごい音だった」


 未だに葵の手に握られたパイプを見てエルロイはしみじみと言った。


「あれでリネを殴ろうと思わないあたり、下の住人だね」


 とにもかくにも今夜はかにゃんが葵の部屋に残ることとして、団員たちは各々の部屋へ戻っていった。

 道すがら、エルロイはリーダにそう語りかけた。

 リーダは血みどろのリネを想像してちょっと肝を冷やした。


「僕は姉さまの部屋の床で寝ます。うつ伏せで寝る弟と仰向けで寝る弟、どっちが姉さまのお好みですか」

「布団で寝ろ。二度とそんな下らない選択を私に迫るな」


 選択肢を間違えたらバッドエンド。

 どちらも選ばないが残されているだけ、今はまだ平和な時期と言えた。

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