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第二章 4話

ニーナ

「ところでそのドラゴンはどうやって対処するんだ?」

「ん?対処って言うよりは、遭遇しないようにするってだけだよ。

さすがに戦って勝てる相手じゃないしな」

「ドラゴンは日中の間どこかに行って夕方になると帰ってくるのよ。

だからいない時間を狙って山を超えるってわけ」

「なるほど。時間との勝負ってことか」


(何事もなく超えられるのを祈るしかないな)



山の麓までくると傾斜の緩やかな場所に沿って歩きやすいとはとても言えないが

無いよりはまし程度の細く曲がりくねった道があり脇にはドラゴンにやられた

であろう人骨があちこちに転がっていた



「ほ、ほんとに大丈夫なんだろうな?」

「なぁに万が一オレたち転生者が死んでも骨にはならないんだ、心配ない」



しばらく歩くと道から少しそれた所に大きな洞窟が見えてきた



「あそこがドラゴンの巣だ」

「前回この中を覗いたときには卵があったわね」

「今回は卵が孵ってたりしてな。はははは」

「おいおい、勘弁してくれよ」


(最悪なフラグじゃねぇか・・・)


「まぁもし孵ってたとしても子供のドラゴンならオレたちだけでもなんとかなるさ」

「それならいいが・・・」



洞窟の目の前に差し掛かったとき、洞窟の入口で少女が薬草を摘んでいた。


(嫌な予感がするな・・・)


「おーい。そんなところにいたらドラゴンがもどってくるかもしれないぞ」

「大丈夫です、もう摘み終わったんで帰るところです」



少女がそういい終わったとき洞窟の中から物音が聞こえた。



「まずい!本当に孵化してたんだ!早くこっちに!」



少女は駆け出そうとしたが躓いてしまい、そうこうしている間に洞窟の中から

3匹の子供のドラゴンが少女を取り囲んでしまった。


(やっぱりこうなったか)


「3匹か、しかたない!ユウタ、一匹ずつ分担でいけるか?」

「いけるかもなにもやるしかないだろ!」



敦の放った銃弾は炎をまとい子供ドラゴンの鱗にめり込むと燃え上がった

亜弓美の弓は効果が無かったがかまいたちを操り尻尾と片腕を切り落としていた


(やっぱり前回も人間だったからか、あの二人思ったより強いんだな。あと一匹

オレもなんとかしないと)


裕太は剣で斬りかかろうとしたが全く刃が立たなかった


(くそっ!どうする?オレにはまだ使える加護がない・・・っていうか

あいつら二人とも遠距離攻撃できるのずるくね?)


「ツトム!残り一匹も頼む!オレは少女を!」

「ツトムじゃない!トムだ!」

「わかったから!頼んだ!」

「はいよ。頼まれましたっと」



裕太は子供ドラゴンの攻撃をかわし少女のもとへ滑り込み抱きかかえると

二人のそばまで走った



「いやぁ、なんとかなったな」

「あ、ありがとうございました」

「どういたしまして。それにしてもなんであんな危ないところまで薬草集めを

してたの?」

「えっと・・・薬草集めてたらなんだか楽しくなってきちゃってつい・・・」


(あーわかるわぁ、素材集めしてると変なテンションになっちゃうアレな)


「キミはこの先の街の子?」

「そうです」

「ならオレたちもこれから向かうところだから送っていってあげよう」

「いいんですか?ありがとうございます」



4人は親ドラゴンが帰ってくる前に街にたどり着くため急ぎ足を進めた。



(そういえば転生者以外の人間って名前とかどうなってるのかな?)


「オレの名前はユウタ。キミの名前は?」

「名前・・・?」


(この反応、もしかして村にも名前が無かったし人間たちにも名前が付いてないのか?)


「そう、名前。他の人からなんて呼ばれてるんだ?」

「217と呼ばれています」


(にひゃくじゅうなな・・・なるほどね)


「そうか、217、217・・・に、い、な。それじゃあニーナって呼んでもいいか?」

「ニーナ・・・はい!」

「なーんかベタな名前の付け方ね」

「お前わざわざ名前なんて付けてどうするんだ?もしかして惚れたのか?」

「そ、そんなんじゃない!そんなんじゃないけど・・・なんか可哀相だろ?」

「そうか?所詮NPCみたいなもんじゃないか。まぁユウタがそうしたいなら構わんがな」

「ああ、オレがそう呼びたいだけだから気にするな」



そのとき空が一瞬光るのと同時に鼓膜を突き破るような甲高い音が鳴り響いた



「ユウタさん大変です!転生者以外の人間に名前を付けたことによりこの世界に不具合が

発生しました!」

「なんだって!!」

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