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生きなくては

 入隊してすぐに戦地へ行くなんてことは普通ありえない。昔はどうだったかは知らないが…。


 新兵といっても精鋭部隊の新入りだけが出兵するのだが、予想外の事態に俺はただただ困惑し、その場に立っていた。


 「―まぁ…新入りは不安な事だらけだと思う。 だが、先輩達が必ず守ってくれる。これだけは誓う」


 と上司は言った。


 だいたいまだ全員の自己紹介もしていないし、名前もわからないから上司ってテキトーに言葉置き換えなくてはいけないほど急な話だった。


 「戦況はかなり悪化していると…?」


 先輩Aが上司に尋ねると、


 「うーむ…。まぁ悪化しているが、事態が深刻化する前に処理してほしいとの事だ。 くれぐれも無茶をせずにな」


 「「「―了解」」」


 

 その後すぐに準備に取り掛かった。


 装備の点検や医療道具の補充など、それらは実に数分程で完了した。

 こういう所もエリートなんだなとつくづく思った。



 班は3つに分けて、6人ずつで編成された。

 俺と同じ新入りは3人いて、それぞれ1人ずつ配分された。


 

 とにかく戦果とかあげるよりも生きて帰ってくると固く決意していると


 「お前が新入りだな。自己紹介は…そうだな互いに生き残ってからしよう。この班は俺が指揮することになった。よろしく」


 と握手を要求するような仕草をした。


 ナーザはその手を握りながら


 「ええ、必ず生き残ってみせます。」


 と答えた。班長はコクッと頷き他のメンバー達に声をかけていた。



 その後すぐに出動準備ができ、移動用車両に乗った。


 最前線までは半日以上かかるとのことだった。 

 その間はずっと作戦会議をしたり、戦闘に関わることをしていた。


 ナーザも剣を研いだり、ハンドガンの弾数確認などをしていた。

 ナーザの武器は、細剣(レイピア)2本と、ベレッタ90というハンドガン1丁、手榴弾5つという装備だった。


 初陣で無様な死は避けたい、絶対に生きることが今回の目標だ。

 

 窓の外を見ると、全体は曇って視界は悪く、建物はほとんどなかったが、辺りの草木は枯れている。

 きっと爆撃でもしたのだろうか。


 「全員窓から体を隠せ。」


 部隊の一人の男が急に席から立ち上がり、そう告げた。


 全員はその指示に従い、身を伏せた。


 「ちっ!狙撃手(スナイパー)か…」


 と舌打ちをし、窓の外へ向けてハンドガンを2発発砲した。


 「その距離じゃ甘い…。 しかし、こんなところにまで敵は侵入していたのか」


 と言い、もう大丈夫だと席に腰をおろした。


 「いやーオレは見つけられなかったッス」


 まだ20代くらいの男が「自分もまだまだッスね」と溜め息混じりに言い残し、席に座り直した。


 確かに彼が発砲した方向にスナイパーはいた。でも、草に擬態化しており、遠くからでは確認しづらい状態だった。


 実際、ナーザも彼が発砲するまでは気が付かなかった。


 その驚くべき視力の良さと、スコープ無しの片手打ちで正確に当てる技術に、ナーザは感動した。


 

 それから数十分後に、本陣に到着した。


 ここでもう一度再確認して、すぐ戦地へ行く事になるだろう。


 


 

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