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修行してそれから①

2話目です!



「剣士になりたい……か」


「ああ」


 俺の希望を聞いて神はそう呟く。しばらく考える素振りを見せたあと、俺にこう言ってきた。


「ディスティアはさっき言ったように剣と魔法の世界だ。つまりディスティアでは他の武器に比べて剣を使う人が圧倒的に多いんだよ。その中で最強になるっていうのがとれくらい大変か想像できるだろ?それでも剣士になることを望むのかい?」


「もちろんだ」


 その程度で俺が夢を諦めるわけがない。まあ、神の力を借りるんだからすこしズルいと言えなくもないが、折角の機会を逃すわけにはいかないからな。


 俺の返事を聞いた神は一つ溜息をついた後こう言ってきた。


「わかったよ。それが君の望みなら僕はそれを叶えるだけだ。でも……」


 そう言って神はこう続けた。


「当たり前だけど最強の剣士になる能力なんてものは存在しないんだ」


 まあそうだろう。最強である定義なんて無いだろうし。俺にとっての最強というのは剣士の中で最も強いというわけではない。俺が言ったのは剣士以外も全て含めて最強という意味だ。しかし中には別の意味で捉えるやつもいるだろう。


「たしかにそういうのも理由の一つなんだけどね。主な理由は同じ世界に2人その能力を持てなくなるからなんだ。だって最強が2人いるなんておかしいだろ?」


 たしかにそうだが……そんなことあるのか?同じ世界に転生するやつで同じく最強になりたいとかいう奴いるのか?


「残念ながらいたんだよ。過去にたった数回だけどね」


 神は「やれやれ……」と困った顔をして首を振っている。


 いたのかよ。と思わないでもないが今はそれよりも重要なことがある。


「じゃあ俺はどうなるんだ?」


「もう心を読むことに関しては無反応なんだね……」


「そんなことより質問に答えろよ」


 俺にとっては心を読まれることよりこれからどうなるかのほうが断然重要だ。


「なんか扱いひどくないかな。はあ……君にはここで修行をしてもらう」


「修行?」


「そう、修行だよ。ここは時間という概念も無いからね。だからここで君には修行をしてもらう」


 そんなことして意味あるのか?転生するなら今鍛えたとしても意味ないだろ。


「たしかに身体を鍛えるだけなら……ね」


 そう言って神は一度言葉を止め、いたずらっ子のような顔でこう続けた。


「だが技術ならどうかな?何度も反復し、魂にその動きを焼き付ける。そうすればたとえ別の身体だとしても魂が覚えていれば同じように動けるはずだよ」


 なるほど、たしかにそれなら希望があるな。


「それについてはわかったが修行といってもなにをするんだ?俺は剣道ならできるが剣術はできないんだが」


 というか剣道のことはもう忘れたい。あれは俺の黒歴史だ……。


「それは大丈夫。君のために剣の先生を呼んでおいたから」


 神がそう言った瞬間、目の前が突然揺らぎだし、そこから長身の男が現れた。


「すまない、遅くなってしまった」


「いや、タイミングバッチリだよ」


 長い金髪を後ろで一つに結んだその男の言葉に神が笑って答える。


「紹介するよ、彼は剣神で今から君の師匠だ」



 こいつが剣神?剣神ってもっとゴツいと思ってたが違うんだな。


「よろしくね悠人君。君のことは全神から聞いてるよ。これから僕が君に剣術を教えることになる」


「こちらこそよろしく頼む」


 今剣神がこの神のことを全神と呼んだ気がするがそこはスルーしよう。


「さっそく修行を始めようか。じゃあ頼むよ」


「はいよー」


 剣神の呼び掛けに全神が応えて前方へ手をかざした直後、地面が現れ、俺の手には剣が握られていた。


「これは……?」


「ここは全神の空間でね、地形もすべて彼の思い通りなんだ」



 全神とやらが「すごいだろ!」と言わんばかりのどや顔を向けてくるが無視しよう。



「さて、さっそく修行を始めるけど、その前に1回その剣を振ってみてくれないかい?」


「ああ、わかった」


 反射的にわかったと言ってしまったが、どうすればいいんだろう。取り敢えず剣道の素振りみたいにしてみるか。


「うん、これなら基礎は必要ないね。技の修行から始めよう」


「な、なあ、早くないか?まず剣の握り方とかそういうのも教えてほしいんだが」


「そんなの君がやりやすいようにすればいいんだよ。あまりにも変だったらそれを直すところから始めようと思ったけど君はちゃんと握れていたからね」


 なんだ適当にやってるのかと思ったが、意外とちゃんと見てたのか。

 

「当然さ。僕は君の師匠だからね。弟子の修行なら大真面目にやるさ」


「やっぱりあんたも心を読めるんだな……」


 プライバシーとは一体……。


「僕は師匠だから」


「めちゃくちゃだな……」


「余計な話はこれくらいにしてそろそろ始めようか」


「あぁ、よろしく頼む」


「うん、厳しくいくから覚悟しなよ」



 こうして俺の神の下での修行が始まった。

 


 



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